レビューメディア「ジグソー」

高音質が必要なソースか考えさせられる

以前から気になっていたものの、あまりに高価すぎて買う気が起きなかった作品の一つがこれでした。珍しく中古で出ていたのをみて買ってしまったわけですが…。

 

オーディオ誌「Stereo Sound」による企画盤で、安全地帯全作品の中から人気の高い楽曲を、可能な限り高音質でリスナーに届けるという目的でリリースされたレコードになります。SACD盤もリリースされていますが、収録時間の都合でレコードは全10曲、SACDは全18曲と内容には結構大きな差があります。もっとも、レコードでは本作の後でVol.2がリリースされ、2作合計で計20曲となるわけですが …。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

収録曲は以下の通りです。(「」内はオリジナルの収録作品)

 

 

Side A

 1. To me     「安全地帯V」
 2. ワインレッドの心     「安全地帯II」
 3. Friend     「安全地帯V」
 4. 夏の終りのハーモニー    「安全地帯V」
 5. 夢のつづき     「安全地帯IV」


Side B

 1. 恋の予感     「安全地帯III」
 2. あなたに     「安全地帯II」
 3. 悲しみにさよなら     「安全地帯IV」
 4. 碧い瞳のエリス     「安全地帯IV」
 5. メロディー     「安全地帯XIII」

 

 

B-5の「メロディー」は2011年リリースでデジタルレコーディングだったそうですが、それ以外の楽曲は全てアナログテープで録音されていて、それを最良の音質でレコードにカッティングすることにかなりの労力が割かれたそうです。

 

アナログテープからの音源起こしからカッティングまでの過程は、日本コロムビアのカッティング・エンジニア武沢茂氏が入念に行い、現時点でオリジナルのテープから引き出せる最高の音に仕立てたとしています。

 

 

元々私自身は特別安全地帯の作品に思い入れがあるわけではなく、レコードで所有しているアルバムは「安全地帯 V」だけでした。このアルバムはCD全盛期に中古レコード店の店先に「ご自由にお持ちください」と置かれていたものを、収録曲の「夏の終りのハーモニー」目当てにいただいてきたものです。ただ、聴いてみると割合残念な音質で、それ以降あまり聴かないで保管していました。

 

その点、このStereo Sound盤は試聴記事でオーディオ評論家の土方久明氏が「玉置浩二の声が生々しい」「オリジナルとは別物の音」と高く評価されていましたので、一度聴いてみたいと思っていたわけです。

 

ただ、手元に届いたこの中古盤は結構傷が多く、盤質には難がありました。基本的な音の傾向は把握できていると思いますが、完全な状態ではないことを念頭にこれ以降をお読みください。

更新: 2022/02/05
総評

「録音された音」の限界がある

それではいつも通り、Technics SL-1200G+Phasemation EA-200+audio-technica AT-OC9/IIIの組み合わせで聴いてみることにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

まずは以前のレコードで聴いていた「夏の終りのハーモニー」を聴いてみましょう。

 

なるほど、確かに冒頭から昔のレコードではまるで感じられなかった鮮度感がありますし、ヴォーカルもある程度は実在感があり明瞭に定位します。オリジナルの「安全地帯 V」の音は完全に超えていると判断して良いでしょう。

 

ただ、以前CDのベスト盤で聴いた印象では、「安全地帯 VIII」辺りまでの楽曲は元々の音がかなり不明瞭で、楽器の質感が感じられるような次元の音ではありませんでした。当然このレコードはカッティング(CDでいえばマスタリングに相当」の質は高く、昔よりはオーディオ的に大きく進歩しているものの、それだけで制作当時の音の悪さが全て解決されるわけではありません。

 

最大限音質に配慮された本作であっても、当時この音で発売されていても決して音が良かったとは言えないという程度の水準にとどまってしまっているのです。つまり大幅に良くなったところで水準には届かないということです。玉置浩二が本格的にソロ活動を展開してからの作品はもっとまともな音ですから、安全地帯全盛期の制作環境の問題だったのでしょうか。

 

音楽的には、率直に言って初期の玉置浩二のヴォーカルスタイルはあまり好きではないのですが、それでも当時から作曲能力が際立っていたことは間違いないでしょう。改めて彼が作る楽曲の質の高さを実感させられるものになっています。

 

本作の収録曲のうち、安全地帯にさほど詳しくない人が知っている楽曲はせいぜい半分程度でしょう。しかし、それ以外の楽曲も質において劣る点はなく、一つのアルバムごとに高水準の曲を何曲も書いていたという能力はやはり驚異的です。

 

 

収録曲をみると、続編のVol.2の方が高音質で聞く意味がありそうに見えてきますので、機会があればVol.2の方も入手したいとは思います。新品で買いたいとまでは思いませんが…。

  • 購入金額

    4,400円

  • 購入日

    2022年02月02日

  • 購入場所

    HARD OFF

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