レビューメディア「ジグソー」

ややドンシャリ気味で押し出しの良い音

KS-Remasta製のシェルリード線に関して、ハンダの質の高さや仕上げの素晴らしさはこれまでの経験で十分理解できていますので、今回はいろいろな線材を試して、その違いを体感してみたいと思っていました。

 

そこで、ヴィンテージワイヤーは候補から外して、現代的な線材を採用した製品を用意していただいて聴いているのですが、今回はポストPCOCCの一つである102SSCを使った製品を聴いてみます。

 

102SSCに関してはオーディオケーブルについてある程度の知識のある方であれば説明不要でしょうか。小柳出電気商会と三州電線によって開発されたオーディオ用銅導体であり、基本的には一般的な銅にピーリングやアニーリングといった加工を施すことで、伝導効率を高めたとされている素材です。「102SSC」という名称はこの素材の伝導率(約102.3%)および「Special Surface Copper」の頭文字から命名されているそうです。詳細はオヤイデの公式サイト上でご確認ください。

 

もっとも、オーディオ用の導体として表面処理にこだわったり、アニール処理を行うことなどは特に目新しい視点ではなく、以前から知られている要素を一通り押さえたOFC材とみることも出来るわけです。そこで、一般的なOFCとどの程度違うのか聴いてみたいと思い、この製品を試してみることにしたわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一般的なOFC素材を使っているKS-LW-4000EVO.Iとは、加工の違いがどの程度影響するのかを比較することになります。

 

 

 

 

 

 

取り付けについては、KS-LW-4000EVO.Iと比べると線が少し硬めな感じはしますが、難易度に差が付くほどでは無いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更新: 2021/05/01
音質

二次元的なバランスは良いが、少し立体感が乏しい

試聴環境はこれまでと同様です。

 

ZYX R50 Bloomとaudio-technica AT-LH18/OCCとの間の結線に利用し、その組み合わせをTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200に取り付けて聴くことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試聴ソースもこれまでと同様に、「10 Miles / Champlin Williams Friestedt」「Babylon Sisters / Steely Dan」「One Last Kiss / 宇多田ヒカル」となります。

 

 

まずは「10 Miles」から聴きましょう。

 

まず、冒頭からこの製品の特徴がわかりやすく出てきます。ベースラインは厚みがあり押し出しよく出てきますので、一般的なOFCのKS-LW-4000EVO.Iよりも明瞭です。ただ、音場がやや狭くなり、中央に凝縮されたような印象を受けます。

 

ヴォーカルが入ると少し気になったのは、ジョセフ・ウィリアムズの背が少し低くなった感覚が出てくることです。音場は左右方向だけでは無く上下方向も少し狭くなります。狭くなった分音場の密度は相応に濃くなりますので、広さを取るか濃さを取るかという問題です。

 

トーンバランスはKS-LW-4000EVO.Iと比較すると弱ドンシャリでしょうか。PC-Triple Cとは異なり、アタックの頭の部分だけでは無く、バスドラムやハイハットの音全体がやや強くなる傾向があります。

 

 

次に「Babylon Sisters」です。

 

こちらもバスドラムの音がやや大きくなる傾向がある一方、左右の広がりがやや狭くなるようです。間接音はまずまず豊かに出ているのですが、ドナルド・フェイゲンの声がやや平面的な表現となります。彼の声の成分はKS-LW-4000EVO.Iの方がより複雑な描写だと思います。

 

ヴォーカルはやや前方に定位するようになりますが、それ以外の楽器もそのすぐ後ろくらいの定位となり、やや奥行きの描写を苦手にしているような印象を受けました

 

 

そして「One Last Kiss」を聴きます。

 

打ち込みのバスドラムの音はこちらの方がKS-LW-4000EVO.Iと比較して明瞭かつ力があります。宇多田ヒカルのリードヴォーカルも少し声の太さが増すものの前方に出てくる印象があり、生っぽさが増しているように感じられます。ただ、少し引っかかるのはリードヴォーカルとセルフコーラスの位置関係で、KS-LW-4000EVO.Iでは左右のセルフコーラスよりも中央奥にリードヴォーカルが定位していたのですが、KS-LW-4600EVO.Iではこの前後の関係がかなり近い位置になることです。「Babylon Sisters」でも感じられた通り、音場の表現が平面的なのかも知れません。

 

 

個々の音については通常のOFCとなるKS-LW-4000EVO.Iよりも優れた点は多いのですが、どうしてもしっくりこなかったのは音場の空間と音像の定位です。組み合わせるカートリッジによって変わる可能性はありますが、私の環境ではどうしても立体的な表現にはたどり着きませんでした。

  • 購入金額

    12,100円

  • 購入日

    2021年04月24日

  • 購入場所

    KS-Remasta

10人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (0)

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ20MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが20MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから