レコードをきちんと再生しようとしたときに、機器の水平ときちんととったり、針に与える重さ(針圧)を合わせたりする必要があるということは、レコードをお使いの方であれば常識としてご存じでしょうけれど、普段使われていない方にはなかなか理解しがたい話ではないかと思います。
ただ、実際にオーディオ向けアクセサリーとして水準器や針圧計というものは複数メーカーから発売されていて、価格も意外と上下差があるものです。
私も普段からデジタルソースよりもレコードで音楽を聴く方が多いタイプですので、最低限必要なこれらのアクセサリーは揃えています。
ただ、今まで使っていた針圧計は、機械式の天秤型のもので、「大体合っている」という調整しか出来ません。微細な違いを肉眼で判断するのはなかなか困難ですからね。
そこで0.01g単位の差をきちんと判別できるデジタル式の針圧計を手に入れようとは思っていました。ただ、Amazon辺りで探せば格安品も見つかるのですが、きちんとしたオーディオ系のブランドが発売しているこれらの機材は意外と高価なのです。
一般的にオーディオ販売店でデジタル針圧計というと、大体の場合Ortofonから発売されている1万円弱程度のものが置かれています。まあ、上に掲載しているSHUREの天秤型でも5千円程度はしますので、妥当と言えば妥当なのですが。
しかし、出来ればもう少し手頃なものが良いと思っていたところ、行き当たったのが仏elipson製のデジタル針圧計、その名も「digital-scale」でした。
elipsonは主にスピーカーとターンテーブルを製造しているメーカーで、実はここのターンテーブルは以前販売店で試聴イベントを行っていたので聴いたことはありました。もっとも、そのときに再生されていたレコードは、元々音質的に条件が良くないホイットニー・ヒューストンの「I Wish You Love」で、結果的にここのターンテーブルの音の印象も、あまり良いものではありませんでしたが…。
とはいえ、日本での代理店はフューレン・コーディネートという、音質面での評価が高いハイエンド機器を中心に扱っている会社であり、ブランドに対する信頼感もそこそこはあるのでしょう。
普段が少し重めだったことが判ってしまう
販売価格を調べてみると、Ortofon製の約半額で買えるということで、デジタル針圧計としては充分安価と思い購入してみました。
箱の写真ではelipson製のターンテーブルで使っている様子が写っていますが、生憎私が使っているTechnics SL-1200Gではターンテーブルのプラッター上でなければ針が下りませんので、このような使い方は出来ません…。
一応このようなカバーに収納されていました。もっとも、普段から頻繁に使うのであれば、カバーはむしろ邪魔な気もしてしまいますが…。
蓋を開けると、針圧計本体の操作部が表れます。基本的には電源ボタンを押して黒丸の位置に針の先端を載せるだけなのですが、Mと書かれたボタンを押すことで表示単位をg(グラム)以外にすることも出来ます。
実は最初電源ボタンを押しても動かないのでおかしいと思ったのですが、ボタン電池(CR2032)に絶縁フィルムが挟まっていました。CR2032はPC使いであればマザーボード用の電池としてお馴染みですね。
実はSL-1200GはターンテーブルシートにSUNSHINE STS-2を使ったことで少し音に厚ぼったさが出たので、針圧を少し軽め(1.9g程度)にしていたつもりだったのですが、デジタル表示では2.01gと、AT-OC9/IIIのほぼ標準値(推奨値2.0g)となっていました。結構ずれていて驚きです。なお、計測時にはSTS-2を置いたままだとクリアランスが確保できないため、外した状態となっています。
というわけで、今までの目視中心のセッティングではどうしても追い込みに限界が出てしまうということが分かりました。頻繁にカートリッジを付け替えるような使い方でなければ、わざわざデジタル針圧計を買う必要はないと思いますが、一定頻度で付け替えるのであれば一つは持っておいて良さそうなアイテムです。
-
購入金額
4,080円
-
購入日
2019年11月13日
-
購入場所
オーディオユニオン
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。