レビューメディア「ジグソー」

ハンダの違いがもたらす変化の大きさ

以前掲載した、現在メインで使っているMCカートリッジ、audio-technica AT-OC9/IIIと組み合わせているリード線が、KS-Remasta KS-LW-6000という製品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このリード線と組み合わせたことで、抜群に高音質ではあるものの何か味気ないという印象だったAT-OC9/IIIが、メインで使うにふさわしいだけの音へと一気に進化してくれました。それ以前から安価な製品を使っていて気に入っていた、KS-Remasta製のシェルリード線への信頼が揺るぎないものになったきっかけでもあります。

 

その後も機会があるごとに、ヤフオクに出品されている、同社の中では比較的安価な製品を利用させていただいていたのですが、今回はそのメインのAT-OC9/IIIのリード線をもう1ランク上げようと思い立ちました。

 

実は当初購入しようとしていたのは、同社製の他の製品でした。しかし、これまでの何度かやりとりさせていただいたり、一度KS-Remastaを主宰される柄沢さんに直接お目にかかって話をさせていただいていたことから、既に私の好みの傾向(+予算の水準)を把握されていたのでしょう。当初購入しようとしていた品に加えて、こちらのKS-LW-6000 EVO.Iが送られてきて、気に入った方を選んで欲しいというメッセージをいただきました。そこで、じっくりと試聴して結論を出そうということで、まずはこちらのKS-LW-6000 EVO.Iをじっくりと聴くことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

型番で判ってしまうかもしれませんが、実はこれまで使っていたKS-LW-6000と、今回のKS-LW-6000 EVO.Iは基本的にはほぼ同一の構成となります。導線部分にはACROLINK 6N-S1040の導体を取り出して利用していて、太さなども同じです。

 

 

 

 

 

 

 

写真上がKS-LW-6000 EVO.I、写真下が定番リード線であるaudio-technica AT6101です。KS-LW-6000 EVO.Iの圧倒的な太さがおわかりいただけると思います。

 

従来のKS-LW-6000と、今回のKS-LW-6000 EVO.Iの唯一の違いとなるのが、リードチップと導体を接続しているハンダです。KS-Remastaの比較的高価な製品では、独自の特製ハンダが使用されていて、この独自ハンダにはEVO+番号の型番が与えられているのです。つまり、このKS-LW-6000 EVO.Iは、KS-LW-6000をEVO.Iグレードのハンダで仕上げたものということになるわけです。

 

これからKS-LW-6000とKS-LW-6000 EVO.Iの比較試聴を行うわけですが、これはハンダの違いで生じる音質差を聴き分けるという行為です。さすがに私の耳や機器のグレードが、それを理解できる水準にあるのか不安になりますが、聴いてみなければ始まりませんので試聴を始めてみましょう。

更新: 2020/06/29
音質

傾向自体は同じだが、すべての質が確実に向上する

まずはヘッドシェルにリード線を取り付ける必要があります。今回はaudio-technica AT-LH15/OCCに取り付けてみましょう。カートリッジは当然audio-technica AT-OC9/IIIです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ターンテーブルはTechnics SL-1200G、フォノイコライザーはPhasemation EA-200です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこの試聴を開始した後に、色々あって試聴用リード線の種類が一気に増加しましたので、すべてのリード線で同じ曲を聴いて判断することにしました。試聴ソースは「Babylon Sisters / Steely Dan」(アルバム「Gaucho」収録)に固定しています。

 

 

さて、ハンダによって生じる音質差を聴き取るという、かなり難易度の高い試聴になると身構えつつ臨んだわけですが、心配は無用でした。後で差を聴き返せるようにMOTU 1296を使って24bit/88.2kHzのWAVで録音しながら聴いていたわけですが、思わず笑いがこみ上げてくるほどに差がはっきりとあります。

 

従来のKS-LW-6000も、もともと私が惚れ込んだ製品であり全く悪くはありません。音の鮮度が高く、程々のキレもありますし微細な音も綺麗に描き出してくれます。

 

しかし、KS-LW-6000 EVO.Iに交換すると、低域はより深く、高域はより澄んできますし、リードヴォーカルの存在感がより濃くなります。ヴォーカルの存在感が濃くなると、場合によってはあり得ないほどヴォーカリストの口が大きく描写されるような製品もあるのですが、KS-LW-6000 EVO.Iは口の大きさが変わらないまま、ヴォーカルの実在感が増してきこえてくるのです。

 

イントロのベースはより重心が下がり、バスドラムの深みもより増して聴こえてきます。それぞれの音に付いているエコー成分がより明瞭に表現され、個々の音の存在感が出てくるようになりました。

 

音場もほんの少しですが左右に広くなったような印象を受けますし、基本的にはKS-LW-6000で感じられた良さを残したまま、よりリアリティが増した音だと表現すれば良いでしょうか。KS-LW-6000をさらにグレードアップしたいとお伝えした際に、柄沢さんがこのKS-LW-6000 EVO.Iを薦められた理由がよく解ります。

 

 

もっとも、選択肢のもう一方も含め、お送りいただいた試聴機はそれぞれ魅力的で、購入したい品がより増えるという困った副産物も出来てしまいました。折角ですので、今後少しずつこの試聴結果を掲載していこうと思います。

  • 購入金額

    11,000円

  • 購入日

    2020年06月17日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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