それでは、今回入手したGinger Lilyの実物を確認してみましょう。

実は今回入手したGinger Lilyは特価品でした。現行モデルなのに何故大幅な値下げがされていたのかと疑問に思っていたのですが、製造日が「2017/06/28」となっていることで納得できました。結構な長期在庫品だったということでしょう。ちなみにヘッドホン祭りに出向いた際に買った品ですが、これは会場物販では無くフジヤエービックの店頭で購入しています。

取り敢えず、今回組み合わせる予定としていた、U3を装着してみました。個人的にはWAGNUS.のケーブルはCIEM 2pinの端子の太さが丁度良く、抜き差しの固さが適度なレベルであるところに好感を持っています。

最近、すっかり私のリファレンスプレイヤーとなった感のある、Acoustic Research AR-M2に3.5mm3極シングルエンド－2.5mm4極バランス変換アダプターを介して接続しました。

Ginger Lilyと交換する前のSilversonic MKVとの比較でいうと、実はGinger Lilyも銀コート線を導体としていて、高域方向に少し銀の音という傾向は出ています。ただ、Silversonic MKVほどの神経質さは感じませんでした。

「Desert Rose / Sting」を聴いてみると、どちらもなかなかしっかりと聴かせてくれる音ではあるのですが、Ginger Lilyの方がスティングのヴォーカルにより力を感じます。低域の重心もやや下がる感じがある一方で、全体的にはSilversonic MKVよりはややウォームな印象を受けます。

「FM / Steely Dan」ではGinger Lilyの方が低域の密度が濃い分、この曲らしい濃厚さは上回った印象があります。Silversonic MKVも高域方向のクリアさ、緻密さは素晴らしく魅力は十分にあるのですが…。

Ginger Lilyは特定の部分の強調感などは特になく、スタンダードモデルだけに平均的に整っていることが特徴といえます。ただ、特性的に似たような製品は他にもありますが、どのジャンルの楽曲を聴いてもその楽曲の良さを殺さずにきちんと届けてくれることがGinger Lilyの最大の長所といえるのではないでしょうか。これは簡単そうで案外難しいことで、少なくともこれ以下の価格帯でそれを実現したケーブルを見たことはありません。

そしてWAGNUS.には同価格のLilyシリーズのレギュラーモデルだけでもWater Lily、Magnolia Lily、Easter Lilyが存在しているのですが、その全てがきちんと別の音を出してくれるというのも面白いところです。Crystal LilyやEaster Lilyは、手持ちのイヤフォンとの組み合わせで魅力的な音が出ることは確認していますので、そのうち入手したいところです。