漫画・アニメでお馴染みの名作「ルパン三世」の作者、モンキー・パンチ氏が亡くなって2年ほど経ちました。
当然ながら氏は漫画の作者として著名でしたが、実はオーディオ・ヴィジュアルのマニアとしても、その方面で知られた存在でした。その氏がシアタールームを構築するべく、自宅の地として選んだのが、私が現在住んでいる千葉県佐倉市でした。もっとも、氏の自宅は私の家とは違い、市内でも屈指の高級住宅地にあるのですが…。
そのシアタールームは、雑誌「HiVi」のオーディオルームクリニック企画でオーディオ評論家の潮晴男氏が訪れ、様々な助言を与えたことから、モンキー・パンチ氏の凝り性と相まって凄まじいまでの進化・深化を遂げていくことになり、その様子は度々「HiVi」をはじめとするメディアにも登場していました。本誌はそれらの過去記事をまとめると共に、関係の深い人々へのインタビュー、さらには貴重な画集などから構成された企画本となります。
内容については、当然ページを全て見せるようなことは出来ませんが、特徴的な部分をいくつか紹介していこうと思います。
モンキー・パンチ氏の資料としても貴重であり、ここ30年ほどのオーディオ・ヴィジュアルの変遷もまとめられている
まず、中心となるのは前述の「HiVi」誌の企画「潮晴男のAVルームクリーニング大作戦」の過去記事です。
初期の方では、富裕層のマニアとしてはありがちというレベルだったシアタールームの中身が、回を追うごとにダイナミックに変化していく様子は、モンキー・パンチ氏の並々ならぬマニア的な熱意が窺い知れます。マルチチャンネルのサブウーハーに、英国KEFの当時最新モデルであったModel 209を導入したときには、ここまでの高水準なマルチチャンネルシステムでModel 209を使った例は聞いたことがないと、たまたま来日中だったKEFの開発者が直接音を聴きに来たという程でした。
また、デモで見せられたプロジェクターの素晴らしさに感動して、奥様の新車に用意していた資金を流用して即購入してしまったなど、随所に人間味あふれるエピソードも盛り込まれています。
当然オーディオ雑誌が編集している本ですので、そちら方面の記述が多くなります。一応用語解説が要所に用意されてはいるのですが、そちらの方面に興味のない人がその解説を読んでも、恐らくあまり理解は出来ないだろうと思います…。
そしてモンキー・パンチ氏のファン垂涎といえるのは、氏が残したラフ画も含めた画集と、編集部等とやりとりしていた直筆の葉書でしょう。
写真はわざと多少見辛くしています。気になる方は直接この本をご覧いただければと思います。
葉書の方はいかにも個人的な挨拶ですが、やはり亡くなった年の挨拶では自身の衰えについて言及されています。氏は佐倉市の自宅から2度転居されているのですが、結局シアタールームが欲しくなって戻ってくるということでした。亡くなる直前に3度目のシアタールーム構築を始められていたものの、完成を見ることなく亡くなってしまったとのことです。
ただ、亡くなる直前まで趣味にかける熱意と、旺盛な好奇心は衰えることがなかったようで、一人の人間として羨ましい方だったと、改めて思います。
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購入金額
2,530円
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購入日
2021年05月08日
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購入場所
Amazon
タコシーさん
2021/05/09
週刊漫画アクションでしたね 意表をつくアイディアで漫画家って頭良いなあと
思いましたよ 70年頃は重い漫画も多かった時期ですからね
ルパン三世は軽妙な画風で面白かったです 漫画家にも色々画風があり考えがありと
いう感じでしたね
若い時に読んだ当時の漫画家の皆さんも亡くなられた先生が多く残念に思います。
jive9821さん
2021/05/09
私は「ルパン三世」の原作はたまに単行本で読む程度でした。
ちょっと世代がずれていたということもありまして…。
ただ、氏のご自宅の近くは良く通っていて、たまにご本人を
見かけることもあったので、その意味で親近感の湧く存在でした。
気がつくとよく知っている方々が鬼籍に入られることも増えて
きて、自分も年を取ったことを実感させられます…。