レビューメディア「ジグソー」

PC-Triple Cの特徴が引き出される

先日全く同じPC-Triple C撚線を採用した、KS-LW-5800LTDについて掲載しました。

 

 

 

 

 

 

今回取り上げるKS-LW-5800EVO.Iは、KS-LW-5800LTDのハンダをKS-Remasta独自のEVO.Iグレードに変更したものとなります。

 

実は以前、KS-LW-5800LTDと同じハンダを採用したKS-LW-4000LTDという製品と取り上げたことがありますが、これは同じ線材を採用していて今回の試聴で取り上げているKS-LW-4000MR、KS-LW-4000EVO.Iと比較すると、

 

 

  KS-LW-4000MR < KS-LW-4000LTD < KS-LW-4000EVO.I

 

 

という実力の関係が成立していました。ただ、KS-LW-4000MRとKS-LW-4000LTDの関係は、1,000円という価格差よりも大きく感じられ、KS-LW-4000LTDとKS-LW-4000EVO.Iの実力差にも匹敵するほど(こちらの価格差は4,000円)と感じられていました。つまり、通常のOFC線材と組み合わせる限りでは、LTDグレードはコストパフォーマンスは極めて良好ということです。ではPC-Triple Cより線との組み合わせではLTDグレードとEVO.Iグレードの関係がどうなるのか、試聴していくことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外見上のKS-LW-5800LTDとの差は、率直に言って全くわかりません。今回も袋から同時に2種類を取り出さないように注意していたのはいうまでもありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り付けの難易度も特に変わりません。今回取り上げた製品群はいずれも取り付けに手こずる水準ではないと思います。

 

 

更新: 2021/05/02
音質

明るく明瞭だが、アナログ的な質感はやはり出にくい

それでは早速音質の方を検証してみましょう。

 

カートリッジはZYX R50 Bloomでaudio-technica AT-LH18/OCCとの間に、このKS-LW-5800EVO.Iを使います。試聴機器は当然Technics SL-1200G+Phasemation EA-200です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試聴楽曲もこれまでと同様に「Babylon Sisters / Steely Dan」「10 Miles / Champlin Williams Friestedt」「One Last Kiss / 宇多田ヒカル」となります。

 

 

今回はKS-LW-5800LTDで相性が良かった「One Last Kiss」から聴いてみましょう。

 

KS-LW-5800LTDと同じく音圧が上がったような感覚があるのですが、KS-LW-5800EVO.Iでは聴感上のS/N比が向上しているのは、イントロの音の小ささからピークに至るまでのダイナミックレンジが拡がったようにきこえます。当然データ上は音量は揃えて聴いています。

 

宇多田ヒカルの声の生々しさもKS-LW-5800LTDよりももう少し向上しますが、102SSCのKS-LW-4600EVO.Iと同じように少し音場の前後の表現が浅い部分はあります。打ち込みの楽器の描写は、KS-LW-5800LTDよりもさらに鮮明です。

 

 

続いて「10 Miles」を聴いてみます。

 

まず、KS-LW-5800LTDと比較して音場が左右方向に少し拡がっています。さらに音の重心が少し下がり、空間の密度も少し濃くなりました。

 

ジョセフ・ウィリアムズのヴォーカルはKS-LW-5800LTDよりも前に出てきて、少し出過ぎている感はあるのですが、より生っぽく感じられます。

 

冒頭から刻まれているハイハットの音も、金属っぽさが向上していてきちんと叩いている音で表現されるようになりました。これまでの製品でも同様でしたが、EVO.Iハンダを使うとオーディオ的な正確性が向上しているように思えます。

 

そして「Babylon Sisters」ですが、この曲が最もはっきりとした違いを示してくれます。冒頭のドラムの音がスネア、バス共に別物になります。バスドラムはより低く響き、スネアは軽やかに弾けます。

 

ドナルド・フェイゲンのヴォーカルは、やはりKS-LW-5800LTDよりも前に定位して、ベールを剥いだかのような鮮明さです。「10 Miles」のジョセフ・ウィリアムズの声ほど極端に出すぎている印象は無く、この曲に関してはこれくらいヴォーカルがはっきりとしていた方がバランス良く聴くことが出来ます。声の質はこちらの方が張りがありますが、若くなるという方向ではありません。

 

女声コーラスの部分も、KS-LW-5800LTDと比べると左右に拡がっているのですが、それだけでは無くKS-LW-5800EVO.Iでは一人一人の声がはっきりと分離していることがわかります。KS-LW-5800LTDでは少し混濁していて一人ずつ聞き取るのがやや難しくなります。

 

 

総合的に見れば、PC-Triple Cらしい音ではあるものの、KS-LW-5800LTDと比較するとよりHi-Fi基調です。一般的にHi-Fi基調というとその分リスニング向きでは無いという印象を受けがちなのですが、PC-Triple C自体が元々Hi-Fi方向を狙った素材であり、その特性をより素直に引き出しているのがKS-LW-5800EVO.Iなのだということでしょう。

 

ほぼ同クラスにPC-Triple C単線を採用するKS-LW-1500EVO.Iも用意されているのですが、単線と撚線とではやはり少し傾向が変わっています。PC-Triple Cの特性はどちらも持っているのですが、撚線のKS-LW-5800EVO.Iの方が長所・短所共によりはっきりと表現されているように思います。長所をより引き出そうとするのであれば、単線を磨いたKS-Stage103EVO.I辺りの方が適していそうです。

  • 購入金額

    12,100円

  • 購入日

    2021年04月24日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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