TWS30Xはイヤフォンとしてはダイナミックドライバー×1とBAドライバー×2という構成の、ハイブリッド型イヤフォンです。Unique Melody製のイヤフォンとしては最廉価品ですが、これはTWSという売れ線ジャンルであるための戦略的な価格設定だったのかも知れません。Unique Melody製の有線イヤフォンでは、ダイナミックドライバー、BAドライバー各1基のMacbeth Tiでも10万円弱という価格設定ですので…。

Bluetoothの仕様に関しては、Ver 5.0サポートですが、コーデックはSBC/AAC/aptXと音質を売りにするにしては最低限の水準です。

今回は上流の質を確保するために、iBasso DX300を使って試聴します。

TWS30Xをケースから取り出し、左右のイヤフォン間のペアリングが完了すると接続待機モードに遷移しますので、後はDAPやスマートフォンからペアリングするだけです。

音質についていえば、イヤフォン自身の実力よりはBluetoothの限界が見えてくるというレベルです。Unique Melodyらしく弱ドンシャリ（やや低域が強め）にまとめられていて、誰が聴いても程々に音が良いと感じられるバランスでまとめられています。

高域方向の濁りはBluetoothらしくそこそこあり、空間表現もややスカスカですが、この辺りはBluetoothである限り、音質の良さで人気のTechnics EAH-AZ80辺りを聴いても大して変わりません。TWS30Xはノイズキャンセリング機構は備えていませんが、シェル形状が工夫されていて遮音性は良好です。個人的にはもう少し外の音が入ってくれた方が良いのですが、世間一般ではこれ位の遮音性が好まれるでしょう。

「Explosive / David Garrett」を聴くとさすがにヴァイオリンの音色はちょっと厳しいところですが、辛うじて破綻無く聴ける水準です。「Born For This Moment / Chicago」ではバランスはまずまず良好ですがホーンセクションはさすがに痩せてしまいますし、音場も密度の薄さが目立ちます。

いずれもいかにもBluetooth接続という音ではあるのですが、逆に言えばドライバー自体の素性は決して悪くないということかも知れません。私が「Bluetoothならこんなものかな」と思う音がほぼそのまま出てきます。

アクティブノイズキャンセリングが装備されておらず、高機能型のイヤフォンと比べれば本当に最低限という構成ですが、高級イヤフォンメーカーらしいオーディオ的にきちんとまとまったイヤフォンというべき完成度は見せてくれました。この価格という前提であれば広くお薦めできるTWSです。