※「00年代前半くらいの古い新集電車両」の話です。
※結論から言えば現行品並みの転がり性能には車輪交換だけでは無理っぽい。
※ただある程度改善はする。但し車両の年代や種類によって差も多そうなので参考的にどうぞ。
動力無し新集電台車用の車輪。1箱で4個(1車両分)入り。トミックスの客車電車の大半に使用できる標準サイズってやつ。
車輪交換の理由としては清掃では難しくなったレベルの汚れや劣化による給電不良あたりが定番な気がする。あとはこれ黒染めなので銀色車輪からの変更とか。ただ今回は表題の通り別の理由…転がり性能の改善狙い。
まず大前提としてTOMIXの車両には新集電タイプとそうでないもの…旧集電タイプがある。車輪も新と旧は互換性が無いので注意。
新といっても切り替えは随分昔の話で、(今回主役の)2003年発売の485系は既に新集電。2000年に買った415系が旧集電なのでまあその辺が境界なんだろう。しらんけど。
新集電旧集電の最大の差は転がり性能。旧集電はとにかく転がらない。ライト点灯の先頭車のみならいいが、室内灯つけるために中間車にも集電金具つけようものなら大変な抵抗になる。
それを改善したのが新集電で旧はなんだったのかってくらい転がる。
…が、何か知らんが手元の車両に新集電なのに転がりがかなり悪い車両があった。それが一昨年に中古品をオクで買った415系。品番92748をベースに同時期の単品や増結の8325・92762・92788を組み合わせて11両(2M9T)のひたち編成に仕立ててある。
品番がしっかり判るからお察しだが前オーナーさんは付属品やケースをしっかり保管していて状態も良い。この92748はネットの情報によると2003年発売。
●HGシリーズ
●新集電
●フライホイール無し動力
●スプリング無しのTNカプラー
●シマシマが入った古いタイプのブックケース
と、現行と旧仕様との過渡期といった感じの世代だ。
更にそこから前オーナーさんの手によって2両のモーター車がフライホイール動力に換装されていた。
そして更に自分が買った時点で動力台車から異音が出ていたのでギア付車輪を新品に交換。当然トラクションタイヤも新品になるので動力面で言えば年数よりだいぶ新しい状態になっている。新集電だったので遠慮なく室内灯は入手後に増設した。
でもなんか他の車両に比べるとポイントとかで脱線がある。M車2両で編成半ばに負荷が出て脱線している感じ。
手元の線路は平坦オーバルが基本だったのでここでM車を1両に減らすことで脱線は無くなった。ただ新品のトラクションタイヤなのに発進時にスリップするくらい編成全体が負担のようだ。
…で、最近思い立って何を考えたか立体交差付きの線路を机上に組んでしまった。これ150x70cmくらいのスペースに無理やり押し込んだので勾配が推奨よりちょいキツイくらい。
11両は当然登れない。9両に減らしてもやっぱり登れません。それどころか7両に減らしても勾配でスリップして止まりかける。…いやさすがに1M6Tで登れない列車って手元だと旧集電とかトラクションタイヤ劣化とか何か訳アリのやつだぞ?
という訳で真面目にT車の転がり性能のチェック。そしたら全体的に転がらない、つーかモノによっては旧集電レベルだ。M車2両時の脱線はM車の性能差のせいかとおもったがたぶんこの転がり性能が悪いT車のほうがでかい。
古い車両の転がり性能改善に効果はある
さて実際どのくらい悪いのか、件の微妙に規定越えの勾配に車両を置いて転がり性能を見てみる。
参考に2022年製TOMIX車両のオハフ61をコロコロ。
サーっと滑ってポイントを超えてカーブ(車輪右端)までいく。現行品の転がり性能素晴らしい。意外な事にイメージ的に転がりのいいKATOのSL人吉客車よりも転がった。車種の差はあるだろうが現行品は両社差が無い程度に昇華してきているようだ。
じゃあつぎ485系のてきとうなやつ。
なんと坂が終わる前に止まってしまった。現行品を100としたら20くらいのイメージ。
ひどい奴だと試すどころか置いた場所から動かない。これもう旧集電レベルじゃん。0点。
T車10両中9両はこれら0~20のレベル。むしろよく1M6Tで坂登ったな。
1両だけ現行品といわずともポイント越え…60くらい転がるやつがいたが、それはM車からT車に床下足回り交換したやつだった。その時も古そうな足回りを移植したが元よりは新しかったんだろう。全車両こいつくらい転がってくれればいいんだが。
しかしぱっと見、ロクに転がらないやつも現行の新集電も差が無いように見える。うーん。
手っ取り早いのは台車を新品に交換するのだがコストはもちろんそのタイプの台車の小売りがあるか否か(ラインナップされていても常時生産されているわけではない)の問題もある。
で、試しに坂途中で止まるやつに、手元の新しい車両から新品に近い車輪を移植してみた。
お、現行品まではいかないがポイントちょい先まで転がった。M→T換装車と同じ60くらい。
逆に実験として取り外した古い車輪を現行車両に逆移植してみる。
元々は↑のオハフと同じ100くらい転がるヤツだ。
はい50くらいに低下。古い車輪で明らかに転がり性能が低下している。
恐らく台車枠や金具等総合した結果なので車輪が全ての原因ではないが少なくとも古い車輪は転がり性能を低下させている一要素なのは間違いない。
やっとここで表題の保守部品新品車輪を購入。9両分どかんと(写真は他の白箱部品もまとめて買ったので11箱あるぞ)。1両分300円と安くは無いがまあ集電能力の回復見込めるし…でも箱あけるのめんどいからお徳用5両分入りとか欲しい。
まあ車輪交換くらいなら台車に車体につけたまま交換できるのでサクサクと。
…しかしまたここで謎現象が。交換でまあまあ転がるようになった車両もあれば交換しても坂道途中でとまる20くらいのやつがいる。特にクハ2両とサロ1両がダメ。こいつら現物の関係で他の車両とは台車の形が異なる。ひょっとしてこの台車枠だとまた違うのか?うーんと車体から台車をバラして特に有意な差がないので組み戻して…
あれ、なんか60くらい転がるようになってる。なにこれ。実は一度バラして組戻すだけでも効果ある?
別のモハ車を「車輪交換無しバラして組み直すだけ」をしてみると…やはり20→50くらいの改善。経年とか保管状態で単純に台車の軸受けずれたりしてたの?車輪買わないでよかったの?
じゃあ更にそのモハをもう一度バラして新品車輪にしてみると…
今回の485系ではベストなカーブに到達…70くらいの転がり性能に。よかった新品車輪無駄じゃなかった。
面倒だがM→T換装済車両含めた10両全てを一度台車取外し→金具・車輪・台車枠にバラしてから再組立てを行うことに。当然9両は新品車輪で。
再組立てしてもうまく転がらなかったやつはしつこくもう一度再組立てするとよくなった。
すると最低ポイント越えの60、調子のいいものならカーブ到達の80点くらいな転がり性能に。さすがに現行品クラスになるものは居なかったが、これなら9両編成の勾配は低速でもノンスリップ。11両でも僅かに滑る時もあるが十分許容範囲で登れるようになった。元々7両でも止まるレベルだったのだから大幅な改善だ。
1M10Tで室内灯入り編成を上らせられるなら現行品程じゃないにしろ十分な性能になった。そもそも入手時は2M9Tだったわけだし。
またその過程で485系についていた車輪が2種類ある事に気付いた。
インシュレーターが目立つタイプ(右)と目立たないタイプ(左)。目立たない方は92748のセット品、目立つ方は増結車についていた。ちなみに新品車輪は目立たない方。どっちの車両も転がりが悪かったので一概には言えないが、インシュレーターが目立つタイプは車輪交換時に台車枠を強く広げないと着脱できなかったので気持ち長いのかもしれない。精密なノギスでもあれば計れそうだが。インシュレーターが目立たないタイプの車輪はぱっと見購入した現行品と同じにしか見えない。差異があるかは不明。
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今回の485系の結論としては…
1.台車をバラして再組立てするだけでも結構改善する。
一度組み立ててダメでももう1回組み立てたら改善したやつあり。
クハ・サロが特に転がり悪かったので台車枠の種類で差異あり?
2.バラすついでに新品車輪にするとより効果が出る。
特にインシュレータが目立つ車輪のやつは交換するといいのかも?
交換の際は1.の作業を平行して行わないと交換しても効果が薄い。
3.それ以上必要なら現行の新品台車をつけよう。
といった感じ。
今回は11両編成と長めだったので、新品車輪への交換も全車行ったが、そもそも古い車両にコストかけたくないってパターンのほうが多いと思うので、新品車輪への交換はライトの給電のリフレッシュも兼ねて先頭車のみ、中間車は台車再組立てのみですませる車両を適宜混ぜればよりローコストで抑えられるかもしれない。
余談
上記の「バラして組み立て直すだけで少し転がりがよくなる」の件、マイクロエース製の古めの製品を中古入手したのでやってみた。
やはりフライホイール動力搭載初期くらいの2007年発売のA2175 北総7000形で、そのままだと8両編成で上記と同じ上り坂は事前に勢いつけていないと登れない程度。
集電構造は同じピボットタイプで作りも近いが分解組立は少しやり難い。台車毎に効果の差はあったがやはり分解→再組立てだけで結構転がりがよくなり、スリップしつつも抑え目の速度で登るように。車輪新品交換のTOMIX 415系よりは全体に転がりが悪いがそれでもやらないよりはだいぶ良い。
流れで動力車のトラクションタイヤ交換。
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購入金額
324円
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購入日
2023年02月04日
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購入場所
Joshin
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