所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ソロ活動。グループに属しているアーティストがそのグループから離れて活動することがあります。その方向性は、グループでは出来ないことという場合が多いですが、グループの延長線上の場合もあります。アニメのテーマとは言うものの、グループ楽曲と似た方向性でリリースされた声優アーティストのソロ曲をご紹介します。

南條愛乃（ナンジョルノ／ジョルノ／なんちゃん）。女性声優と言うだけでなく、音楽活動にも熱心で、八木沼悟志とのユニットfripSideの他にも、ソロとして2020年1月現在4枚のフルアルバムもリリースしている。

そんな彼女の3rdシングルが“黄昏のスタアライト”。以前ご紹介した“きみを探しに”同様、

TVアニメ「グリザイアの楽園」のエンディングテーマだが、こちらは前半の「カプリスの繭」編のもの。「きみを探しに」がバックなしでジョルノの歌い出しで始まり、その後ストリングスが入って盛り上げる叙情的な曲であるのに対して、「黄昏のスタアライト」はデジタルで激しい。

その「黄昏のスタアライト」。曲は（アレンジも）、嵐のJAL CFソング「Reach for the sky ～天までとどけ～」や水瀬いのりの「Million Futures」をはじめ、TVタイアップ、CF曲を多く手がけ、特に水樹奈々への楽曲提供が多い藤間仁の筆。作詞も桑島由一で、「きみを探しに」と同じ制作陣なのだが、全く曲調は異なり、fripSideばりのデジタルビート系楽曲。そればかりか、sus4からの解決のコード進行が多用されていたり、最後のフレーズ♪キミからの愛♪の節回しなど、八木沼が創る曲に「寄せて」いる感じで、まさに「ソロ版fripSide」と言う感じ。

一転して「優しくつもる言葉の花」は、山本陽介の生ギターが沁みるバラード。曲はAKBの渡辺麻友やクリス・ハートにも曲を提供し、ベースもプレイする増谷賢（この曲のベーシストは編曲者の黒須克彦だが）。作詞はジョルノ自身が手がける。♪宵の空／君のとなり／わたしのなかの想いが声になる／優しくつもる／小さな言葉の花／いつの日にか大きな力になる♪からの♪ひとつひとつは小さくても／二人の優しさと想い込めた／言葉の花束が／これから先の未来を／照らしていく♪というあたりは声優さんならでは？ジョルノの声は鋭い立ち上がりではないので、こういった緩やかめでアコースティックな曲の方が良さが光る。

初回特典のDVDは「黄昏のスタアライト」のMVとそのメイキング、MVから一部を切り出した15秒スポットCF。メイキングによると様々なショットを撮るため5回も通しで撮影したというMVは、吊された多数のアクリル板越しに、バンドをバックに歌うジョルノを撮ったもの、もしくは透明の半球型のカプセルに腰掛けて歌うジョルノのカットが交互に挟まれるもの。白黒ではないのだが、ジョルノの衣装や背景などはモノトーンで統一されていて、サイバーチックで曲には合っている。

MVは手前にもアクリル板が吊されており、ピントが結構ボケたショットが多い

ジョルノは、声優アーティスト活動が先で、ある程度実績を積んでからfripSideにヴォーカリストとして参加したのではなく、順序としてはfripSideが先のため、「fripSideのジョルノ」としてのイメージが強い（fripSide参加は2009年、キャラソン歌唱などを除いた声優アーティストとしての活動は2012年から）。そのため、fripSide系のデジタルビート系の楽曲は安心する一方、「ソロならでは感」がないのも事実。

同じデジタル系でも、もう少し違う方向性だったらなーと感じた作品でした（自分としては、曲そのものは決してキライなわけではないのが悩ましいが）。

風見一姫のトレーディングカードいり

【収録曲】

<CD>

1. 黄昏のスタアライト
2. 優しくつもる言葉の花
3. 黄昏のスタアライト <instrumental>
4. 優しくつもる言葉の花 <instrumental>

<DVD>

1. 「黄昏のスタアライト」MV

2. Making of 黄昏のスタアライト Music Video

3. SPOT

「黄昏のスタアライト」