レビューメディア「ジグソー」

Cayin N6iiを据置プレイヤーに

正直に言えば、最新モデルと比べればそれなりに見劣りもあり、性能的な限界も見えている、私の愛用DAP、Cayin N6iiですが、折角本体が2台あるということで、この製品の大きな特徴であるオーディオマザーボードの交換によって性格を変えることが出来るという長所で何とか楽しめています。

 

 

 

 

 

 

 

 

DAPとして単独で使う限りでは、音質的に最も有利なオーディオマザーボードは、ディスクリートR-2R DACを採用するR01であり、普段はこれをメインとして利用していますが、それ以外にもT01、E02、A01が既に手元にあり、E01はいつでも身内から借りられるということで、DAPとして利用するために用意されたオーディオマザーボードは全て揃った状態です。

 

しかしN6iiのオーディオマザーボードには、イヤフォンやヘッドフォンを直接接続することが出来ないという、ライン出力またはプリアウトのみが利用可能なA02という製品が残されていました。A02はそのニッチ狙いの設計から初回に生産された500個だけが市場に流通して、それ以降は生産されていないというなかなかのレア品です。

 

既にメーカーの保守個体も残っておらず、一応メーカー修理は受け付けているそうですが、どうしても修理完了後に規定通りの性能が出ず、修理不能という例も実際に見かけました。実は以前代理店の方に頼まれて、この性能が出ていない個体が聴感上問題があるか判定して欲しいということでじっくり聴いたことがあったのですが、私としてはOKを出せませんでした。高域方向に僅かながら歪みっぽさが確かに感じられたのです。

 

そのような経緯がありA02にも興味はあったのですが、中古でもそれほど多くは流通していませんし、たまに売られていても今更N6iiの環境にかけるべきとは思えない金額になってしまっていたために今まで入手できていませんでした。

 

しかし先日、例によってeイヤホンのシークレットセールで訳あり品がなかなか手頃な値段で売られていました、4.4mm出力が利用できないという理由で格安販売されていたものがセールによって更に値下げされ、1万円を割り込んだということでこれに飛びついたわけです。私の環境では4.4mm出力を使う機会は多分無さそうでしたので…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

届いた個体は箱の帯封以外は欠品もなく、外装も特に問題無さそうなものでした。

更新: 2025/12/26
総評

高品位ライン出力の意義は大きい

仕様としてはAKM製D/Aコンバーター、AK4497EQをデュアルモノモードで動作(これはCayin製DAPとしては初のハイエンドモデルとなったN8と同等と説明されています)させていて、出力は4.4mm5極バランス、3.5mm3極シングルエンドが各1系統というものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N6iiの初代となるオーディオマザーボードA01はお世辞にも好みとはいえない音で、率直に言えばその後にT01やE01が発売されていなければN6iiは絶対に買っていなかったという程度の出来でした。このA01は同じAK4497EQを1基のみ搭載しているということでデュアルモノ動作ではないものの、同じDACである以上音色が近いのではないかという不安がありました。

 

音質をチェックする前にまずは単純な動作チェックを行いました。ヘッドフォン・イヤフォン出力が無いとはいえ、別に全く音が出ないというわけではなく出力電圧やインピーダンス等がヘッドフォン・イヤフォンに最適化されておらず音量が(ほぼ)変えられないだけですから、4.4mm5極バランス側にはイヤフォンを繋いでチェックしています。

 

 

 

 

 

 

 

結論から言えば私がチェックした限りでは4.4mm5極バランス側も特に問題なく動作しています。音量がかなり大きいのでじっくりと音質をチェックすることは出来ませんでしたが、数秒聴いた限りでは特に問題無さそうです。

 

3.5mmシングルエンドの方は、本来の使い方である外付けアンプに接続する形で聴きました。SHURE製のポータブルアンプ、SHA900にBrise Audio OSAFUNE 3.5mmミニケーブルで接続しています。SHA900やOSAFUNEについては後日別に取り上げる予定です。

 

 

 

 

 

 

 

A02はあくまで接続先のアンプ込みでしか評価しようがないのですが、SHA900とN6ii/R01の組み合わせと比較することで特徴を掴んでみようと思います。

 

イヤフォンで聴く限りはまずまずの音が出ているR01ですが、3.5mmイヤフォン出力をSHA900に接続して聴いても、かなり大味な音となってしまい、わざわざ外付けアンプを使う価値を感じられません。

 

これをA02に替えると、フラットバランスや分解能など、きちんとしたオーディオ機器らしい音がきちんと出てきます。そこでイヤフォンも普段利用している64AUDIO U6tを接続して聴いてみました。

 

まずSHA900自体の限界はありますので、ローエンド、ハイエンドとも少しずつ伸びを欠いています。ただSHA900をUSB DACモードにしてN6iiと直接USB接続しても、よりレンジが狭く質感も出なくなってしまいますので、A02が出力している音の質は決して低くないのでしょう。

 

「Chicago 17」から「Hard Habit To Break」を聴くと、じっくりと聴くレベルの鑑賞に堪える音が出てきたのは、A02+SHA900の組み合わせだけでした。R01で聴くと全体的に妙に明るい音で深みが全く出ませんし、SHA900のUSB接続では分解能が低く格安オーディオという音になってしまいます。そのうちまともなオーディオ機器と組み合わせてきちんと判定してみようと思いますが、少なくともU6tの良さを引き出せるレベルの音は出てくれました。

 

流通量が少なく、売られていても高価なので広くお薦めできるわけではありませんが、N6iiを買い替えてサブ機扱いにしたときなどにはA02があれば用途が広がり、なかなか重宝するでしょう。

  • 購入金額

    9,500円

  • 購入日

    2025年12月24日

  • 購入場所

    eイヤホン

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