シェルリード線の比較試聴シリーズですが、本当は今回で一旦終了となる予定でしたが、同クラスの比較用がさらに追加されましたので、後日続きを掲載します。今回は4機種のうち最初に掲載したKS-LW-1500EVO.IIと全く同じ素材で構成され、KS-Remasta独自の「磨き」がStage1(もっとも基本レベル)だけ施された上位モデル、KS-Stage103EVO.IIを取り上げます。
KS-LW-1500EVO.IIと同じく、0.6mm径のPC-Triple C単線を採用しています。前回のKS-Stage101EVO.IIの時に触れましたが、元々国産のオーディオ専用銅となるPC-Triple Cは、海外製OFCなどと比べると銅の純度では劣っていても平滑度は上回ります。最初から比較的表面の平滑度が高いPC-Triple Cを磨いて変化がどの程度表れるのか、確認してみることにしましょう。
取り付け作業も短い間隔で4回も繰り返していると、多少は慣れが出てきます。こういうときこそリードチップ破損などを起こしやすいので、基本に戻って丁寧に取り付けます。
とはいえ、AT-ML180+AT-LH18/OCCの組み合わせは難易度は低い方でしょう。特に苦労する点も無く、そこそこきちんと仕上がります。
傾向は大きく変わること無く、よりHi-Fi傾向に
それでは例によって「Babylon Sisters / Steely Dan」(LP「Gaucho」収録)を聴いてみましょう。当然ながらTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200の組み合わせで聴きます。
この曲は試聴ソースとしてやはり優秀です。イントロから違いははっきりと出ます。同じ素材で構成されるKS-LW-1500EVO.IIとの比較で印象的なのはベースラインの変化で、より重心が下がり深く沈み込みます。トーンバランスそのものに大きな変化はないのですが、音場ももう一回り広がります。
KS-LW-1500EVO.IIもオーディオ的に極めて高バランスにまとまった音なのですが、KS-Stage103EVO.IIでは低域方向の深さが増すことで、より曲の雰囲気を濃厚に味わえるようになります。
さらにヴォーカルが入ると、ヴォーカルの実在感というか生々しさが出てきていることに気付かされます。音場表現としては、演奏よりもヴォーカルが前に出てきて、女声コーラスも演奏の前に展開されるというイメージです。
ハイハットの金属感やクリアさはKS-LW-1500EVO.IIでも十分に優秀でしたが、KS-Stage103EVO.IIでは刺々しさが取れ、より澄んだ音に変わります。もっとも、見方を変えればよりデジタルの音に近づいているということであり、生粋のアナログファンがこの音をどう解釈するのかは興味深いところです。
同クラスで同じくStage1の研磨を施されたKS-Stage101EVO.IIとの比較では、KS-LW-1500EVO.IIとKS-LW-1800EVO.IIとの間と比べるとキャラクターの差が小さくなった印象があります。これはKS-LW-1800EVO.II比でKS-Stage101EVO.IIがややHi-Fi傾向にシフトしているためでしょう。
KS-Stage103EVO.IIと比べると、KS-Stage101EVO.IIの方が良くも悪くも「緩さ」「開放感」といった要素を持ち合わせているため、アナログらしさが残るのはこちらの方かな、と感じます。KS-Stage103EVO.IIはオーディオ的に優秀な音ではありますが、例えばAT-OC9/IIIのようなカートリッジと組み合わせるとドンシャリ傾向が強すぎる可能性があります。そのような場合にはKS-Stage101EVO.IIの方がしっくりとくるでしょう。
「磨き」が施されないKS-LW-1800EVO.IIとKS-LW-1500EVO.IIとの比較でどちらを取るかといわれれば、私は間違いなくKS-LW-1500EVO.IIを選択すると思いますが、KS-Stage103EVO.IIとKS-Stage101EVO.IIのどちらを選ぶかといわれれば正直かなり迷います。
後から追加された試聴機のうちの一つは、このKS-Stage101EVO.IIとKS-Stage103EVO.IIと同格のバリエーションモデルですので、そちらも聴いた上で判断したいと思います。
-
購入金額
16,500円
-
購入日
2021年03月31日
-
購入場所
KS-Remasta
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。