前回のKS-LW-1500EVO.IIに続き、単線の海外製8N-OFC(純度99.999999%)を採用したシェルリードワイヤー、KS-LW-1800EVO.IIを取り上げます。
KS-LW-1500EVO.IIは国産のPC-Triple C単線でしたので、純度としては4N-OFC(純度99.996%)ということになります。銅の純度だけでいえばこちらの方が上ですが、それが素直に音質の差に反映される訳では無いということは、以前の一斉試聴でも確認された通りです。
今回は基準のaudio-technica AT6101と続けて試聴することで、どのような傾向の変化が生じたかを確認してみることにしましょう。
例によって外見上はKS-LW-1500EVO.IIとの差はほぼありません。1セットを袋から取り出すときには、必ず他のセットを同じ場所で広げないように注意して扱った方が良いでしょう。
KS-LW-1500EVO.IIを取り付けた際の経験から、今回からカートリッジを取り付けた後で引き回すようにしました。
空間に余裕があるAT-ML180では、こちらの方が手早く作業が終わります。
開放的で活きが良い
それでは早速試聴しましょう。環境はいつも通り、Technics SL-1200G+Phasemation EA-200で、試聴曲は「Babylon Sisters / Steely Dan」(LP「Gaucho」収録)です。
まず、AT6101との比較では、バランス的に
・低域:ほぼ変わらず
・中低域~中域:濃厚
・中高域:やや減る
・高域:より高く伸びる
という傾向が見られます。
オーディオ的に低域も高域もレンジがはっきりと伸びたように感じられたKS-LW-1500EVO.IIと比べると、全体像としてはAT6101に近いバランスが保たれています。
とはいえ、変化が少ないのはあくまでバランス的な問題であり、音色や表現はもちろん大きく変わります。中域の濃厚さが増すことでドナルド・フェイゲンのリード・ヴォーカルの存在感が増してきますし、音場は広がるとともにより濃厚に構築されます。
特徴的な点としてはブラスの音が前に出てくることで、この辺りはKS-LW-1500EVO.IIと比べてもはっきりと存在感が出てきます。少し派手目に感じられますので、好みは分かれてくる可能性はあると思いますが。
ただ、ドナルド・フェイゲンの声がやや若さを感じさせる方向になり、深みという意味ではもう一つかも知れません。また、ハイハットのタッチの瞬間の描写がKS-LW-1500EVO.II比でやや甘くなる傾向が見られ、この辺りは以前比較した国産4N-OFCと海外製8N-OFCとの間の違いに近いものがあります。
同価格となるKS-LW-1500EVO.IIとの違いは、表現される傾向の好みの問題となる訳ですが、ワイドレンジかつ高解像度のKS-LW-1500EVO.IIか、基本的なバランスはさほど変えず開放的でありながら濃厚な音場のKS-LW-1800EVO.IIかという選択となりそうです。
私自身の好みに関していえば、ハイハットやスネアドラムの音がより鮮明なKS-LW-1500EVO.IIの方に魅力を感じますが、恐らく聴く音楽によってどちらを選択するべきかは変わってくるでしょう。
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購入金額
11,000円
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購入日
2021年03月31日
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購入場所
KS-Remasta
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