所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。歌にはいろいろな切り口があります。自分の悲しみを歌ったモノ、自分を奮い立たせるモノ、人生を語るモノ．．．そんな中、愛し合う恋人たちへの歌はどの国でもどんな時代でも大きな割合を占めています。そんなセンチメンタルなソウルの名曲カバー集をご紹介します。

HUMAN SOUL。NANIWA EXPRESSの清水興が、NANIWA解散後（今から見れば「一時解散」後）、参加したバンド。グループが解散するのは様々な理由があるだろうが、NANIWAに関しては不仲など関係性の問題ではなく、メンバーそれぞれ自分のやりたい音楽や表現がほかにある、というのが大きかったかもしれない。正キーボーディスト（中村建治）がいたため、サックスメインでキーボード兼任という形で入った青柳誠は、一時解散前は鍵盤楽器の方に傾倒し、サックス吹かずにピアノ／エレピばかり弾いていたし（もともとオリジナルではサックスソロの曲ですら、エレピソロに差し替えていたくらい）、ドラムスの東原力哉はもう少しジャズ系のフィールドに行きたかったらしい。

そして、ベーシストの清水は、ファンク～ソウル方向に走っていた。

1986年のNANIWA EXPRESSの解散から5年、1991年にインディーズ系レーベルでデビューしたのがHUMAN SOUL。歌モノのファンク～ソウルで、ツインヴォーカル、ギター＋キーボードのコード楽器担当、ベース＋ドラムスのリズム隊、ブラス隊2名と合計8人の大所帯（この作品ではゲストプレイヤーとしてサックスの古谷充（たかし）も加わっている）。

メンツは

・清水興：ベース

・Jaye公山（こうやま）：ヴォーカル

・Silky藤野：ヴォーカル（ファルセット）

・グッチ谷口：ギター

・SassyTomo：キーボード

・JIMI橋詰：ドラムス

・波部公洋：トランペット

・橋本佳明：トロンボーン

もともと、Jaye、Silky、Sassy、JIMIあたりがHUMAN SOULの原型を創っていたのが先で、JayeとSilkyが、NANIWA EXPRESS解散後に、清水と東原が一時期組んでいた「ソウル・エキスプレス」にゲストヴォーカリストとして参加したことで交流が生まれ、新生HUMAN SOULとしてデビュー

したらしい。

この作品は、4作目。

そして、多分カバーアルバムとしては“HUMAN SOUL X’mas”

に続いて2作目（アナログLPでしか発売されなかった3作目の“I'll Never Let You Go Away ”を持っていないので、推測）。

あえて、ファンキィでダンサブルな面は表に出さず、シルキィでソウルな楽曲が並ぶ。

「Me & Mrs.Jones - In the Rain」。久保田利伸もよく歌っていたBilly Paulの名曲「Me & Mrs.Jones」の間にThe Dramaticsの「In the Rain」を挟むアレンジの曲であの名曲が．．．Silkyの女声に近いファルセットヴォイスで始まり、柔らかく深いJayeの声が絡む。そしてオブリ的に入るグッチのギターの色気がスゴイ。

「For Lovers Only」と題して、ロマンチックな曲をつなげたメドレーは、The Momentsの「Love on a Two-Way Street」で始まる。基本的にSilkyの声が堪能できる「聴かせる」曲なのだが、いい仕事しているのが、時々パッと入って盛り上げるブラス隊と、意外にパンッとアクセントが強いドラムプレイのJIMI。つづくRay, Goodman & Brownの「Take it To The Limit」は、速めのハチロクにリズムチェンジするが、バックのオブリで魅せるのがピアノのSassy。「There's no me without You」と「Kiss and Say Good-bye」は、ともにThe Manhattansの曲だが、この2曲ではJayeの「イイ声」が響く。

Marilyn McCoo & Billy Davis Jr.の「星空のふたり」こと「You don’t have to be a star」は、原曲よりやや速度が速く軽やか。元曲の深みのあるMarilynの声より、ファルセットで歌うSilkyの声の方が「通り」が良くて、デュエットの声の落差が大きくて、聴き応えがあるかも。原曲でのフルート？のフレーズは口笛になっていて、より「らしい」し。

他にもソウルの「経典」とでも言えるような曲ばかりで、とても楽しめる。

この翌年、彼らはメジャーデビューするが、そのあとはファンキィな面がフィーチャリングされため、ここまでベタベタなソウルは演っていない。

別添で、曲の紹介と推薦文が挟まれるのは、洋楽っぽい装丁だな

そういう意味では貴重な？あまい、あま～いソウル集です。

【収録曲】

1. Me & Mrs.Jones - In the Rain
2. Betcha by Golly, Wow
3. My, My, My - Rock me Tonight
4. For Lovers Only

　　Love on a Two-Way Street

　　Take it To The Limit

　　There's no me without You

　　Kiss and Say Good-bye
5. You don’t have to be a star
6. God Bless the Child
7. A Song for Donny

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