20000COOL記念として、長らく愛用しているスピーカー、SANSUI SP-50について取り上げましたが、このスピーカーについて文章を書こうと思ったときに、スピーカーケーブルも10年以上交換していないということに気付きました。しかも端末処理などはしていないケーブルですので、それなりに酸化してしまっています。
そこでこの機会にケーブルの交換もしてしまおうと考え、特価品のスピーカーケーブルを仕入れてありました。それがこのQED Performance Ruby Anniversary Evolutionです。
まずQEDというメーカーについて、一部オーディオファン以外にはあまり知られていないブランドだと思いますので、簡単に説明しておきます。
QEDは1973年にイギリスで創業されたケーブルメーカーで、オカルトでは無く科学的な根拠に基づいた構造による高音質ケーブルを、比較的手頃な価格で提供することが売りとなっている会社です。勿論、とんでもなく高いケーブルも用意されてはいますが…。
特にスピーカーケーブルの多彩なラインナップで知られているブランドですが、他にもアナログラインケーブルやデジタルケーブル、オーディオ用USB・イーサネットケーブル等も取りそろえているそうです。
Performance Ruby Anniversary Evolutionは、そのQEDが創立40周年を迎えたことを記念して企画されたケーブルで、「低価格かつ高音質」というQEDの持ち味を最大限発揮した製品となっています。但し、既に製造は打ち切られて(製造原価が高かったためという噂も)いて、流通在庫も尽きかけている状況です。
たまたま仕事で秋葉原に行った際に、ヨドバシカメラの半端ものスピーカーケーブルが入ったワゴンに「表示価格の半額」というラベルが貼られていて、その中にコストパフォーマンスに定評のあったこのケーブルが3m巻きで入っていたため、その場で即購入してきたというわけです。なお、アイテム情報の価格は1m分で表記していますので、3mはこの3倍の価格となります。
ケーブル自体は結構太く、しかも皮膜が固いためこれ以上の半径では巻けないくらいです。仕上げ自体は元々1m辺り2千円クラスのケーブルとしてはなかなか良いと思います。
皮膜に極性の色分けはありませんが、+側には製品名と「+」という文字の印刷があり、これで極性が判るようになっています。
中は予想以上に複雑な構造となっていて、銅線の束が5本入っているほか、中心部分に空芯のチューブや細い錫線と思われるものが入ったチューブなど、かなり手の込んだ造りです。この価格帯でここまで複雑なケーブルはそうそう無いと思います。
端末処理を済ませた完成形です。アンプ側は端子がバナナプラグに対応していないのでIラグで、スピーカー側はSP-50の端子に合わせてYラグを使いました。ちなみにYラグだけでケーブルの価格よりも大幅に高いというオチが…。まあ、この辺りは後日また詳細を書きたいと思います。
低域方向の充実度は圧倒的
今回はアンプ(SANSUI AU-α707DR)とスピーカー(SANSUI SP-50)の間を接続するために用意していますので、当然ながら音質評価もこの組み合わせでのものとなります。
ちなみに古くなってしまっていたケーブルは、TDK製のPCOCC6N 4芯(バイワイヤ対応)ケーブル、CA-QL601です。当時1m当たり2500円前後のケーブルでしたので、実はPerformance Ruby Anniversary Evolutionよりも高価な製品でした。
CA-QL601は高域方向で若干PCOCCらしい煌びやかさがあるものの、周波数帯域の上も下もストレス無く伸びた、バランスの良いケーブルだと思います。ちょっと傷みが出ている状態で無ければ、敢えて交換する必要は無いくらいに高水準だったと思います。
さて、CA-QL601をPerformance Ruby Anniversary Evolutionに交換してみると、さすがにまだ傷んでいないという時点で、解像度や音の鮮度で向上が見られます。
しかしそれよりも大きな変化だったのが、低域方向の密度や力感が大きく向上したということです。SP-50のレビューで書いた通り、この組み合わせは低音の量感では明らかに不足があり、しかも力強さもあまり表現できていませんでした。スピーカー自体が表現できない訳では無いというのは、KENWOOD L-01AやSANSUI AU-X111 MOS VINTAGEとの組み合わせで実証済みなのですが…。
しかし、Performance Ruby Anniversary Evolutionに交換した途端に、完全にとはいわないまでもその不満が大きく解消してしまったのです。これほど露骨に差がつくとは思っておらず、少々驚きがありました。
これだけなら単なる低域番長なのですが、中域の質感もなかなか良好ですし、高域は少しだけ地味に感じる部分はあるものの、元が少々煌びやかなPCOCC 6Nケーブルであったことを考えると、これくらいで全く不自然さは感じないという程度です。
実はこのケーブルは、某オーディオ販売店の製品レビューで、「1m5千円以下のクラスでスピーカーケーブルを選ぶのであればこれ以外にあり得ない。1m1万円クラスでもこれ以下のケーブルはいくらでもある」と絶賛されていたのですが、珍しくこの店のレビューと私が実際に使った結果による感想が一致していました。確かにこれは素晴らしくお買い得です。
実は私が購入した時点で、ヨドバシカメラの店頭ではあと数m分リールにこのケーブルの在庫が残っていたのですが、通常価格でも充分お薦めできる実力を持ったケーブルだと思います。
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購入金額
904円
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購入日
2018年12月03日
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購入場所
ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
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