今回は多分買うことはないと思っていたSONY WALKMANをつい買ってしまいました。
というのも、限定モデルNW-A100TPSで初代ウォークマンTPS-L2デザインのケースが添付されていることに惹かれていたものの、あまりの高さに尻込みして買うことが出来ず悔しい思いをしていたところに、WALKMAN NW-A100シリーズ又はNW-ZX507+ワイヤレスイヤフォン/ヘッドフォンを購入してユーザー登録をした全員に、WM-F2デザインのケースをプレゼントするというキャンペーンが始まったためです。
とはいえ、NW-A100系は、実は銀座のSONYでじっくりと試聴して音質は全然ダメと結論づけていたモデルであり、最初から低い期待値で購入しています。そこで、唯一別にワイヤレスイヤフォン/ヘッドフォンを買わなくても良い、イヤフォン標準添付モデルであるNW-A105HNを、クーポンを駆使することで市場価格より安く買うことが出来た、SONYの直販で購入しています。
このクラスになるとシンプルな箱で、過剰包装されていないことは好印象です。個人的に無理矢理箱で高級感を演出するのは好きではありませんので。
本体はディスプレイ面を表にして収納されています。以前購入したNW-A55/LLSは背面に特徴があったためか、裏返しで収納されていました。
添付のワイヤレスイヤフォンです。残念ながら折角付いてきてもこれを実際に活用することはないと思います。私はBluetoothの音にどうも拒否反応がありますので…。
WALKMANシリーズは今回から独自のWM-PORTが廃止となり、汎用のUSB-Cコネクターが採用されました。そのため、添付のケーブルもごく普通のUSB A-Cケーブルです。まあ、NW-ZX300の時点でWM-PORTからのアナログ出力が廃止されたりしていましたので、汎用USBとなるのも時間の問題だったのでしょう。
NW-A100シリーズは、先代NW-A50シリーズよりも大幅に価格が上昇しましたが、大きさなどはほぼ変わっていません。サイドボタンのレイアウトなども、概ねNW-A50系を踏襲しています。
冷静に判断すると「価格なり」に届いていない
最初は今までのNW-Aシリーズと同様に、Noble Audio Savant Universalで試聴しようと思ったのですが、冷静に考えればシングルエンド出力専用プレイヤーで3万円台となると決して格安モデルという価格帯ではありません。
そこで私のメイン環境である64AUDIO U4+WAGNUS. Petit NEUTRON Lilyに、シングルエンド変換アダプターを組み合わせてきちんと試聴することにしました。
いろいろ聴いてみましたが、主に「The Only Living Boy In New York / Simon & Garfunkel」(自作24bit/88.2kHz WAV)、「AVANT-GARDE HISTORY / Roselia」(24bit/96kHz FLAC)、「Here I Am / Jason Scheff」(192kbps mp3)で評価してみることにしましょう。
実は、まず最初に「The Only Living Boy In New York」を聴いた時点で「やはり」という印象でした。声に生気がありません。その割に低域方向に妙なアクセントをつけたり、エコー成分を強調してみせたりして、良い音っぽく聴かせようという演出だけは十分に感じられるのです。
アニソン・J-POP系の録音であるRoseliaであればどうかと思って聴いてみましたが、やはりヴォーカルの質が全く話になりません。また、今までのNW-Aシリーズで数少ない美点であった高域方向のクリアさも思ったほどではありません。
ハイレゾソースで思った以上に良くなかったので、mp3である「Here I Am」も聴いてみましたが、全体的に押し出しが悪くなり、ハイレゾソース以上に不明瞭な表現となってしまいました。一応ハイレゾとmp3の差は的確に表現しているのかも知れません。とはいえ、ハイレゾの音が悪すぎるという事実に変わりはないわけですが…。
ただ、カーオーディオにBluetoothで接続してみたところ、NW-A45よりも高域方向は緻密に表現されましたし、Bluetooth臭さも幾分緩和されていましたので、Bluetoothに関しては世代分の進化はあったのでしょう。ヘッドフォン出力は上がった価格に見合った進化はありません。
それこそ以前1万円を割り込む価格で処分されていたCayin N3の方がまだ声や楽器の質感では良好ですし、2万円そこそこのHiBy R3 Proには、音質に限って言えば勝てる要素がほぼありません。
Android化でこれまでの美点も失われつつある
SONY製WALKMANの美点は、軽量コンパクトでもバッテリーの持続時間が他社よりも圧倒的に長いというものがありました。
しかし、今回のNW-A100系はOSがAndroid化されたことで、スタンバイ時の消費電力が明らかに増していることに加え、完全に電源を落としてしまうと再起動に極めて時間がかかるようになってしまいました。しかもPINを設定するため、電源を投入してから操作可能となるまでの時間がかなり長くなっています。
今回のシリーズは「ストリーミングWALKMAN」という売りであるため、各種ストリーミングサービスに対応させるためにAndroid化したのでしょうけれど、肝心のDAPとしての完成度はむしろ下がったのではないかと思います。
先代のNW-A50系より1万円近く値上げされているのですが、ストリーミングが使いたい人でなければ、敢えてこの製品を買う価値はありません。むしろ流通在庫がまだ十分にあるNW-A50系の方が遙かにお買い得です。
一方でストリーミングをガンガン使うユーザーであればどうかという話ですが、個人的にはこれもどうかと思います。ストリーミングを使うのであればスマートフォンの方が便利ですし、3万円以上のDAPを買い足してそれに見合った音質の向上が見られるかという点も微妙なところです。恐らくスマートフォンに各社から1万円前後でいろいろと発売されている外付けケーブル型DACアンプを組み合わせてもこの製品に近いレベルの音は十分出るのではないでしょうか。
もっとも、SONY製のDAPでいえば、超弩級モデルのDMP-Z1でもヴォーカルの質などは決して価格に見合うレベルではないと思いますので、これがSONYのメーカートーンなのだといわれればそうなのかも知れません。
それでも、今まで随分買ったNW-Aシリーズの中でも、このシリーズのコストパフォーマンスは最も低いと思います。この製品をこの価格で買って本当に後悔しないかどうか、他社製品を交えての試聴をされることを強くおすすめします。
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購入金額
35,940円
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購入日
2021年03月28日
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購入場所
ソニーストア
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