レビューメディア「ジグソー」

鮮明さが加わり、やや若々しさを感じるように

前の2回で掲載したものと同様に、aet製6N OFC導体を採用したシェルリード線となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

前回のKS-LW-6100EVO.Iと同グレード・別傾向のKS-Remastaオリジナルハンダである、EVO.IIハンダを採用したKS-LW-6100EVO.IIとなります。EVO.I、EVO.II共に、最初に取り上げたKS-LW-6100ver.aetよりは価格帯も1ランク上がります。

 

以前KS-Remasta製シェルリード線を一斉試聴した際に、グレードとしては同等となるEVO.IとEVO.IIとの比較では、私の好みとしては明らかにEVO.IIの方でした。ただ、前回は同一の導体でEVO.IとEVO.IIを比べる機会が無く、改めて純粋にその違いを体感したかったため、この機会に同一の導体でハンダのみ違う3製品を試聴することにした訳です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外観上はKS-LW-6100EVO.Iとほぼ見分けは付きません。ヘッドシェル側リードチップの皮膜に巻かれている小さなリングの色で識別するよう説明をいただきましたので、それで何とかなりますが。

 

 

 

 

 

 

 

 

硬いリード線を装着するときには、予め装着されたイメージを想像して、その形にしやすいように曲げておくと作業が割合楽になります。もちろん、それでも工具をきちんと使った方が良いというのは間違いありませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

装着の出来映えはKS-LW-6100EVO.Iの時とほぼ変わらない程度には仕上がっていると思います。最初に組み立てたKS-LW-6100ver.aetの時には、事前に曲げておく作業を適当にやってしまったのが出来映えの悪さに表れてしまっていました。

 

 

更新: 2021/02/28
音質

一つ一つの音が鮮明に聴こえるように

それでは実際に音を聴いてみましょう。環境は当然これまでと同様に、カートリッジがADC MC1.5、ターンテーブルがTechnics SL-1200G、フォノイコライザーがPhasemation EA-200という組み合わせです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試聴盤もこれまでと同様に「CWF2 / Champlin Williams Friestedt」のA面です。

 

 

 

 

 

 

1曲目の「Ranaway Dancer」の冒頭で、早速これまでとの違いが出てきます。前回のKS-LW-6100EVO.IでもKS-LW-6100ver.aetよりは随分良かったのですが、KS-LW-6100EVO.IIにするとドラムのアタックがより鮮明に聞こえます。

 

ヴォーカルが入ると、まず声の質に変化が表れます。ビル・チャンプリンの声が少し若返り、子音やリップノイズのような成分が聞き取りやすくなりました。EVO.Iと同様に間接音も豊かに表現されます。

 

楽器もギターの音色がより鮮明に浮かび上がってくる印象がありますし、ベースラインもより聞き取りやすく感じられます。私の感覚ではEVO.IよりもEVO.IIの方がもう1ランク上に聞こえてくる位の違いを感じました。

 

私はアナログであってもあまり古典的な音は好みではないのですが、逆にアナログに古い音を求める人でも、このEVO.IIの音を高く評価する傾向があるようです。好みが真逆な人間が同じように高く評価するということは、オーディオの世界ではなかなか無いことです。何故そのようなことが起こったのか、その理由を考えていて行き当たったのが株式会社CSR SOULNOTEブランドの開発者、加藤氏が先日facebookに掲載した文章です。

 

 

SOULNOTE加藤の コレだけは言っておきたい! シリーズ その457【全ては立ち上がる瞬間に決まる

 

 

つまり、楽器の音色の大半を決定づけているのは、音の立ち上がりの数ms(ミリセカンド)であるという説です。

 

EVO.IIの音は全ての音が鮮明かつリアルに感じられるのですが、それは他のハンダと比べて立ち上がりの一瞬の音がきちんと表現されているからではないかと思うのです。

 

試しに1曲目「Ranaway Dancer」の冒頭部分を波形で表示してみました。

 

 

 

 

▲KS-LW-6100EVO.I
▲KS-LW-6100EVO.I

 

 

 

 

▲KS-LW-6100EVO.II
▲KS-LW-6100EVO.II

 

 

 

 

どちらも縦軸・横軸とも全く同じスケールで表示しています。

 

気のせいレベルかも知れませんが、冒頭部分の振幅(ドラムの連打)の角がごく僅かながら鋭いのはEVO.IIのように見えます。まあ、これはあくまで1つのサンプルだけの話ですので、偶然かも知れませんが。

 

 

波形の話は抜きにしても、KS-LW-6100EVO.IIはaet製6N OFC導体らしく充実した中域と、全帯域の応答の良さが長所といえそうです。同じEVO.Iハンダ同士であれば、KS-LW-6100EVO.IとPC-Triple CのKS-LW-1500EVO.Iの比較ではKS-LW-1500EVO.Iの方が使い勝手が良いと感じたのですが、KS-LW-6100EVO.IIではKS-LW-1500EVO.Iにも劣らず魅力的に感じられました。

 

価格差があるKS-LW-6100ver.aetとの比較では、音質だけを見れば文句なしにKS-LW-6100EVO.IIですが、コストパフォーマンスという意味では一概に優劣はつけがたいものがあります。aet製6N OFCの特徴はKS-LW-6100ver.aetでも十分感じられます。

  • 購入金額

    12,100円

  • 購入日

    2021年02月19日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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