レビューメディア「ジグソー」

ヴィンテージワイヤーの特徴を味わう入り口に

オーディオの世界では最新の高純度素材を使ったケーブルがもてはやされる一方で、1920~50年代に製造されたケーブルもヴィンテージ・ワイヤーとして高く評価されています。

 

私自身も今まで多少はヴィンテージ・ワイヤーを使った製品を所有したことがありますが、最近の素材を使ったケーブルと比較すると明確なキャラクターがあり、上手く個性を活かし合うような組み合わせの機器と使えば素晴らしい結果が得られるものの、そのストライクゾーンがかなり狭いという印象がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

先日KS-Remastaさんに貸していただくシェルリード線の希望をお伝えした際に、折角だからヴィンテージ・ワイヤーもいくつか使ってみてはというご提案をいただき、今まで使ったことがないクラスの製品もいくつかテストさせていただくことになりました。今回は試したヴィンテージ・ワイヤーの中では最も安価な、KS-VWS-Frontier.I/Nを取り上げることにします。

 

 

 

 

 

 

 

袋に「撮影用」と書かれていますが、実はこれは試聴機のバックアップという意味合いがあります。AWG27と極めて細い単線ですので、取り扱い方法や力加減を謝ると簡単に切れてしまいます。私は過去に高価なヴィンテージ・ワイヤーを使ったことがありませんので、破損する可能性を見越して予備機を同梱されていた訳です。この後の試聴は「試聴機」と記載されたもので行っています。

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず、持つときにもリードチップを軽くつまむようにして扱うのが無難なようです。どのみち着脱の時にはかなりの慎重さが要求されますが。

 

 

 

 

 

 

 

現代的な素材のシェルリード線はやや長めに作られているのですが、ヴィンテージ・ワイヤー採用モデルではこのように本当に最低限という長さで提供されます。

 

 

 

 

 

 

 

今回はカートリッジによる色づけが極めて少なく、またヘッドシェルとカートリッジの間でクロス結線が必要ないZYX R50 Bloomとの組み合わせで音質傾向を確認してみたいと思います。

 

更新: 2021/04/10
音質

音のタッチが強くレンジがやや狭い、イメージ通りのヴィンテージ

前述の通り、今回はTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200に、ZYX R50 Bloomを装着して試聴を行います。ヘッドシェルはaudio-technica AT-LH15/OCCです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは「Englishman In New York / Sting」(LP「The Best of 25 Years」収録)から聴いてみましょう。比較対象として、現代的な素材を採用した同価格帯のKS-Stage101EVO.IIを使います。

 

 

 

 

 

 

まずイントロの部分でいきなり明確な特徴が表れます。KS-Stage101EVO.IIと比較すると、KS-VWS-Frontier.I/Nはベースラインの押し出しが強く、その反面本当に低い方向の低域が減ります。ブランフォード・マルサリスのソプラノ・サックスはやや存在感が薄まりました。空間を漂う間接音やエコー成分はKS-Stage101EVO.IIの方が豊かですが、KS-VWS-Frontier.I/Nではそれぞれの音の出始めの部分が強調されているというか、タッチが強いというべきか、明らかにバランスが変わります。

 

スティングのヴォーカルが入ると、そのヴォーカルもKS-Stage101EVO.IIと比べると、KS-VWS-Frontier.I/Nは声の存在感がやや弱くなります。ベースやハイハットのタッチはKS-VWS-Frontier.I/Nが濃く、ソプラノ・サックスやヴォーカルはKS-Stage101EVO.IIの方が色濃く存在します。ピアノの音はKS-VWS-Frontier.I/Nの方が打鍵が強く感じられ、残響音はKS-Stage101EVO.IIが豊かに鳴り響きます。この差は完全に好みの問題だと思うのですが、個人的にKS-VWS-Frontier.I/Nはベースラインの低い方が切り落とされてしまっている気がするのが少し引っかかりました。

 

続いてジャズ的な音の組み立ての楽曲ということで「Prelude No.2 in C Minor / Jacques Loussier」(LP「The Newest Play Bach Vol.1」収録)を聴いてみます。

 

基本的な傾向は「Englishman In New York」で表れたものと変わりません。ベースのタッチはKS-VWS-Frontier.I/Nの方が強く表現されるものの、低域方向の深い響きが足りません。また、音数が少ない曲になったことで、ハイハットの音が消えかかる部分の表現にも差が付いていることがわかります。KS-Stage101EVO.IIでは音が消えるまである程度長く残っているのに対して、KS-VWS-Frontier.I/Nは短時間でスッと消えていくイメージです。KS-VWS-Frontier.I/Nの表現は少し繊細さを欠いているのかな、という気がしました。タッチの強さから来る押し出し良さはメリットですが、どうしてもそれが荒さにつながってしまう部分があるということでしょう。

 

次に最新のデジタル録音(2020年作品)となるロック系楽曲ということで「Runaway Dancer / Champlin Williams Friestedt」(LP「CWF 2」収録)を聴いてみましょう。

 

割合アップテンポのこの楽曲は、KS-VWS-Frontier.I/Nの押し出しの良さと好相性を見せます。冒頭のドラムに勢いがあり、高域方向のやや低めのところにピークのあるバランスが、華やかさや賑やかさを演出してくれます。もっとも、バスドラムの低い部分やベースの太さはやはりKS-Stage101EVO.IIの方に分があり、ハイハットのキレやクリアさもKS-Stage101EVO.IIの方が良く出ています。

 

今度は女性ヴォーカルの例ということで「I Need To Be In Love / Carpenters」(LP「Stereo Laboratory Carpenters」収録)を聴いてみます。

 

ここでも気になるのが、やはりKS-Stage101EVO.IIと比較するとヴォーカルの存在感がやや弱いことです。特にカレン・カーペンターが高音域を歌い上げるときに声を張ると、このレコードの録音による部分が大きいのですが、その部分が必要以上に引っ込んでしまう感じがあります。KS-Stage101EVO.IIではもう少し声を張ったときの強さが残りますし、リップノイズなどもより生っぽさが感じられます。

 

さらにもう1曲「秋止符 / アリス」(LP「アリス 76/45」収録)も聴いてみましょう。この曲はチェックポイントはいろいろあるものの、ここでは谷村新司のヴォーカルに集中してみます。この曲に関してはKS-Stage101EVO.II、KS-VWS-Frontier.I/N共にヴォーカルの口が大きすぎる感がありました。ただ、その中でヴォーカルの抑揚や声の質感はKS-Stage101EVO.IIの方がよく表現されていたように思います。KS-VWS-Frontier.I/Nでは少し声が籠もり気味に感じられます。

 

今回の選曲は少しヴォーカル重視に偏っていたために、楽器のタッチが力強く押し出しの良いKS-VWS-Frontier.I/Nの良さを引き出しきれなかったかも知れません。ただ、私が普段聴く楽曲で求める要素を重視した結果の選曲ですので、その意味では私が使う分にはKS-Stage101EVO.IIの方が適していたということでしょう。

 

 

今回貸していただいたヴィンテージ・ワイヤー採用モデルとしては、このKS-VWS-Frontier.I/Nが最も安価な製品ですので、より上位の製品についても後日掲載していきます。ヴィンテージ・ワイヤーについて語るのは、それらを全て試聴してからにしようと思います。

  • 購入金額

    16,500円

  • 購入日

    2021年04月04日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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