Kirkland Signature の Trail Sock を愛用しています。
冬に足元が冷たくならない靴下が良いな、とたまたまコストコで見つけたこの製品を手に取ったのですが、あまりに快適すぎてシーズン問わず履いています。冬は暖かく、夏は涼しいです。そこまで厚手というわけでもなく、薄いわりに生地がしっかりして丈夫で、なによりクッション性が高いのが気に入っています。
ブランドの Kirkland Signature(カークランドシグネチャー)ですが、これはコストコが1995年に立ち上げた自社ブランドで、名前は創業当時の本社所在地「ワシントン州カークランド市」に由来します。「Signature(シグネチャー)」という語が示すように、単なる廉価品ではなく、コストコの品質保証と哲学の署名とも言える存在になっています。
コストコの自社ブランドというと、専門的なメーカー品に比較して劣っていると想像する方もいると思うのですが、そもそも一流メーカーとのOEM提携で行われています。
スターバックスのコーヒーなども「カークランド」のブランド名で販売されていることから、かなりの企業規模の OEM 製品がコストコのプライベートブランドとして販売されていることが伺えます。
Kirkland ブランドは、装飾性よりも機能性と耐久性を重視しています。これは「プロダクトデザイン=問題解決」という原則に忠実です。例えば、トレイルソックスのような製品では、素材選定・縫製・圧着技術・通気性・耐摩耗性など、ユーザーの体験に直結する設計が重視されます。
その結果、「ブランドを意識せずとも、使えばわかる」という、無印良品にも通じる設計哲学が生まれています。
この製品を語る前に、まずは Trail Sock(トレイルソックス)について。
トレイルソックスは、未舗装の山道や悪路を走る「トレイルランニング」や登山などに特化した高機能ソックスです。足元の安定性や快適性を保つために、通常の靴下とは異なる設計がされています。
構造を素材から見ていくと、下記のような特徴がみられます。
- メリノウール:天然素材でありながら吸湿・調温・防臭性に優れ、冬でも夏でも快適。
- ラミー(麻)混紡:濡れても強度が増す特性を活かし、雨天や湿地でも安心。
- ナノフロント繊維:極細繊維による高グリップ性と耐久性を両立。
素材の吸汗性、メッシュ構造による衝撃吸収性、そして天然の抗菌防臭性。それらを兼ね備えているのがトレイルソックスです。
この製品の良さを語るなら、まずは足裏にはアーチサポート機能があります。
靴下における「アーチサポート」とは、足裏の土踏まず(アーチ)を支える機能設計のことです。これは単なる快適性の向上ではなく、足の構造的安定性と運動効率を高めるための設計思想です。
僕は単なる「機能追加」ではなく、足の構造に寄り添った設計美学だと考えています。
人間の足裏には3つのアーチがあります。内側縦アーチ(かかと〜親指の付け根)、外側縦アーチ(かかと〜小指の付け根)、横アーチ(親指〜小指の付け根)、です。
これらは、衝撃吸収・バランス保持・推進力の発生という重要な役割を担っています。アーチが崩れると、足の疲労や膝・腰への負担が増加し、外反母趾や足底筋膜炎などのトラブルにつながることもあります。長時間立ち仕事をする人、ランニングや登山など衝撃の多い運動をする人、足の疲れや痛みに悩んでいる人、扁平足やハイアーチなど足の形に課題がある人などは、機能性の高いトレイルソックスが向いているかもしれません。
アーチサポートにはいろいろな仕組みや種類がありますが、この製品に採用されているのは、足裏の土踏まず部分に圧力をかける着圧編み構造です。これは、靴下の編み方によって足のアーチを持ち上げ、安定性と疲労軽減を図る設計になっています。
足の凹凸にフィットするように編まれており、ズレにくく、安定した履き心地になっており、土踏まず部分に適度な圧力を加えることで、アーチを支え、長時間の歩行や登山でも疲れにくくするという思想です。足の構造に寄り添ったエルゴノミクス設計ともいっていいと思うのですが、特にトレイル用途では、地面からの衝撃や不安定な足場に対して、足のバネ機能を補助する役割を果たします。
ゴム部分はきつく、最初は痛いくらいです。履いているうちに柔らかくなってきますが、へたれるということではないです。
素材のメリノウールは繊維が細く(17〜19μm)、そのせいでチクチクすることがありません。
天然の抗菌性があり、吸湿・放湿性が高いことも靴下に最適なデザイン素材といえます。
実際に履いている感想ですが、履いた瞬間、まず「包まれる感覚」に驚かされます。
メリノウール特有の柔らかさと、土踏まずにしっかり入る着圧ゾーン。そのサポートは控えめだけど確かで、まるで靴下が足の形を理解しているかのようです。それは山道でも舗装路だろうと関係なく履きやすく、疲れにくいです。
真夏の湿度が高い日でも、汗のベタつきや臭いは気にならないのもメリットです。
通気性のある編み構造と、天然素材の持つ防臭性が効いているのだと思います。
バイク用のブーツを履いても、ブーツ内の足はサラッと快適で、「厚手の靴下=暑い」という先入観が覆されます。まぁそこまで厚い生地では無いのですが、ビジネスソックスと比較するとやっぱり厚いです。でもカジュアルすぎないのでオフィスで全然履けます。
特に印象的だったのは、ジョギングでの踏み込みの感触です。
シューズの中で足がズレることなく、地面の凹凸を正確に捉えられます。
ソックスのグリップ力とフィット感が、走行感覚を一段階引き上げてくれる感覚があります。
使うたびに思うのは、「この価格で、この品質デザインはすごい」という点。
装飾のないプレーンな見た目の裏に、履いた人にしか伝わらない機能美が宿っている。
見えない部分を、確かに感じさせてくれる。それが、カークランドの哲学なのかもしれません。
OEM提供元の謎
この靴下の OEM 提供元企業名は製品にも明記されておらず、コストコファンの間でもいろいろ論議される話題になっています。カークランドシグネチャーブランドが一流企業の OEM というのは確定なので、この製品もどこかの一流メーカーから販売されているものと同じになるはずなのですが、どれと同じというのは見かけたことがありません。
製品には「USA製」と記載されており、米国の工場で生産されているのは間違いありません。
ラベルには抗菌・吸湿素材「Sorbtek」を供給している Unifi 社の名前があり、糸や生地に関して Unifi 社のものとなっていますが、生産企業がどこなのか分かりません。Unifi 社は糸のサプライヤーであり、編立や最終加工は行っていません。つまり、Unifi 社が糸や生地を提供し、靴下としての編立や最終加工は別の製造業者によって行われている可能性が高いということです。それだけでも素材への信頼度は高いのですが、いったいどこの企業がその素材を使って靴下を作り、OEM 提供しているのかが見えないのですね。ブランドロゴに頼らない品質設計になっているのも凄いですが。
米国内にはいくつかのソックス工場(North Carolina や Wisconsin の Wigwam 等)が存在しており、製造先として推測されるのですが、正直よく分からないです。
だからといって製品の品質が落ちるわけではなく、素晴らしい品質なのですが、だからこの製品を作っているのがどこなのか逆に気になります。
なお、コストコの Kirkland Signature は自社プライベートブランド方式のため、製造委託先は契約上非公開とされるので、不明でもおかしくはないです。一部素材サプライヤー(Unifiなど)は明示されますが、最終加工業者は秘密にされているのが業界スタンダードです。
米国内の非公開プライベートブランド工場というのが結論になるのですが、まぁ分からないという謎があるのも、推測する楽しみがあるかもですね。
履くエアコン
素材のメリノウールは、メリノ種の羊から採れる羊毛です。
メリノウールを素材とした靴下は「履くエアコン」と呼ばれるほど、温度調整機能に優れています。
他のウールと比較して繊維が細く、柔らかいのが特徴。ただの「高級ウール」ではありません。機能性と快適性を極限まで高めた天然素材であり、アウトドアからラグジュアリーまで幅広く愛される理由があります。
繊維表面の「スケール(鱗状構造)」が湿度に応じて開閉し、自律的な調湿機能を持ち、汗をかいても冷えにくく、濡れても保温性を維持するため、登山などの用途に最適です。
メッシュ編み構造とナイロンの組み合わせで、熱がこもりにくくなっているのも快適な理由です。
ウールという素材から「冬だけ」というイメージがあるかと思うのですが、それは誤解です。
メリノウールを主素材としながらも、通気性・防臭性・吸湿性に優れた設計がされているため、暑い季節でも蒸れにくく、快適な履き心地が得られます。汗を吸収して外に逃がすため、足元がベタつかずサラッとした感触が続きます。汗を外側に逃すという機能は注視しにくいですが、実際に使用してみればその快適性に驚かされます。靴下内側は驚くほどドライに保たれ、激しいスポーツを終えた後に靴下を脱いでも床面に感じるべたつき感が無く、夏でも実感できるサラサラしたドライ感があります。
「履くエアコン」は、夏でも快適に履ける天然素材のテクノロジーなんです。
装飾性よりも機能性と耐久性を重視
機能美を追求したミニマル設計が特徴です。視覚的な派手さは抑えつつ、編み構造・素材選定・着圧ゾーンなど、履いた瞬間に設計の意図が伝わるような、静かなデザイン思想が宿っています。
まさに「見えないデザイン」が、使い手の体験価値を高めるプロダクトです。
洗濯機OK
裏返して洗濯することで耐久性が向上します。
メリノウール混紡ながら、洗濯機使用も可能で、日常使いに適した扱いやすさがあります。
繰り返しの洗濯でも型崩れしにくく、機能性と手軽さを両立しています。
コストコならではの高コスパ
1足あたり 825 円で、メリノウールを 57% 使用した高機能設計。
登山用品店なら1足 2,000 円以上する品質を、4足セットで約 3,000 円という価格で提供しており、機能・耐久・快適性の三拍子が揃った圧倒的コストパフォーマンスといえます。
普段使いにもアウトドアにも、惜しみなく使える良品です。
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購入金額
3,298円
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購入日
2025年07月19日
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購入場所
コストコ




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