秋葉原での仕事で集合時間前に、PCパーツ等を物色していて見つけた品です。
当初スルーしていたのですが、よく見ると実売価格518円ながら「着脱式コネクター」という表記があったのを見つけたのです。ただ、コネクターの規格などが表面に書かれていなかったので、パッケージを手に取ってみると一応MMCX対応であることが判ります。しかも口径の違うダイナミックドライバーを2基搭載した、少し凝ったものであるようなのです。
この内容でこの値段なら、使い物にならなくても洒落で済むと思い、ついつい買ってしまいました。
一応PCパーツやAstell&Kernをはじめとしたオーディオ製品の代理店として知られる、アユートが輸入してパッケージ化した商品のようです。
中身は至ってシンプルで、本体+ケーブルに、シリコンイヤーピースが3サイズ添付されているだけです。
遠目で見ると、SHURE SE215を思い出すようなクリアシェルですが、近寄ってみると仕上げはかなり粗いことが判ります。
518円という実売価格の時点で、百均ショップのイヤフォンに次いで安いという価格帯の製品ですので、それほど多くを望むべきものではありません。しかし、折角リケーブルに対応しているのですから、ケーブルの交換を含めて試聴してみたいと思います。
最低限雰囲気は味わえるが、リケーブルの意味は乏しい
まずは、標準状態で試聴してみましょう。
標準添付ケーブルが3.5mmシングルエンド接続のものですので、DAPには明らかに釣り合いは取れていませんが、Acoustic Research AR-M2を使います。
第一印象としては、「思ったよりは普通の音」というものでした。
写真の通り、TOTOのベストアルバム「40 Trips Around The Sun」のLP版から起こした楽曲を中心に聴いていたのですが、それぞれの楽曲の雰囲気は意外とよく出ています。
とはいえ、レンジ感は狭くローエンド、ハイエンド共にきちんと出てはいませんし、バランス自体もややカマボコ形で、あまり高音質感はありません。ヴォーカルは別人に聞こえるような質の悪さはありませんが、かといって生々しさが出るような再現性もありません。
特に1曲目の新曲「Alone」は元々解像感が出にくい音であり、このイヤフォンで聴くとベースラインの明瞭度やハイハットの質感が出ないため、妙に低音質な録音であるかのように感じられます。実力の高いイヤフォンであれば、意外なほど豊富な情報量を持つ音であることは聴き取れるのですが…。
それでも「思ったよりは普通」と思ったのは、楽曲そのものの印象が大きく変わるような、変な癖が無いためでしょう。決して音が良いというわけではないのですが、まとめ方としては悪くないと思います。
さて、ここで折角なので、リケーブルをして音質の変化を確認してみましょう。私が普段使うイヤフォンは全てCIEM2Pinタイプのケーブルを使うため、あまりMMCXできちんとしたケーブルは持っていないのですが、今回はこちらを使うことにしましょう。
現時点ではレビュー未掲載となる、ORB Clear force MMCX Balanced Ver.2 2.5φ/4極 (Balanced)です。1本ぐらいまともなMMCX対応ケーブルを買っておこうと思い、半額処分品を買っておいたものです。これを3.5mmシングルエンド変換アダプター(Massdrop X MEE Audio)を介してAR-M2と組み合わせます。
このイヤフォンの素性が良ければ、質の高いケーブルを組み合わせることで、音質は向上するでしょう。しかし、残念ながら今回のリケーブルではあまり音質的なメリットは感じられませんでした。
確かに音場の明瞭度が大きく増し、高域方向の解像度は特に大きく向上します。しかし、ケーブルがHi-Fi傾向の強いものであったためか、比較的まとまっていた雰囲気が崩れてしまい、個々の音の質感の低さばかりが目立ってしまうようになります。もう少し高価なイヤフォンと組み合わせたときには、質感はむしろ向上していましたので、このイヤフォンが本質的に正しい音では無かったということでしょう。
組み合わせとしては標準ケーブルの方が数段マシでしたし、この価格である程度使えるレベルの音を出すイヤフォンという点は大いに評価して良いものと思います。しかし、決して本当の意味で質が高い訳では無いということは理解しておく必要がありそうです。
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購入金額
518円
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購入日
2019年10月10日
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購入場所
BUY MORE アウトレット
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