レビューメディア「ジグソー」

USB 3.2 Gen2接続で使う場合、WD(SanDisk)独自コントローラーの真価が発揮できない

ここ数年容量1TBのM.2 NVMe SSDを、NVMe⇒USB変換 M.2 SSD外付けアダプター(裸族の頭 M.2 SSD CRAM2NSU32)で付け替えて倉庫用SSDとしているのだが、その過程で信頼のおけるメーカー製のM.2 NVMe SSDをいくつか検証のために入手した。

 

メーカーが信用できることの他の選定ポイントは、製品保証が5年であることと、TBWやMTTFが極端に短いのは避けるというあたり。

 

その過程で検証が必要だったメーカーがWD。

 

HDDでは実質3つかなくなってしまったメーカーの一つで、cybercat家での海門の故障率の異常な高さと、残る東芝は3.5インチはWDとの混血で独自性が高いのは2.5インチのみということで、ともに選べず、3.5インチHDDではほぼ唯一の選択肢となっているメーカーだが、SSDも販売しており、2.5インチ SATA SSD時代には最もお世話になったメーカーの一つでもある。そしてSATA系が高速ストレージ系としては終焉を迎えつつある現在、当然M.2 NVMe SSDも販売している。であれば、好きなストレージメーカーとして検証しなければなるまいと。

【21世紀以降のHDDメーカーの合併・連携・事業譲渡/現主要3社から見た傘下・吸収企業】

・WD(Western Digital):HGST(日立製作所・IBM含む)・Komag

・Seagate Technology:Samsung Electronics・Maxtor(Quantum含む)

・東芝:富士通・松下寿電子

 

ただ、HDDもメーカー統合で「製造メーカー」が不明確な時期があったが、SSDも合併・買収でパーツ目線で見ると大きく違わないものもある。

 

WDは、SanDiskとの経営統合をしているし、KIOXIA(旧東芝メモリ)と協業している(合併は諸事情で失敗したが、それくらい「近い」関係)。結果、WDとSanDiskとKIOXIAの一部製品̪は、パーツ目線で見るとかなりパーツ構成が似通っている場合もある。

 

特にNANDに関しては、三重県四日市と 岩手県北上市にある工場を共同運営しており、最近のKIOXIAブランドのNANDとSanDiskのNANDは中身は同一であるという。それをコントローラーとの組み合わせとチューニングで個性を出しているとのことなので、KIOXIAのEXCERIAシリーズを多く使う自分としては検証しておきたかったわけ。

 

2024年現在市場にあるWDのM.2 NVMe SSD(内蔵型)としては、

・WD_BLACK SN850系:無印、P、X

・WD_BLACK SN770系:無印、M

・WD_BLACK SN750SE

・WD Red SN700

・WD Blue SN580

・WD Blue SN570

・WD Blue SN550

・WD Green SN350

といった感じ(SN550のような旧型は容量によっては選べない)。

 

色別シリーズ構成は、WD HDDのときの法則と同じく、WD_BLACKはハイスペック(主にゲーム向け)、RedはNAS向け、Blueは汎用、Greenは廉価版という形。

 

このうちWD_BLACKは、ハイスペックであるとともに高価でもあり、カセット式に一時使用するだけの倉庫用SSDとして使うのはあまりに贅沢。

 

HDD時代は比較的近接した価格な割に、RedはBlueより永い保証期間(WD Blue HDDは2年保証に対して同Redは3年)を持っていたため、Redを選んでいた時期もあったが、SSDに関しては、耐久性と信頼性に関してはRed>Blueであるものの(1TB版同士の比較でRedは2000TBW・MTTF1.75Mhに対して、Blueは600TBW・MTTF1.5Mh)、保証はともに5年間。それであれば、常時稼働ではなく、使用後は取り外して保管している倉庫用SSDとしてはRedである必要がない。

 

一方Greenは保証が内蔵SSDのなかでは唯一3年で、TBWは80~100(1TB版2種あり)、MTTFも1.0Mhとちょっと信頼性に欠ける感じ。

 

そこで、WD Blueの中では下位の、PCI-Express Gen3接続のSN570の1TBを入手してみた(USB変換するので、PCI-Express Gen4対応のSN580はオーバースペック)。

パッケージは全面ラベルのような絵が描かれているが...
パッケージはあたかも全面ラベルのような絵が描かれているが...

 

内容物()実際にはラベルは小さい
SSDに貼られるラベルは実際には小さい。内容物は本体とサポート情報等の冊子。

 

SSDは片面実装で、M.2 2280サイズの基板の端と端にコントローラーチップとNANDチップが載っているシンプルな構造。

DRAMキャッシュレスで、1TBのNAND採用のため、部品点数は少ない
DRAMキャッシュレスで、1TBのNAND採用のため、部品点数は少ない

 

シンプルな片面実装
シンプルな片面実装

 

SanDiskの刻印のあるコントローラーは自社製
SanDiskの刻印のあるコントローラーは自社製

 

マレーシア産なのは最終アセンブルであり、中身は四日市産のBiCS5 112L TLC
マレーシア刻印は最終アセンブルであり、中身は四日市産のBiCS5 112L TLCと言われている

 

これはNANDが112層化されたKIOXIA BiCS5の1TB品を採用しているから。このNANDは自分が一番使っているKIOXIA EXCERIA G2のBiCS4(96層 3D TLC NAND)の次世代品。BiCS4を採用するEXCERIA G2のNANDは96層で、WD Blue SN570の112層NANDよりは積層数が大きくより記録密度が高いが、1チップの記憶容量も上がっているため、大容量を実現する一方、性能低下要素もある。

 

実際の使い方である、オープン型M.2 NVMe SSD USBアダプターである裸族の頭(M.2 SSD CRAM2NSU32)に搭載して、一番良く使っている「倉庫M.2 SSD」と比較してみた。

 

測定環境:

測定対象M.2 PCIe Gen3×4 SSD:本品=SN570 もしくは 比較品=EXCERIA G2もしくはP2

 ↓

M.2 SSD外付けアダプター(裸族の頭 M.2 SSD CRAM2NSU32)

 ↓

Type-C⇔Type-Cケーブル(Anker 515)

 ↓

M/B直付けUSB3.2 Gen2 Type-Cポート(ASUS ROG Zenith Extreme背面ポート)

 

せせ比較対象は、自分にとっての「倉庫M.2 SSD」の定番EXCERIA G2と、次点のP2

 

WD Blue SN570(WDS100T3B0C-EC)

ff
NVMe接続では公称Seq Read3,500 MB/sを誇るミドルクラスSSDもUSB接続だとこんなモン

 

□KIOXIA EXCERIA G2 NVMe SSD(SSD-CK1.0N3G2/N)

NVMe
96層のNBiCS4世代NANDのSSD、公称Seq Read2,400 MB/sのEXCERIA G2と変わらない

 

□Crucial SSD P2(CT1000P2SSD8JP)

CTはこの環境下ではSEQ Readが振るわなかった()
CrucialのP2は、この環境下ではSEQ Readが振るわなかった(これだけ過去のデータ)

 

カタログスペックでは、シーケンシャルでおおむね1.5倍以上、ランダムでも数割は性能が上のSN570と、KIOXIAのEXCERIA G2の性能差がほぼない(なぜかCrucial P2はSEQ Readが振るわないが)。

 

ここまで同じなら、安い方買えば良いわけで、現在のcybercatの「倉庫SSD標準」は、KIOXIA EXCERIA G2 NVMe SSDに落ち着いている(Crucial SSD P2はカタログスペックも実測もやや劣るので、よっぽど安くないと買わない)。

 

ま、今回はUSB変換しての接続なので、せっかくの高性能が頭打ちになってしまったのだと思うが...使う場所によっては、その性能が活かせない例でした。

 

【WDS100T3B0C-EC仕様】

インターフェース:PCIe Gen3 8 Gb/秒、最大4レーン
NAND型:TLC

キャッシュ:DRAMチップレス、SLCキャッシュ
最大シーケンシャル読み出し:3,500MB/s
最大シーケンシャル書き込み:3,000MB/s
最大ランダム読み出し 4KB:460K IOPS
最大ランダム書き込み 4KB:450K IOPS
耐久性:600TBW
信頼性MTTF:150万時間
製品保証:5年
フォームファクター:M.2 2280
重量:6.5g ± 1g

更新: 2024/01/22
コストパフォーマンス

USB変換して接続した場合、下位のNVMe SSDと大差ない

M.2 NVMe接続すれば差が出るのだろうが、USB接続する場合、下位グレードのSSDで問題ない。

 

むしろこういうUSB接続の倉庫的SSDとしての使い方の場合、MTTFやNAND型に注目して選んだ方が良いのでは。

  • 購入金額

    10,464円

  • 購入日

    2022年10月30日

  • 購入場所

    Amazon

12人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (0)

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ20MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが20MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから