レビューメディア「ジグソー」

クリアで明るめの描写

今回もKS-Remasta製シェルリード一斉試聴シリーズです。

 

今回聴いた中ではもっともバリエーションが豊富だった、1万円クラスの製品となります。このKS-LW-8100EVO.Iは、KS-Remasta製品の取り扱いがあるオーディオ店の大半で販売されている、このクラスの代表的な製品となります。

 

まずはこれまでと同様に、型番から構成を読み取ってみましょう。

 

 

KS=Karasawa Shingo (柄沢 伸吾)

LW=Lead Wire(リードワイヤ)

8000=8N-OFC(99.999999% 純度の無酸素銅)

 

100=クライオ処理済導体採用

EVO.I=EVO.Iグレードの独自半田

 

 

なお、8N-OFCは海外製のものということで、以前取り上げたKS-LW-8000LTDと近い傾向を示すことが予想されます。

 

ただ、導体がクライオ処理されていて、KS-LW-6000とKS-LW-6000EVO.Iの違いを作り出していたEVO.Iグレードのハンダを採用していることがどこまで音質に影響を及ぼすのかが注目点となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他社製のリード線と比べれば結構太い導体ではありますが、同クラスのKS-LW-8900LTDと比べれば細めで柔軟性もありますので、取り扱いは簡単とまではいわないもののそれほど着脱に手子摺るものでは無いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

実際に、私が取り付けた時にもKS-LW-8900LTDはかなり慎重に作業する必要があったのですが、KS-LW-8100EVO.Iについては割合普通に付けられたという感覚です。

 

 

 

 

 

 

取り付けにもさほど無理がない程度にまとまっていると思います。

更新: 2020/07/04
音質

やや明るめのHi-Fiサウンドだが、濃さや深みはもう一歩か

それでは試聴結果に移りましょう。試聴環境はこれまでと同様にZYX R50Bloom+audio-technica AT-LH18/OCCの接続にKS-LW-8100EVO.Iを利用して、ターンテーブルTechnics SL-1200G+フォノイコライザーPhasemation EA-200の環境に組み合わせるというものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試聴楽曲も、これまでと同様に「Babylon Sisters / Steely Dan」です。

 

 

第一印象としては、事前に予想していた通りKS-LW-8000LTDに通じるような音色の明るさが感じられました。音場はすっきりと見通しよく、中高域の方にエネルギーバランスがあるように感じられます。音場の広がりは左右方向だけでは無く、奥行きも少し出てきたように感じられます。

 

しかし、KS-LW-8000LTDとの決定的な違いとなるのは、低域方向の馬力や質感が向上すること、音場の密度が濃くなるということです。もっとも、密度が濃くなるといっても、あくまでKS-LW-8000LTD比であり、ヴィンテージワイヤーのKS-VWS-Spirit.II/Nのような濃密さが感じられるようなものではありません。KS-LW-8000LTDではバックに漂う音が希薄に感じられていたのですが、KS-LW-8100EVO.Iではその存在感がしっかりと出てきます。

 

ドナルド・フェイゲンのヴォーカルがやや若くなるという辺りはKS-LW-8000LTDと同様ですが、KS-LW-8100EVO.Iではもう少し力強さと生々しさが加わります。高域方向はKS-LW-8000LTDに近く、明るくクリアですが少し緻密さは出きっていないかなと感じました。

 

通常であれば見通しの良いHi-Fiサウンドというと私の好みの傾向に思えるのですが、個人的には何かがちょっと違うかなと思う部分があったのは事実です。同時録音していたWAVファイルを改めて聴き返していると、その正体が何となくわかってきました。

 

「Babylon Sisters / Steely Dan」のスネアドラムの音が、独特の音色の明るさによって「ペシャッ」という感じの音にきこえてしまうことで、この部分が妙に作り物っぽく感じられていたのが、その違和感の正体だったようです。何となく選んだ楽曲なのですが、スネアドラムの音は異様に再生が難しく、リード線を変えるたびに露骨に変化していたことに気付かされます。

 

ここでAT-OC9/IIIに移して、KS-LW-6000EVO.Iと聴き比べてみたのですが、やはり大きく差が付いたのはこのスネアドラムでした。国産の6N導体を使うKS-LW-6000EVO.Iの方は、きちんとこのスネアの音が自然に出ていました。AT-OC9/IIIで使う限り、このクラスで最も私の好みに近いのは、やはりKS-LW-6000EVO.Iだったようで、これを推薦された柄沢さんの耳の確かさに脱帽です。

 

 

1万円クラスのKS-Remasta製品は、どの製品も標準添付品や量販店で取り扱いのある格安品とは一線を画す実力を持っていることは間違いありません。今回はKS-LW-8100EVO.Iの音色の明るさについて言及していますが、それもaudio-technica AT6101などの安価な製品と比べれば遙かにニュートラルな音を出している中で、細かく差に言及した場合に気になるという程度の話です。

 

 

ここまで聴いた時点で、AT-OC9/IIIと組み合わせるのはKS-LW-6000EVO.Iで決まりかな、と思っていました。しかし、最後の最後でその認識が一気にひっくり返ってしまいました。その話は次回掲載したいと思います。

  • 購入金額

    11,000円

  • 購入日

    2020年06月24日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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