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Windowsベースの NAS 。BCP対策で Windows ならではの機能・付加価値を構築

 

過去に使用していたらしい NAS を眠らせておくのももったいないので、BCP対策(事業継続計画 / Business Continuity Plan)として他拠点にバックアップ出来る体制を構築するためフェイルオーバー&レプリケーション先として再利用することにしました。NAS はバッファローの WS5400DN シリーズという製品で、2018年に購入したもののようです。

 

同型機をもう1台所持しており、遠隔地に設置した(支社などにおいた)もう1台とファイルデータを同期させることで遠隔バックアップに使用されていました。

現状の機能は、DELL の PowerEdge に移管しています。

 

 

この NAS は、PowerEdge 機に座を譲って以降は引退して倉庫に眠っていたもので、それを活用すべく引っ張り出してきました。既に再設定済みで、レプリケーション先機として元気に稼働しています。

 

写真のように、前面には鍵が付いており物理的なセキュリティもしっかりしています。
物理的に HDD が抜かれ盗難されないようになっており、モニタを繋ぐ端子などもこの中にあるので、サーバ部屋にぽつんとあれば、ネットワーク経由でしかアクセスできないようになっています。一応プロユースになっていますね。

 

 

内容物は、たぶん電源ケーブルと、この白い平型のLANケーブルが入ってたんだと思います。

本当かどうかは昔すぎて分からん。

 

 

 

 USBメモリで OS の再インストールデバイスが付いてくるので、管理も楽です。
先ほども初期化をさくっと終わらせましたが、背面のスイッチで機動を USB 側にして、電源を入れるだけでした。

 

この WS5400DN の面白いところは、OS が Windows Server というところです。

世の中には多くの NAS が販売されていますが、その大半の需要が、

 

「ただのファイルサーバなのだから低価格なもの」

 

と低コストの需要を求めるものになっており、Synology のように WEBカメラとの連携機能を売りにするようなものもありますが、市場に出回る有名メーカの NAS の多くが見たことも無い独自OS、または UNIX/Linuxベースで動いているものです。Windows ライセンスが高価なので、そっちのほうが原価が安くなり低価格で販売できるからです。

高性能はラックサーバを利用すればよいので、全般的な NAS の利点は低コストとなりますね。

 

競合製品がコストダウンの観点から独自OSを搭載している中で、あえてこの WS5400DN が Windows Server というところは個性的な特徴を感じます。

 

ということで、ラックサーバにも NAS にもなりきれない、「中間的な NAS」というちぐはぐな存在であるといえます。

 

 

では、あえてのOS が Windows Server のメリットなのですが、
やはり「Windows 端末との連携」になります。

 

上場企業だと ActiveDirectory(以下、AD)の導入がないとサーバの数だけの資産管理と100台単位からなる1フロアでの運用端末数での情報統制で難があるので、Microsoft に尻尾を振る以外の選択肢がないのが現実です。

 

学生の方や中小企業の方には実感が無いかもですが、最近では Teams の台頭で会議ツールやグループウェアも Microsoft 製品に切り替わっており、この分野を席巻しつつあるようにも思います。無料のツールがあるのに有料のツールが利用されて常識として広まっていくというのは、なかなかの資本主義を感じずにはいられませんね。

 

TeraStation 5400DN には、「Windows Storage Server」という OS がインストールされています。「Windows Server」ではなく「Windows Storage Server」です。

 

 

Windows Storage Server の説明は詳しいページなどで。

ビジネスNAS入門|最適なNASの選び方 | アイ・オー・データ機器 I-O DATA (iodata.jp)

 

なお、Windows Storage Server は現在販売されておらず、現行は後継の「Windows Server IoT for Storage」になります。こちらも OS の機能としては通常版の Windows Serve と全く一緒で、ファイルサービスと管理の用途に限定されたライセンス契約になっています。

 


両社の違いは名前はややこしいですが、あんま言えないですが結局は同じものです。ライセンス体系が違うだけで、中身は一緒 …… いや、なんでもないです。

ファイルサーバー用OSとして使用することを前提としたもので、機能としてなにか制限があるわけではありません。

 

コストを考えると CAL が不要なので、Windows の世界だけの話で言うと、本当の意味でただ単にファイルを格納するだけの NAS として使用するだけならランニングコストは Storage の方が全然安いです。天と地の差があるくらい価格が違います。

 

従業員の少ない小規模企業だと、安価な独自OSの NAS の方が CAL の概念が無いのでさらにコスパは良くなりますね。個人や小規模企業なら独自OS搭載の NAS を選んだ方が絶対に良いです。

 

 

大きな組織では、Windows OS を搭載しているからこその付加価値というものがあり、高価なライセンスを払ってでも便利に使える機能というものがいつかあります。

 

Azureとのハイブリッド構成でも容易に構築できるのもポイントが高いですね。

更新: 2024/09/19

参考:Buffaloツール

 まず先に、リモート接続で GUI から操作した場合、ツールの中に Buffalo ツールなるものがあり、そこからレプリケーションなどの機能は利用できます。他のWindows Storage server 用のツール(ユーザ管理など)も、Windows server と同じように運用すれば楽です。2台あると、どっちがマスタなのかスレイブなのか分からなくなるので、壁紙などで変化を付けておくのをおすすめします。


実際に Buffalo 製のレプリケーションアプリを使用した感想ですが、一方通行なのが特徴的。なのでターゲット側のデータ更新は無視というか削除される ── されたっけかな? ツールは試したのですが、もう使用してないので覚えてないです。

 

同期に関しては DFS 同様に数分のラグがあります。瞬間的に同期されるわけではないです。Dropbox の同期されるタイミングなどを想像しておけば、そんな感じ。ネットワークが遅い環境の場合は、数時間くらいかかることも覚悟しておいた方がいいです。

ちなみに LANケーブル2本差しによるチーミングは僕の環境ではあまり効果がなかったです。

距離的には離れたビルに設置して運用してみたのですが、タイムラグが結構な時間、僕の環境ではたぶん15分ほどあったように思います。メーカーの発表だと瞬間的に同期されるとのことですが、そう簡単ではないようです。近場に置いて5秒以内くらいでした。もしくは VPN などの影響にもよるかもしれませんね。データの遠隔同期ネットワーク機としては難しい。

構築してしまえばネットワーク上のデータを消してしまって「やばい、戻せない!」と思っても、レプリケーション先の HDD を見に行けばまだ存在しているので、簡単にデータを取り戻すことができます。そういう意味では、同期タイミングは遅ければ遅いほど嬉しいともいえますが・・・。

  

WS5400DN シリーズ は NAS という体裁なので、初心者にも扱えるように独自ツールがインストールされています。

 

 

 SMTPサーバを立てなくてもアラートを飛ばせるメール設定、ソフトウェアRAID を設定せずに使えるようにする機能など。直感的に操作できるものではないですが、知識がなくてもいろんな機能が利用できて便利です。

 

 

 

直感的な操作? でレプリケーションが実現できるので情シスの居ない企業とかでは喜ばれそう。
でも Windows Server ごときなら素人の僕でも操作できるので、ツールの方が良い、とはならんかも。

 

 

 

良いな、と思ったものもあり、Windows Server での DFS レプリケーションはコマンドを打つまで状況が把握できないのですが、Buffalo 製ツールでは同期エラーが分かりやすくなっています。エラーが出ていたらチェックして「再同期」するだけなので状況が分かりやすいと言えます。

 

大きなところでは、Active Directory 環境でなくても利用可能というところ。
中小企業で Workgroup による運用をしているところもあると思うのですが、同期や負荷分散はできなくても、Buffalo レプリケーションによる遠隔バックアップ機能が実現できます。

更新: 2024/09/19

機能1. Windows server バックアップ

Windows OS系の恩恵として、初期状態ではインストールされていない「Windows server バックアップ」を追加します。

1日1回など、定期的に別ドライブにデータを移すことで NAS が物理的に壊れてもデータを保守します。

 

 

ローカルサーバ内の「ツール」メニューから「Windows server バックアップ」を起動します。
「ローカルバックアップ」→「バックアップスケジュール」

初回だと起動に結構待たされる。

 

 

ウィザード形式なので、基本一方通行。質問に答えていくだけで設定できます。


構成のところでバックアップしたいデータファイルのパスを選択。バックアップする時間帯を選択(ここで複数の時間を設定する。10時、12時、2時、4時・・・など)。作成先に NAS などのネットワークフォルダを指定しておくことで、サーバが物理的に壊れた時にもデータを復旧できるように用意しておきます。

バックアップデータは、元ファイルそのままではなく圧縮されたイメージファイルになるので、「バックアップの復元」からしか戻せない。復元はカレンダー形式の日付から選べたりするなど GUI の恩恵はたっぷり得られます。

更新: 2024/09/19

機能2. シャドウコピー(VSS)

みんな大好き、機能を ON にすれば設定される シャドウコピー。共有フォルダ内でも当然使えます。

メジャーな機能なので、情報はネット上にたくさんあります。

 

ボリュームシャドーコピーサービスの運用 - ロジテック株式会社 (logitec.co.jp)

 

NAS上のファイル(ネットワークドライブ内のファイル)でも、過去のデータにアクセスできるのが強みです。ネットワーク内の、どの PC からでも恩恵が受けられます。ドライバのインストールや設定も必要ないです。

 

誰でも右クリックから過去のデータに戻せるので、かなり安心感がありますね。

 

ネットワーク上の共有フォルダはファイル削除する即消去なので、ローカルのようにゴミ箱から戻せません。なのでシャドウコピーは基本的には簡易的な「ゴミ箱機能」の代役として利用されることが多いように思います。

 

シャドウコピーはバックアップと認識されることが多いのですが、物理的に同一のストレージに保存するため、障害時に復旧は難しいです。


個人的には複数人で利用する NAS にシャドウコピーは実装しない方が良いと思います。
誰かが意図をもって削除したファイルがそれ以外の人に復旧されるなど、カオスな状況になりかねず、データ管理の正統性、なにをもって正しいとするのかがよく分からなくなるというのが理由です。

更新: 2024/09/19

機能3. 重複除去

同じようなデータをまとめることで容量を節約する機能です。保存容量が半分くらいになります。

フォルダごとではなく、ボリューム丸ごと1本で指定します。この機能もインストールするだけで利用ができます。

 

サポートの関係で、独自 OS を搭載する NAS のメーカーには実装は難しい機能といえます。

 

機能をインストールすると「ddpeval」というコマンドでどれだけ空き容量を増やせるかが使用できるようになっています。

 

 

8TB の HDD を差して 5.6TB ほど使用していたのですが、それが 2.1TB になるとのこと。
3.5TBものサイズ(62%ほど)の容量を空けることができるらしい。凄すぎる。

 

 

 

実際に実行してみました。半日かかりましたが、結果は検証と同じくらい。
容量の半分を節約できています。

 

8TB の HDD なら実質 16TB を使えるようなものなので、機能を使っておいた方が良いですね。

 

なお、書き込み読込スピードに差が出るのかなと思っていたのですが、時間は変わっていないので特に運用するデメリットは無いかと思っています。

 

 この「重複除去」機能があれば、実質的に HDD が2倍の容量で使用できるものなので、お財布にも優しいです。

更新: 2024/09/19

機能4. DFSレプリケーション

分散ファイルシステム(Distributed File System)を利用した「名前空間」という仕組みでサーバ間の共有フォルダを管理するシステムです。GUI はもちろん、CUI でも dfsutil というコマンドが利用できるようになります。

 

サーバ間のバックアップはもちろん、ファイルサーバの2重化をすることにより障害対策としても利用が出来ます。

 

 

 

 

利用するためには DFS の設定が必要です。


……と思われがちですが、実際にはこのあたりの設定がいい加減でもレプリケーションだけはできます。つまり、ファイルの遠隔コピーだけは実装できるのですが、障害時の切り替えができないので運用面ではあまり良くないという状態。つまり、冗長化できていても可用性は低いというやつですね。 

DFS 共有フォルダは、プロパティに「DFS」タグが増えているので、分かります。

 

 

 

こんな感じで、分散ファイルシステムを活用せずに遠隔バックアップだけするというのも可能です。

 

 

 

現実的には、可用性が無ければリアルタイムの同期バックアップの優位性が無いので、DFS 共有フォルダはフルメッシュで使用します。

 

 

 

ただし、業務中に帯域が逼迫されるのを防ぐため、同期速度にある程度の制限をかけます。
GUI から時間帯の設定画面にアクセスしやすいので、なんか重いなという時にも安心。

 

大規模なデータサーバだと経験上うまく動かないことも多かったです。
その場合、レプリケーションフォルダを細かく分割してあげると稼働します。ファイル数ではなくフォルダ数に関係しているっぽい。

更新: 2024/09/19
デザイン性と機能美

ファイルサービス機能をワンランク上げる

スペックは充分で軽快に操作することができ、廉価な NAS のブラウザから操作する重い挙動にイライラするというところは無いため快適。

 

静音ファンで音がしないので、轟音のサーバを自宅に置きたくないが機能&パワーは欲しいという人にもおすすめできます。

 

大抵の人は Windows 標準インターフェイスに慣れているので、使いやすい。

CUI 至上主義でゴリゴリコマンド打ちするのがカッコイイという性癖のオッサン層には受け入れられないようには思います。たぶんオープンソースの samba が動けばいいやみたいな声が上がりそう。

 

無料で使用できるオープンソース製品を使えばいいじゃん、というのは自社・自分で利用する場合で、ビジネスとして納品・サービス利用し顧客対応するには Microsoft という大企業のサポートが受けられるのは心強い。致命的な問題であたふたすることが無いのも良い。

 

ただ僕のような素人が触るのは、専門用語も多く、難しいところが多いです。
いろいろ意見があると思うのですが、素人の僕にはどちらかというと難しい部分が見えない単純機能を実装すれば良い Linux 系の方が個人的には簡単でした。Microsoft の GUIは素人に優しくないので使いやすいというわけでもないのですが。 

 

外観はカッコイイとかいう感想はないですが、普段は目にしないサーバ室のラックに搭載される想定だと思うので特に気にならないですね。正面の LED パネルには必要な情報が表示されるので管理は楽です。

更新: 2024/09/19
メンテナンス性

サービスを止めない

Buffalo のサポート、Microsoft のサポートがあり、分からないところを聞けるのは大きいですね。物理的な故障も Buffalo に郵送することで修理して戻ってくることができます。

付属の USB メディアを使用して簡単に工場出荷状態に戻すことができます。

 

中身が Windows OS、HDD もしっかりしているものを使用しているため、電源入れっぱなしでの24時間運用は非常に強いです。特にメンテも必要ないままずっと稼働し続けます。

 

ホットスワップに対応しており、電源を入れたまま故障した HDD の入れ換えが可能です。
「サービスを止めない」というのは非常に大きく、信頼性も高いです。

 

アラートもローカルのメールサーバから飛ばしてくれるので難しい設定やセキュリティも必要ないです。ストレージドライブのエラーを読み取って教えてくれるので、壊れる前に HDD 交換をすることで安全な運用もできます。

更新: 2024/09/19
コストパフォーマンス

上級者のいるSOHO向き

ラックサーバと比較すれば低コスト、独自OS搭載の NAS と比較すればかなり高め。
価格を重視するか機能を重視するかで満足できるかが変わります。

 

稼働率を重視した業務だと、中身の HDD が SATA形式だったり、ファンが静音で小さかったりするので個人や数人規模の企業での運用に向いていそう。筐体もコンパクトで小さいのでサーバルームの無い環境でも使い勝手が良いです。

  • 購入金額

    242,167円

  • 購入日

    2018年08月10日

  • 購入場所

    Buffalo

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