現時点でサラ・ブライトマンの最新のアルバムとなる作品です。
実は1年以上前に入手していたものの、最初に届いたレコードは盤が熱変形していてまともに聴けない代物、3ヶ月近くかけて良品交換していただいたものもあまりに音が悪かったため、取り上げるのを見送っていたアルバムです。
本作はハイレゾDLやCDでも音質面での評価は極めて悪く、その程度の録音であることは間違いありません。しかし、先日このLPをAT-ART7で聴いてみたところ、何とか聴ける水準でまとめてくれたことで改めて聴き返して取り上げることにしました。
本作はCDで2形態(通常盤とツアーエディション)リリースされていて、さらに通常盤の日本仕様はボーナストラックが追加されているなど、収録曲に細かな違いがあるものが複数存在しています。このLPの収録曲は以下の通りです。
Side A:
01 HYMN
02 Sogni
03 Sky And Sand
04 Canto Per Noi
05 Fly To Paradise
06 Gia Nel Seno (La Storia Di Lucrezia)
Side B:
07 Follow Me
08 You
09 Better Is One Day
10 Tu Che M'Hai Preso Il Cuor
11 Miracle
12 Time To Say Goodbye
アルバムタイトルの「HYMN」とは「賛歌」の意味で、同名楽曲の原曲は英国のプログレッシブ・ロック・バンド、バークレイ・ジェイムス・ハーヴェストによるものとのことです。サラ・ブライトマンの歌唱とアレンジで、あたかもオリジナルであるかのような印象を受けてしまいますが…。
ダブルジャケットですが、収録曲はレコード1枚に収まっています。
最初に届いたレコードは恐らく温度管理されていない状態で、しかも不均一に力がかかる状態で保管されていたのでしょう。反りがひどいだけではなく、溝が左右に蛇行するほどひどいもので、再生音もかなり揺れてしまっていました。交換していただいたものは汚れの付着は多かったものの状態は悪くありません。
内容は素晴らしいが録音が悪く、声も少し衰えが
本作の収録曲はYouTubeに公式の映像が多く用意されていますので、それらを紹介しながら書き進めていきます。まずは本人やプロデューサーのコメント付き解説映像から。
解説動画のバックでも流れている、タイトル曲「HYMN」はこちら。
ただ、以前の澄み切ったソプラノと比べると、随分声がハスキーになった印象があります。悪いわけではありませんが、この声質の変化が録音の方向性にも影響しているのかも知れないと感じさせられます。とにかくアルバム全編を通して、ヴォーカルの音質には不満しかありません。
良い意味でらしくない楽曲と思ったのは、この「Sky And Sand」です。クラシック系からポップスまで幅広く網羅する、サラ・ブライトマンの良さを上手く引き出した楽曲と思います。
逆にいかにもらしい楽曲と思ったのが、こちらの「Sogni」です。ただ、この曲を聴いて声の艶と張りが落ちたかな、と感じさせられた部分もあるわけで…。
日本のX JAPAN YOSHIKIとの共演となったのが、こちらの「Miracle」です。この曲は2018年末のNHK紅白歌合戦でもサラ・ブライトマンが来日しての生歌唱を聴くことが出来ました。こう言っては何ですが、やはり全盛期には及ばないとはいえ、依然として世界有数の歌手としての貫禄は十分に見せつけたステージでした。当時の映像を見返してみましたが、やはり他の出演者とも格が違っていたと思います。
サラ・ブライトマンの代表曲としてあまりに有名なのが、この「Time To Say Goodbye」です。このアルバム向けに、アレンジを随分変えて再録されています。
過去に何度かレコーディングされている楽曲であり、以前の歌唱と比べるとやはり声の衰えを感じる部分はあるのですが、楽曲のアレンジは今回のものが個人的に最も好きです。もともとこのレコードはこの曲を聴きたくて買ったものですので、その期待には十分応えてくれました。
アルバムを通して聴いてみて、他の楽曲も含めて聴き応えは十分にあり、内容面では満足できました。それだけに特に声の部分の異様な音質の悪さがどうしても気になってしまいます。
実はカートリッジをAT-OC9/IIIにして聴いていたときには、声がガサガサで聴くに堪えないほどひどかったのです。中低域にふくよかさがあるAT-ART7で聴いて、初めて音楽的な内容が入ってくる音にようやくなってくれたという程度です。良品交換していただいたレコードが届いたときには、たまたまKS-Remasta製のシェルリード線を試聴している時期で、当時手元に届いていた中で最上位のKS-Stage901EVO.I-VKを組み合わせて、何とか多少聴けるという程度でした。
何とか聴ける程度の音にたどり着くことが出来れば、内容面では充実した作品です。それだけに普段音をあまり気にしない人でも、このアルバムの声の質には違和感を覚えるのではないでしょうか。
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購入金額
2,755円
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購入日
2020年04月27日
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購入場所
HMV
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