今回もKS-Remasta製シェルリードの一斉試聴シリーズです。
今回は8N-OFC(純度99.999999%の無酸素銅)を導体として採用した、KS-LW-8000LTDを取り上げます。
一般的にオーディオに詳しい方であれば、ケーブルの導体の純度が高いほど高価格・高音質として扱われることが多いのはご存じかと思います。例えば大手メーカーのOrtofon製リードワイヤーは、上位モデルから順に
・LW-800S (純銀線+銀コート線のハイブリッド)
・LW-7N (7N材と6N材のハイブリッド)
・LW-6N (7N材と4N材のハイブリッド)
・LW-3C (4N相当のPC-Triple C)
という形で展開していて、単純に金属として高価な銀を除けば高級モデルの方が純度が高い素材となっています。
しかし、今回取り上げているKS-LW-8000LTDは、電線としては最高純度となる8N-OFCを採用していながら、以前取り上げた4N-OFCを採用するKS-LW-4000LTDと全くの同価格なのです。
しかも、KS-Remasta製品の大きな特徴である、高品位ハンダも全く同じLimitedグレードのものとなります。一応、オーディオユニオンアクセサリー館のブログを参考に型番解説をしておきましょう。
KS=Karasawa Shingo (柄沢 伸吾)
LW=Lead Wire(リードワイヤ)
8000=8N-OFC(99.999999% 純度の無酸素銅)
LTD=Limited グレードの半田
というわけで、以前取り上げたKS-LW-4000LTDと、導体だけが違う製品を聴き比べるということになります。以前ハンダだけが違うKS-LW-6000 EVO.IとKS-LW-6000を聴き比べたことがありますが、現代的な導体同士の聴き比べということで、実はハンダの差以上に聴き分けは難しいかもしれません。
取り付けの難易度については、さすがにaudio-technica AT6101や先日掲載のKS-VWS-3024Dよりは難しくなります。
とはいえ、上位モデルと比べれば割合普通に近い太さですし、ある程度の柔軟性もありますのでそれほど手子摺るものでは無いと思います。
明るく開放的
それでは音質について触れていきましょう。試聴環境はこれまでと同様にTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200の環境で、カートリッジ・ヘッドシェルはZYX R50Bloomとaudio-technica AT-LH18/OCCです。再生するのは「Gaucho / Steely Dan」収録の「Babylon Sisters」です。
最初の一音から、KS-LW-4000LTDとの差がはっきりと表れます。一聴してKS-LW-8000LTDの方が音色が明るく、音場も開放的で見通しが良いのです。
ドナルド・フェイゲンのヴォーカルでいえば、張りの部分が強調される印象で、渋みが良く出ていたKS-LW-4000LTDと比べると声が少し若くなった印象を受けます。高域方向はしっかりと出ているのですが、KS-LW-4000LTDよりほんの少しだけ緻密さが落ちるかもしれません。
音色の明るさに加え、エコーや間接音がKS-LW-4000LTDよりも明瞭になり、ライブ感のようなものはよく出るようになりました。
エネルギーバランスもやや中高域寄りで、明るさはあるものの深みという部分ではやや不利かもしれないと感じました。私のように普段からロック・ポップス系を主に聴いているユーザーであればKS-LW-8000LTDの方が楽しく曲を聴けると思うのですが、普段からクラシックを聴いている人がスケール感や深みを求めようとすると、KS-LW-4000LTDの方が好ましいと思うかもしれません。
丁度昨日取り上げた
などは、KS-LW-8000LTDの明るさや開放感が上手くマッチする音でした。特に1曲目の「Lunatic」の音はなかなか魅力的です。
同じ純銅線で、純度の僅かな差と、(恐らく)銅の製造国の差でこれほどはっきりとした音色の違いが出るというのもなかなか面白いと思います。
丁度同じ価格のKS-LW-8000LTDとKS-LW-4000LTDの使い分けは、オーディオ的にニュートラルな方向を目指すのであればKS-LW-4000LTDを、ロック・ポップス系を気持ちよく聴きたいのであればKS-LW-8000LTDを選ぶのが、それぞれ正解のように思います。
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購入金額
5,500円
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購入日
2020年06月24日
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購入場所
KS-Remasta
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