先日掲載したKS-LW-6100ver.aetから、リードチップと導体を接合するためのハンダだけをグレードアップした製品となります。
KS-LW-6100ver.aetはオーディオアクセサリーを手がけるメーカー、aetから発売されているDCT MIL-RMAというハンダを使っていましたが、こちらのKS-LW-6100EVO.IはKS-RemastaオリジナルのEVO.Iグレードハンダを採用しています。
以前KS-Remasta製シェルリード線を一斉試聴したときにEVO.Iグレードのハンダの性能は概ね把握していましたし、先日購入したKS-LW-1500EVO.Iでも使われていますので、EVO.Iハンダの品質に関しては全幅の信頼を置いて間違いないでしょう。KS-LW-6100ver.aetと比較することで、市販品としてはまずまず高価なDCT MIL-RMAと、EVO.Iの純粋な比較が出来るということになります。
前回と同様に、audio-technica AT-LH18/OCCと組み合わせて使うことにします。カートリッジも前回と同様にADC MC1.5となります。
前回よりは綺麗に装着できているのでは無いかと思います。ただ、以前と比べてリードチップがターミナルピンに入りにくくなった気がしていたのですが、確認したところ最近の出荷分からリードチップが変更されていて、以前のものより装着の確実さは向上しているものの、するっと入るような緩さが無くなったため、やや装着の難易度は上がっているかも知れないとのことでした。
中域の濃さは変わらないが、帯域両端の存在感が増す
それでは音質を確認していきましょう。いつも通りターンテーブルはTechnics SL-1200G、フォノイコライザーはPhasemation EA-200となります。
試聴ソースは、今回はLP「CWF 2 / Champlin Williams Friestedt」のA面で統一しています。
まず、1曲目の「Runaway Dancer」の出だしでKS-LW-6100ver.aetとの違いがいきなり感じられました。バスドラムの力感と量が増し、ベースラインの腰高感が解消されます。KS-LW-6100ver.aetでは、audio-technica AT6101に対して低域方向は深さは増すものの、量は変わらずベースラインの腰高感も残ってしまっていたのです。
ビル・チャンプリンのヴォーカルの質はKS-LW-6100ver.aetと大きくは変わらないものの、子音の鮮明さなどが出てきて、リアリティが一歩向上します。左右から聞こえるコーラスの広さも、AT6101とは別物と思える広さになりますし、KS-LW-6100ver.aetと比較してももう一回り広くなります。
同じEVO.Iハンダを使った、PC-Triple C導体のKS-LW-1500EVO.Iと比較すると、低域の量と力感は劣り、音場の広さと間接音の豊かさで勝るという関係です。高域方向の解像感はKS-LW-1500EVO.Iの方が出ます。同価格帯であるだけに、レベルの違いというよりは個性の違いが感じられます。
おそらく普段聴く音楽のジャンルでどちらが良いかはかなり変わってくるのでは無いでしょうか。1曲目の「Ranaway Dancer」はアップテンポの勢いのある楽曲ですので、KS-LW-1500EVO.IのHi-Fi感がしっくりときます。しかし、2曲目の「10 Miles」では、ジョセフ・ウィリアムズのヴォーカルや空間表現でKS-LW-6100EVO.Iが上回ってくるという具合で、1枚のアルバムの中でもどちらがよりマッチするのかが曲ごとに変わる状態なのです。
使われているハンダ以外は全く同じであるはずのKS-LW-6100ver.aetとKS-LW-6100EVO.Iとの間で、これほどはっきりとした実力の差が表れるというのも、一般的なオーディオの常識とは異なっているのでは無いでしょうか。この2つの間の実力差は価格差がそのまま反映されているといえるほどに存在しています。
ハンダの音色の違いを聞き分けるという、一見かなり難しそうな挑戦ではあったのですが、実際に音を聴けばきちんとわかりやすいレベルでの差がありました。広く流通しているaudio-technica AT6101やOrtofon LW-7Nなどと比較すれば、KS-LW-6100ver.aetでも十分上回る実力は見せてくれていたのですが、KS-LW-6100ver.aetとKS-LW-6100EVO.Iとの間には埋めがたい実力差が存在しています。
次回はEVO.Iと同等グレードで音色傾向が異なるEVO.IIハンダの音について書く予定です。
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購入金額
12,100円
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購入日
2021年02月19日
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購入場所
KS-Remasta
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