レビューメディア「ジグソー」

ヴィンテージの味とオーディオ的性能を高い次元で併せ持つ

いよいよ今回のKS-Remasta試聴企画も最後の製品となります。

 

ヴィンテージ・ワイヤーを採用するシェルリード線については、価格が安い順に取り上げてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということは、今回取り上げる製品はKS-VWS-Tempest.I/NVK(55,000円)よりも高価ということになります。型番はKS-VWS-Tempest.I/SR-NVK、価格は88,000円です。

 

前回取り上げたKS-VWS-Tempest.I/NVKとの違いは、型番の途中にSRという文字が入っていることです。SRという文字はソリッドハンダを表していて、一般的にハンダに含まれている松ヤニ等の異物類が含まれていないことを意味します。そのハンダに音質に極めて有効な天然松ヤニを加えていることで、ハンダと松ヤニ双方が音質で最良の組み合わせとなるように設計されているようです。

 

 

 

 

 

 

 

今までの製品には切ってしまったときのための予備が何かしら用意されていたのですが、今回最も高価なKS-VWS-Tempest.I/SR-NVKだけは予備が一切ありませんでした。さすがに少し緊張します。

 

 

 

 

 

 

 

KS-VWS-Tempest.I/NVKとの外観上の違いは、ヘッドシェル側リードチップの皮膜が青くなっていることです。線材は全く同じようですので、これくらいはっきりとした違いが無いと見分けが付きにくいかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手元が狂いさえしなければ、取り付けの難易度自体は高くありません。特にストレート結線のZYX製カートリッジであれば、特に苦労することなく取り付けられるでしょう。audio-technicaのカートリッジのようなクロス結線だと、伸ばすときに切ってしまわないか不安になりますが…。

 

 

 

 

 

 

こちらはaudio-technica AT-ART7への取り付け例ですが、ZYX R50 Bloomで丸まっていた部分がかなり伸びていることがお判りいただけるでしょう。

更新: 2021/04/15
音質

特徴はヴィンテージながら、オーディオ的にも高性能

前回取り上げたKS-VWS-Tempest.I/NVKですら30万円クラスのカートリッジとの組み合わせ推奨だったわけですが、私の財力では到底買えるものではありません。それ以上となるKS-VWS-Tempest.I/SR-NVKには不釣り合いかも知れませんが、諦めて普段通りZYX R50 Bloomで試聴します。当然ながらTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200との組み合わせとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試聴に使う楽曲はKS-VWS-Frontier.I/NやKS-VWS-REX.II/N、KS-VWS-Tempest.I/NVKの時と同じく、

 

 

・「Englishman In New York / Sting」(LP「The Best of 25 Years」収録)

・「Prelude No.2 in C Minor / Jacques Loussier」(LP「The Newest Play Bach Vol.1」収録)

・「Runaway Dancer / Champlin Williams Friestedt」(LP「CWF 2」収録)

「I Need To Be In Love / Carpenters」(LP「Stereo Laboratory Carpenters」収録)

「秋止符 / アリス」(LP「アリス 76/45」収録)

 

 

となります。

 

 

まずは「Englishman In New York」からです。

 

基本的にはKS-VWS-Tempest.I/NVKと同じく前後左右共に広大な音場が構築されるのですが、KS-VWS-Tempest.I/SR-NVKの方は他のヴィンテージ・ワイヤーと同じようなベースラインのタッチの強さが出てきます。KS-VWS-Tempest.I/NVKはヴィンテージ・ワイヤーにしてはややおとなしい表現でした。

 

エコーや倍音成分はKS-VWS-Tempest.I/NVK以上に豊かで、広い音場を密度の濃い音で満たしてくれます。スティングのヴォーカルは少しだけ子音が強く出ているように感じるのですが、声の生々しさはさらにもう一歩上を行きます。少し意識を他にそらしているときに、思わず声の生々しさで視線を聴こえた方に向けてしまうようなリアリティがありました。

 

 

「Prelude No.2 in C Minor」では、ベースのタッチが結構強く出ているのですが、胴鳴りだけではなく弦の響きにも実在感が増していて、手で弾いているという感覚が伝わってくるようになります。ピアノの音色がややソリッド方向なのはKS-VWS-Tempest.I/NVKと同様ですが、エコーや響板の響きがより豊かで結果としてはむしろ芳醇な音色となります。音数が少ないこの曲の方が、むしろ間接音の豊かさが直接的に表現されているように感じられました。

 

 

「Runaway Dancer」はハイハットがKS-VWS-Tempest.I/NVKよりもやや強めですが、音色はより金属的な質感が出るようになり、刻み方もより細かく伝わってきます。ビル・チャンプリンのリード・ヴォーカルはどちらも割合近いレベルですが、コーラスの実在感はKS-VWS-Tempest.I/SR-NVKの方が一枚上手という印象です。2019~20年のデジタル録音であっても、ヴィンテージ・ワイヤーの古さによるネガティブな印象は全くありません。

 

 

「I Need To Be In Love」では、ここまでの傾向からすると少し意外だったのですが、KS-VWS-Tempest.I/NVKの方がややハスキーに感じられます。KS-VWS-Tempest.I/SR-NVKでは、カレン・カーペンターの声により安定感やふくよかさが出てきました。楽器のタッチなどはKS-VWS-Tempest.I/SR-NVKの方が強いのですが、この曲のヴォーカルに関しては、むしろKS-VWS-Tempest.I/NVKの方が子音が強めに感じられます。恐らく声の主成分がKS-VWS-Tempest.I/SR-NVKの方が濃く出ているということでしょう。

 

 

最後の「秋止符」もちょっと意外だったのですが、全体的にKS-VWS-Tempest.I/SR-NVKの方が全体的に明るめに表現されています。この曲が持つ暗さに対してはむしろKS-VWS-Tempest.I/NVKの方が忠実かも知れません。改めて振り返ってみると、KS-VWS-Tempest.I/NVKの音には全体的にやや暗さがあったのかなと思わされます。とはいえ、谷村新司のヴォーカルの質は籠もりが殆ど取れて明瞭に歌うようになりました。

 

 

KS-VWS-Tempest.I/SR-NVKの音は、レンジや解像度といった現代的なオーディオの要素を分析してもかなり高水準なのですが、聴こえてくる音の随所にヴィンテージ・ワイヤーの特徴が表れているように感じます。ある意味双方の良さを併せ持っているといえるのかも知れません。

 

カートリッジが拾った音をより忠実に再現しているのは、KS-Stage401EVO.II/VKのようなタイプなのかも知れませんが、恐らく多くの人がレコードの音に望む要素はKS-VWS-Tempest.I/SR-NVKの音の方が多く含んでいるのだろうと思わされます。

 

今回組み合わせたZYX R50 Bloomはカートリッジ自身の色付けが少ないのですが、これがある程度個性をきっちりと持ったカートリッジとの組み合わせであれば、また違った結論になったのかも知れません。

  • 購入金額

    88,000円

  • 購入日

    2021年04月04日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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