ここ最近MMまたはMM互換(VMやMIなど)のカートリッジを使う機会が続き、久しぶりに手持ちのMM互換カートリッジを見直してみようと思いました。
特にMM系としてはかなり上のクラスとなる、audio-technica AT-ML180やClearaudio Virtuoso辺りはもう少しきちんと使ってもいいと思っていましたので、この辺りのヘッドシェルやシェルリード線を見直そうということで、例によってシェルリード工房KS-Remastaさんから購入候補となる製品をいくつか送っていただきました。
そこで、今回はAT-ML180+AT-LH18/OCCを固定して、ここに使うシェルリード線だけを交換して音質差を確認していこうと思います。今回は本体価格1~1.5万円の銅単線を使った4種類です。
前回試したaet 6N-OFC線材採用品の試聴結果から、今回はハンダをKS-RemastaオリジナルのEVO.IIに統一していただきました。
今回もまずはこの分野の定番かつ大ベストセラーである、audio-technica AT6101の音をまず確認して、それとの比較で傾向を掴んでいきたいと思います。
今回はPC-Triple C単線を採用したKS-LW-1500EVO.IIを取り上げます。
この製品については、ハンダだけが異なるKS-LW-1500EVO.Iを購入して、ADC MC1.5と組み合わせて使っていますので、大凡の傾向は掴めているといえます。
AT-ML180は針を取り外すことが出来ますし、本体のサイズもさほど大きくはありませんので、普段使っているMCカートリッジよりは取り付けの難易度は高くありません。針を外さなくても作業は出来ますが、実際にやってみると針を外した方が遙かに楽でした。
このときには普段の取り付けと同様に予め曲げておいたのですが、実際に取り付けてみるとカートリッジを取り付けてからでも曲げる余裕はありました。
レンジも音場も広く、一音一音が明瞭
先に述べた通り、今回はaudio-technica AT6101と付け替えて、その前後での音の変化に着目します。
ソースは以前一斉試聴の時に利用して変化がわかりやすかった「Babylon Sisters / Steely Dan」(LP「Gaucho」収録)を使います。
まずAT6101で聴きますが、MM系としては結構緻密な音ですし、音場もまずまず広がりバランスも良好です。AT-ML180とAT-LH18/OCCの組み合わせは使っている人も案外多いのではないかと思いますが、これだけ聴いていれば十分納得いく音が出ています。
それでは、AT6101をKS-LW-1500EVO.IIに付け替えてみましょう。
最初の一音から全く出方が違います。最初のドラムのアタックが鮮烈に出てきて、AT6101では殆ど消えていたエコー成分が豊かに鳴り出します。ベースもAT6101では下の方が全然出ていなかったことに気付かされます。
音場の広さも一回り以上違うのですが、その構築された音場の明瞭さもかなり違っています。AT6101でも中央付近はクリアなのですが、空間の隅の方が広がりきっておらず、上手く分離していません。
さらにドナルド・フェイゲンのヴォーカルにも明らかな差が付きます。AT6101で聴いていると何となく喉声に感じられ、彼の声が持つ独特の味わいが表現されていません。例によって今回の試聴でもMOTU 1296を使って録音しながら聴いている訳ですが、出来上がったデータを聴き比べてみると旧盤とリマスター盤くらいの違いが生じていることがお判りいただけると確信できます。
確かにAT6101とKS-LW-1500EVO.IIとの間には10倍の価格差がある訳で、当然それに見合った差が出ていなければ困る訳ですが、今時購入金額に1万円追加しても上のグレードのカートリッジが買えるようなご時世ではありませんから、この価格差で明確にグレードの違いが感じられるほどの向上が得られるのであれば、十分に投資する意味のある金額だと思います。
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購入金額
11,000円
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購入日
2021年03月31日
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購入場所
KS-Remasta
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