レビューメディア「ジグソー」

久々にクラシックに戻ってきた

これまでクラシックにとどまらず、あらゆる分野の音楽を精力的に取り上げてきたヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレット。過去何作か紹介していますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その彼が、ヴァイオリンを始めた頃に夢中になって弾いたというクラシック楽曲を中心に取り上げたのが、最新作となる「ICONIC」です。ここ数年アルバムの中でクラシック楽曲を取り上げることもあったものの、それもロック的なアプローチのアレンジを加えることが多かったのですが、今回はクラシックを少し現代的にアレンジしたという程度で、彼本来のクラシックに軸足を置いた作品となっています。

 

まずは収録楽曲から。今回もLPで購入しているのですが、2枚組ではあるもののCDと比べると収録曲数は少なめとなります。

 

 

Side A

 

A1. Estrellita (Composed By Manuel Ponce)
A2. Mélodie (Composed By Christoph Willibald Gluck)
A3. Romantic Piece Op. 75/1 (Composed By Antonín Dvořák)
A4. Sicilienne (Composed By Maria Theresia von Paradis)
A5. Ave Maria (Composed By Franz Schubert, Tenor Vocal Andrea Bocelli)
A6. The Swan (Composed By Camille Saint-Saëns)

 

Side B

 

B1. Jeanie With The Light Brown Hair (Composed By Stephen Foster)
B2. Praeludium Op. 97d/1(Composed By Dmitri Shostakovich, Violin Itzhak Perlman)
B3. Largo (Composed By Antonio Vivaldi)
B4. Träumerei Op. 15/7 (Composed By Robert Schumann)
B5. Auf Flügeln Des Gesanges Op. 34/2 (Composed By Felix Mendelssohn)
B6. Hora Staccato (Composed By Grigoraș Dinicu, Trumpet Till Brönner)

 

 

Side C

 

C1. Largo (Composed By Francesco Maria Veracini)
C2. La Fille Aux Cheveux De Lin L 117/8 (Composed By Claude Debussy, Flute Cocomi)
C3. Cavatina Op. 85/3 (Composed By Joachim Raff)
C4. Danny Boy (Traditional)
C5. Allegro Assai (Composed By Johann Sebastian Bach)

 

 

Side D

 

D1. Largo E Spiccato (Composed By Antonio Vivaldi)
D2. Tempo Di Minuetto (In The Style Of Pugnani) (Composed By Fritz Kreisler)
D3. Après Un Rêve Op. 7/1 (Composed By Gabriel Fauré)
D4. Danse Macabre Op. 40 (Composed By Camille Saint-Saëns)
D5. Songs My Mother Taught Me Op. 55/4 (Composed By Antonín Dvořák)

 

 

 

ゲストとして当代最高といわれるテノール、アンドレア・ボッチェリ、イスラエルの巨匠ヴァイオリニスト、イツァーク・パールマン、ドイツのトランペッター(マルチミュージシャンとして有名)、ティル・ブレナーと豪華な面々が参加している中に、何故かフルートで日本からCocomiという記載が。これは正直止めて欲しかったです。全く格が釣り合っていませんから…。

 

 

それはともかく、今回購入したのはUNIVERSAL MUSIC STORE限定盤の直筆サイン入り2枚組LPというものです。別にサイン入りにこだわる訳でもないのですが、通常盤LPと価格差が殆どなかったのでまあ良いかという程度の購入動機です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何というか、シンプルというべきか雑というべきか悩むサインです…。

更新: 2022/12/06
総評

今までの作品より音も良く、演奏も充実

収録時間を考えれば、溝を狭くすることで1枚で収めることも不可能ではないのでしょうが、今時レコードで発売する以上音質を求められることは理解しているのでしょう。溝の幅を広めに取った2枚組となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれのレコードはラベル色の違いで識別出来るようになっています。

 

 

 

 

 

 

 

インナージャケットのクレジットにもサインが入っているのですが、ジャケット表面の直筆サインと随分違っているような…。

 

 

さて、本作の収録曲は前述の通り純粋なクラシック楽曲が多いのですが、彼が少年期にヴァイオリンで練習した曲ということで、一般的にもよく知られた曲が多いのではないでしょうか。タイトルを見てピンと来なくても、聴けば判るというものが多いはずです。収録曲をいくつか紹介しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはヴィヴァルディの「四季」に含まれる、「協奏曲第4番ヘ短調 RV 297「冬」(L'Inverno)」の第2楽章です。「冬」では第1楽章の方がなじみ深い気はするのですが、第2楽章もどこかで聴いたことがあるという人は多いはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いてサン=サーンスの「死の舞踏」(作品40, R171)です。通常のオーケストラによる演奏と比べると、当然ではあるのですが主旋律の存在がかなり強くなりますが、この曲らしい世界観はきちんと構築されているのはさすがではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

個人的に本作の中でも最も好きなのが、こちらのショスタコーヴィチ「3つの二重奏曲 作品97d 第1番: 前奏曲(2本のヴァイオリン&オーケストラ編)」です。前述のイツァーク・パールマンとの共演で、いつになくヴァイオリンが深い音色を醸し出していて、彼の本気が感じられます。

 

 

オーディオ的にみても、彼のこれまでのアルバムと比較して、ヴァイオリンの質感が随分良くなっていますし、バックのオーケストラの音は結構ひどいものが多かったのが、今回はそれぞれの楽器の質感がきちんと感じられる水準で収録されています。今までのようなロック的なアレンジを排したことが、このアルバム全体の音質に一役買っているのではないかという気がします。

 

普段のクロスオーバー色の強い作品は勿論好きなのですが、本作では現役最高峰といわれるヴァイオリニストとしての実力を存分に発揮している印象を受けました。今回は音質を重視してLPを入手したのですが、欠けている収録曲を聴くためにCDも入手するべきかと思いつつあります…。

  • 購入金額

    4,880円

  • 購入日

    2022年11月05日

  • 購入場所

    UNIVERSAL MUSIC STORE

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