海外では9月に発売済みだった、ヴァイオリニスト David Garrettの新作ですが、今のところ日本盤の発売は予告されていないという状況です。日本での取り扱いレーベルであるユニバーサルミュージックの公式サイトでも、直輸入盤の紹介と販売ページへのリンク、ストリーミング配信の案内のみが用意されていて、CD等の予告は出ていないのです。
日本盤のCDよりも先にリリース予告が出たのは、LPの直輸入盤でした。海外盤のCDと収録内容を見比べてみると、LPの方がむしろボーナストラックの追加があり充実していた(CDのDeluxe盤と同じ曲目)ということで、今回はLPで購入することにしました。まあ、LPがあればCDに起こすことはさほど難しくありませんからね。
ボーナストラックを含めると全18曲収録で、LPでは2枚組となります。曲目は次の通りです。
A-01 In The Air Tonight (Phil Collins)
A-02 Born In The USA (Bruce Springsteen)
A-03 Stairway To Heaven (Led Zeppelin)
A-04 Superstition (Stevie Wonder)
A-05 Bitter Sweet Symphony (Rolling Stones)
B-01 Killing In The Name (Rage Against Machine)
B-02 Purple Rain (Prince)
B-03 Eye Of The Tiger (Survivor)
B-04 Fix You (Coldplay)
C-01 Tchaikovsky Symphony No.1
C-02 The Well Dressed Guitar (Deep Purple)
C-03 You're The Inspiration (Chicago)
C-04 Duel Guitar Vs. Violin
C-05 Bohemian Rhapsody (Queen)
D-01 Earth Song (Michael Jackson)
D-02 Baroque Reinvention
D-03 One Moment In Time (Albert Hammond / Whitney Houston)
D-04 Nah Neh Nah (Vaya con Dios)
括弧内はオリジナル楽曲のアーティスト名です。
今までは意外と超有名曲を取り上げていることは少なめだったのですが、今回は有名アーティストのヒット曲を真正面から取り上げているものが多くなっています。
過去作品よりもDavid Garrett入門向け
元々ここ最近は彼の新作は出たら買うという感じではあったのですが、今回はオリジナルの楽曲に馴染み深いものが多く、特に楽しみにしていて、国内盤のリリースを待っていました。
しかし未だに国内盤のリリース予定は示されておらず、仕方ないのでCDを買っても別に買うつもりであったLP盤の方を先に買うことにしたのです。ちなみに配信では既に先行リリースされていた「Stairway To Heaven」はmoraで購入済みです。
私自身最も拘りのあるアーティストである、Chicagoの楽曲が取り上げられたことは実は少々意外に思っていました。David Garrettはロック系の楽曲も好きらしいのですが、気に入らない楽曲については「くだらない」などとはっきりと評してしまうこともあり、売れ線狙いだった80年代のChicagoの楽曲を好んで聴くようには思えなかったからです。もっとも、この時期のChicagoをプロデュースしていたDavid Fosterとは親交があるようで、過去作の「Music」でChopinのNocturneを演奏した際には、ピアノ奏者としてDavid Fosterも参加しています。
とはいえ、取り上げられた楽曲である「You're The Inspiration」(邦題「君こそすべて」)は、私個人としてはChicagoのシングル表題曲としては最も愛着のない曲ではあるのですが…。
同じくDavid Fosterが関係した楽曲としては「Earth Song」があります。これはMichael Jacksonの楽曲ですが、その原曲でQuincy Jones系の人脈では無くDavid Fosterがプロデュースを担当しているのです。この曲のアレンジなどはDavid Garrettのセンスが存分に発揮されているように思います。
ただ、先行配信で入手していた「Stairway To Heaven」についてはちょっとあっさりしすぎかな、と感じました。演奏時間が原曲の半分程度しかありませんので、駆け足で曲が終わってしまうという印象を受けてしまうのです。逆に言えば原曲はあの長さを活かした巧みな構成が光る楽曲であり、David Garrettの実力を持ってしても原曲を超える魅力を発揮することが出来なかったということになります。
今回の選曲は70~80年代の洋楽好きであればストライクゾーンの真ん中というべきものであり、マイナーな楽曲を取り上げることもあった過去作品と比べても、よりDavid Garrettの入門用として適した構成というべきものです。
クラシック系の比率は前作「Explosive」の方が高くなっていますので、本作で彼に興味を持たれた方には、是非前作以前に遡っていただきたいと思います。
試聴用ビデオ
Youtubeのオフィシャルチャンネルに、本作からの試聴用動画が上がっていましたのでご紹介しておきましょう。
・Bitter Sweet Symphony (Rolling Stones カバー)
・In The Air Tonight (Phil Collins カバー)
・Stairway To Heaven (Led Zeppelin カバー)
彼の試聴用ビデオは全曲フルで聴ける上に、ビデオとしては音質もまずまず良好なので、過去作品も含めてお薦めです。
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購入金額
3,474円
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購入日
2017年10月31日
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購入場所
ローチケHMV
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