所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。季節に結びついている作品。あるシーズンが周り来ると聴きたくなる曲、というものがあります。桜散るシーズンの卒業の歌、暑い夏の情熱の歌、落ち葉舞う季節の別れの歌、スキーシーズンのゲレンデで流される歌．．．曲や歌手には季節のイメージを持つものがありますが、聖なる季節が近付くにつれて聴きたくなるハーモニーを持つグループがいます。そんなグループの作品をご紹介します。

Take6は、Claude McKnightを中心とした6人組のコーラスグループ。もう結成後四半世紀を経ようとしているのに驚くほどメンバーチェンジは少なく、彼等の結束の強さが窺える。このアルバムを出した頃は最も安定していたときでもあり、最初期に抜けた1名以外は、Claudeの他にはDavid Thomas、Alvin Chea、MarkとJoeyのKibble兄弟、Cedric Dentと言う布陣。この後10年ほどしてからCedricのツアー同行が少なくなり、15年後に正式に脱退（Christchan Dentleyと交替）したが、メンバーチェンジはこれだけ。この作品のプロデュースを執るのがClaudeの実弟Brian McKnightとファミリーの結束が強い。

そんな彼らは、1990年代前半に興ったコーラスグループブームに乗って広く識られるようになったが、決してポッと出のグループではなく、実力のあるグループだった。それまでア・カペラなどを軸にゴスペルの強い影響を受けたハーモニーを提供していた彼らが、その名（“join the band”）の通りバンド仕立てでポップになったのが前作。

その余勢を駆って出されたのが本作“brothers”（といっても中1年空いているが）。

バンド、というより打ち込みの比率が強く、バックだけ聴いているとカタイんだけれど、そこはボイスベースも含む6人のコーラスのハーモニーが素晴らしく、「冷たい」カンジはまるでしない。

「Sing A Song」は彼等にとっては前作の路線をさらに推し進めた新境地。Earth, Wind & Fire(EW&F)

の曲でファンキーなバンドサウンド。ブラスのラインがダンサブル。その本家EW&FにいたSheldon Reynoldsが弾くリズムギターが、シャープでクリスピーだ。

「Jesus Makes Me Happy」は、賛美歌やゴスペルなど教会音楽を根っこに持つ彼等本流の？楽曲。題名通り神への賛歌を歌い上げる。♪Jesus makes me happy／Jesus makes me glad／Jesus is the center／Of all the jpy I have♪バックがオール打ち込みなのに、人の声の持つパワーが熱さが伝わってくる。

同じくオール打ち込みバックながら、彼等のハーモニーに寄り添う「最も人声に近い楽器＝サックス」が堪能できる「Don't Let Go」。ここでほとんど濁りのない純粋な音でサックスを奏でるのはGerald Albright。

彼のラインと6人のハーモニーが溶け合って空に登っていくようだ。

彼等のコーラスワークは純粋で、青年の色気を感じさせるBoyz II Men

とは異なる清らかさがある。そして熱さを感じない。

この季節、街が聖なる季節に向かって身支度をし始めると聴きたくなる、そんな曲達です。

この盤は来日時の先行リリース盤でCF曲「Almost Paradise」を含む（そのため輸出禁止盤）

 

【収録曲】
1. Sing A Song
2. You Don't Have To Be Afraid（君に魅せられて）
3. I'll Be There
4. Jesus Makes Me Happy
5. Delilah
6. Do Right
7. We Don't Have To Cry
8. Don't Let Go
9 The Only One That Matters
10. I'm Only Here For A While（永遠の誓い）
11. Almost Paradise（パラダイス ～愛のテーマ）

「Sing A Song」