レビューメディア「ジグソー」

絞り9段分の長時間露光により写真の表現力を増やせるフィルター

月刊誌のCAPA2018年10月号の読者モニター大募集のMARUMI EXUS ND500とND1000 に応募して当選しました。このページではND500の方をレビューさせて頂きます。

この様なNDフィルターを使用することにより、主に日中の屋外での撮影で長時間の露光による白とびを防ぎ、表現力を増やすことができます。

主な用途としては、海面や湖面の波とか渓流や滝を幻想的に表現することができます。また、移動する車や人を顕著な被写体ブレにより個人を特定できなくする様な表現をすることも可能です。

パッケージと製品
パッケージの表と製品と専用ケース(開)

ご覧の様に、携帯に便利で、お洒落な専用ケースが付属しています。専用ケースの先端のつまみの部分を指で持ち上げることにより簡単に開けることができます。

パッケージの裏
パッケージの裏と専用ケース(閉)

閉めるのも簡単です。

このケース同じサイズだと凹凸が合うようになっていて積み重ねることができます。

重ねて持ち運び可能
重ねて持ち運び可能

専用ケース内部の溝
専用ケース内部の凸

内部に凸がある為、小さなフィルターを入れても持ち運び時にガタガタ揺れません。なお、各凸には適合するフィルターサイズが書かれています。

今まで色々なメーカーのフィルターを購入してきましたが、この様に専用ケースを屋外で持ち運びに便利なように考えられて作られているのは、他に例がないと思います。

特にNDフィルターはレンズに付けたままの状態で使用することはなく、付けたり外したりしますので意外に重宝します。

 

仕様

  • 減光量:1/500(絞り9段分)
  • フィルター径:82mm
  • フィルター厚さ:薄枠設計(ねじ込み部分を除いた枠の厚さは約4mm)
  • 付属機能,特徴:マルチコート,帯電防止コーティング,撥水・防汚コーティング,レンズ外周墨入れ加工
  • 付属品:専用ケース
  • カラー:ブラック
  • 形状:丸型(レンズキャップ・フード取付可)

 

使用するカメラ

使用するレンズ

 

更新: 2019/04/12

テスト撮影

撮影条件は、ND500+ND1000以外は、全て16mm,ISO100,F2.8で露出補正無しの自動露出,ホワイトバランスも自動でカメラのJpeg撮って出しです。また、以下の画像は10%に縮小しています。

撮影場所は、名古屋市栄のオアシス21の最上階にある水の宇宙船です。

 

フィルター無し

露出:1/6400,ホワイトバランス:5346

露出:1/6400,ホワイトバランス:5346

  

ND500

露出:1/20,ホワイトバランス:6150
露出:1/20,ホワイトバランス:6150

自動露出では、ヒストグラムを見ると0.7~1.0EV程度のアンダーに感じられますし、ホワイトバランスも遷移していますが、RAW現像時に修正できるレベルです。

但し、ホワイトバランスは撮影時刻のわずかな変化でも、完全な晴天ではありませんでしたので太陽を覆う雲の厚さでも変動するはずです。

撮影条件の悪い逆光にも関わらずフィルター装着によるゴーストや軟調や霞んだりしていません。

実は、プラスチック製の角型NDフィルターを使用していたとき、逆光でもないにもかかわらず派手なゴーストや極端な軟調及び霞んでしまい使い物にならない写真となってしまったことがあります。

 

拡大部分比較

拡大部分比較
中央の観覧車の部分比較

ご覧の様に、ND500,ND1000共に解像度に大きな変化は無いと言えるでしょう。
参考までに、ND500+ND1000の露出:25秒,ホワイトバランス:6174でした。また、さすがに2枚重ねでは四隅にケラレが生じますが、絞り込むことで消えるレベルでした。

更新: 2019/04/12

作品撮影例

以下の写真のRAW現像は、SILKYPIX Developer Studio 8にて行い、パラメータコントロールを風景にしたのみで、他のパラメータは変更せず現像を行いました。また、以下の画像は10%に縮小しています。 

なお、カメラの測光結果ではアンダーになるようなので、見た目に濃度を調整するためにはヒストグラムを見ながら露出を+0.7~+1.0EVにした方が良いと思われます。なお、使用したカメラはミラーレスなのでファインダーからの侵入光による影響は受けません。但し、ミラー一眼の場合、ファインダーからの侵入光を防ぐためアイピースシャッター又はアイピースキャップが必要です。

 

作例1

ND500
ND500フィルター(ISO:100,絞りF8,露出3.2Sec,+1.0EV)

撮影地は阿寺渓谷で、ご覧の様に、さざ波が消えています。この作例の場合、明暗差が激しいので影の部分が濃すぎで、滝つぼや白っぽい岩が白トビしています。NDフィルターは明暗差を縮めるものではないので致し方ないと思います。

 

作例2

ND500フィルター
ND500フィルター(ISO:100,絞りF11,露出2Sec,-0.7EV)

撮影地は名古屋駅近くのスパイラルタワーです。青空を強調するために-0.7EVとしました。従ってヒストグラムから見た場合、-1.7EVと言ったところです。
さすがに2秒程度の露出時間では停車している車はブレずに写っていますが、歩道を歩く人は幽霊の様にブレています。また、この日は風がやや強いかったのですが、雲の動きもブレてはいますが拡大しないと分からないレベルです。

更新: 2019/04/12
使用感

フィルターだけでなくケースまで使いやすく設計されている

  1.  ケラレ無し
    薄枠設計の為、使用したレンズの広角側16mmの開放(F2.8)での撮影結果にフィルターが原因と思われるケラレは見られませんでした。(厚枠だと、超広角レンズでケラレが発生します。また、さすがに2枚重ねでは四隅にケラレが生じますが、絞り込むことで消えるレベルでした。)
  2. 撥水・防汚コーティングの効果あり
    滝の撮影時には、水しぶきがかかってしまうことがあるのですが、付着した水滴が大きな玉にならず撮影に支障を来すことが少ない。(撥水・防汚コーティングを施されていない場合、大きな水滴となり写り込んでしまいます。また、拭いても拭いても水滴が付着し大きな水滴となります。)
  3. マルチコート,レンズ外周墨入れ加工の効果あり
    逆光の撮影時にフィルターが原因と思われるゴーストは認められませんでした。また、撮影結果が軟調になったり霞んだりする事もありませんでした。(品質の悪いフィルターでは、極端なゴーストが出たり極端な軟調となります。)
  4. 専用ケースは使いやすい
    NDフィルターはレンズに常用しないので、専用ケースは持ち運びに便利な最小限の大きさで、蓋が連結されていて使いやすい。内部に凸がある為、小さなフィルターを入れても持ち運び時にガタガタ揺れません。また、積み重ねることも可能です。(蓋が分離されていると、屋外では紛失や置き場所に困ることがある。屋内ではありがたみを感じないでしょうが、屋外では便利な専用ケースはありがたいと思います。)
  5. カメラの露出計が0.7~1.0EV程度のアンダーとなる
    使用しているカメラや被写体や狙いによって異なるでしょうが、Sony ILCE-7RM3では
    +0.7~+1.0EV程度の補正をすると見たままの色合いに最も近い結果となりました。
    (これはカメラ側の問題で、作品としての表現をする場合、カメラマンの感性の問題でもあり、露出補正量は作例に応じて異なるでしょう。従いまして、必ずしもプラス補正が正しいとは限りません。)

 

 

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2018年10月頃

  • 購入場所

    CAPA読者モニター

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