この作品自体は、既に日本盤のCDでレビューを掲載しています。本作の音楽面での内容については、そちらでご覧いただければと思います。
しかし、元々発売日よりも前に予約していたのは、こちらのLPでした。さすがにスウェーデンからの発送ということでかなりの時間がかかってしまい、発売直前に急遽注文した日本盤CDの方が先に到着してしまったわけです。ちなみにこのレコードは先方から5月13日に発送通知を受け取っていて、実際に手元に届いたのが6月8日でした。
日本盤CDとはアートワークが全く違ったものとなっていますが、日本以外の地域で発売されたものはこちらのデザインとなっているそうです。
内袋が紙製で、CDのブックレットの代わりになっていて、歌詞などもここに印刷されています。
実はクリアカラーのLPも同時発売されていたのですが、今回はオーディオ的な品質を優先して通常の黒い方を選択しました。
CDより明らかに生々しい
今回敢えてCDとは別にレビューを書いた理由は、ひとえに音質的な違いが大きかったためです。
ここでの音質は、いつも通りのTechnics SL-1200G+audio-technica AT-OC9/III+Phasemation EA-200の組み合わせで聴いたもの及び、その再生音をMOTU 1296で24bit/88.2kHz WAVに起こしたものを聴いての評価となります。
なお、収録内容はCDとは少し変わります。
Side A:
01. Runaway Dancer
02. 10 Miles
03. Love In The World
04. Amanda’s Disguise
05. Between The Lines
Side B:
06. Look Away (Live)
07. All That I Want
08. Restless Love
09. Price Of Love
10. Sometimes You Win
日本盤CDから、ボーナストラックを省いた形となります。海外盤のCDも曲目を書き出すと同じなのですが、実は3曲目「Love In The World」は海外盤CDでは日本盤CDのボーナストラック(11曲目)に収録されたテイクとなっていて、ヴォーカルをビル・チャンプリン、ジョセフ・ウィリアムス、ゲストのマイケル・マクドナルドの3人が分け合う形のものとなります。しかし、このLPと日本盤CDではジョセフ・ウィリアムスが参加しておらず、アレンジも異なるものが3曲目に収録されているのです。
ピーター・フリーステットによると、完成版は当然3人が揃っている日本盤CDで11曲目の方だそうです。当初日本盤は1ヶ月ほど早く発売される予定であったため、海外盤より先にマスターを納品したのだそうですが、日本盤納品後にジョセフ・ウィリアムスのヴォーカルの追加作業及びアレンジの差し替えが終わり、納品が数日遅かった海外盤にはこちらを収録することになったそうなのです。そして日本盤CDは納品後ではあったもののプレス前だったため、ボーナストラックという形で完成版を追加したために、このような形となったそうです。
そして、レコードについてはおそらくカッティングの時間がかかるため、日本盤CDとほぼ同時期に納品してしまっていたのでしょう。レコードの場合はマスタースタンパーを作った後で内容を変更するとかなりの時間とコストがかかってしまうため、差し替え無しでプレスしたということだと思われます。
さて、本題の音質についてですが、はっきり言えば一聴しただけでCDとの違いは明らかです。低域の解像度や力感、ヴォーカルの生々しさなど、ほとんどの点でLPがCDを明確に上回ります。
「Runaway Dancer」や「Between The Lines」などは、LPで聴いて楽曲の魅力に初めて気付けたような気さえします。CDで聴いてどうにもモヤモヤした感があったコーラスワークなども、LPではその魅力がしっかりと伝わってくるのです。
本作は24bit/96kHzのFLACファイルも提供されていますので、そちらも購入して聴き比べてみましたが、FLACもCDよりは大幅に良くなるものの、ヴォーカルの質感はLPには及んでいませんし、全体的な解像度もLPの方が上に感じられます。
というわけで、本作はわざわざLPを選ぶ価値のあるだけの音質を実現していると言って良いでしょう。現在はAmazonなど国内の大手通販でもLPの取り扱いが開始されていますので、聴ける環境のある方には本作はLPでの購入をお勧めしたいと思います。
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購入金額
2,799円
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購入日
2020年06月08日
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購入場所
Bandcamp
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