KS-Remasta製シェルリード線の一斉試聴シリーズです。
今までは現代的な高純度素材の導体を使ったリード線を試していたわけですが、今回はいわゆるヴィンテージワイヤーを使った製品、KS-VWS-3024Dとなります。
この製品は、先日も紹介したオーディオユニオンアクセサリー館のブログで取り上げられていますので、型番の説明はそのまま引用させていただきます。
KS=Karasawa Shingo
VWS=Vintage Wire Solder (ヴィンテージワイヤーを半田で端子に取り付け)
3024D=
3 : Western Electric の ブラックエナメル絶縁
24: AWG 24 の導体径(直径約0.5mm)
D : ダッチボーイ社製半田
具体的には
●導体:1940~1960年代のWE製単線
●絶縁:ブラックエナメル、絹巻き
●半田:1940~50年代 ダッチボーイ社製黒缶
(以上、http://blog-accessory.audiounion.jp/Entry/1791/ より引用)
私自身、以前SHURE V15 typeIIIに使うために用意した、やはりヴィンテージワイヤーを採用したKS-VWS-1024Nを使用中です。
これは、旧世代のカートリッジをその時代なりの音で鳴らそうという意図で導入したものです。今回は新世代の代表例のような設計のカートリッジである、ZYX R50Bloomとの組み合わせで傾向を探りたいと思います。
現代的な導体とは全く違った空間を構築する
カートリッジは前述の通り、ZYX R50Bloom、ヘッドシェルはaudio-technica AT-LH18/OCC、ターンテーブルはTechnics SL-1200G、フォノイコライザーはPhasemation EA-200という構成で試聴します。ソースは「Babylon Sisters / Steely Dan」です。
なお、この製品の導体は結構固さがあり、一度曲げるとその形を保ったままとなります。最初からある程度取り付け時を想定した形に曲げておくと、とても着脱が楽という美点があります。
まず最初の一音から、今まで使い慣れている現代的な導体のリード線とは明らかに違う音が出てくることに気付かされます。
特にベースラインで顕著なのですが、タッチがとても力強く表現されます。一音一音がグイグイと主張してきます。ただ、圧が強い音ではあるのですが、最低域の方はあまり伸びておらず、高域も含めて周波数レンジは狭めのように感じられます。
ヴィンテージワイヤーというと、先入観で何となく焦点がぼけて透明度の低い音というイメージを受けてしまうのですが、実際に出てくる音の印象は随分異なります。高域も緻密さはさほどありませんが、決して濁っているわけでは無くむしろアタックが強めに出てくる印象すらあります。
ただ、レコード針に詳しい方であれば理解できるかもしれませんが、現代的な素材の高域がラインコンタクト針の緻密で繊細なものだとすれば、KS-VWS-3024Dの高域はよく出来た丸針から出てくる音と例えられます。決して不自然ではなく濁りもありませんが、どうしても緻密さは表現されません。
タッチが力強い印象ではあるものの、決して派手な音という感じは受けず、全体的にはやや暗めの音と表現するべきでしょうか。1960年代辺りのジャズを聴くと良さそうです。
どちらかというと地味で高解像度なR50Bloomの音が、Ortofon SPU Classic GEのような古めで濃い音を出すカートリッジに近づいたという印象を受けました。
現代的な高性能カートリッジでこのような音になるということについては賛否両論あるかと思います。私自身、メイン級のカートリッジには正直言ってちょっと使いにくいかな、と感じました。
ただ、古めのカートリッジをその時代の音に近づけて使いたいという場合に、このようなキャラクターを持った製品は活きてくると思います。
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購入金額
4,400円
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購入日
2020年06月24日
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購入場所
KS-Remasta
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