人の考え方を聞くのが好きです。結論が自分と異なったとしても、どういう考え方でその結論にたどり着いたかを知ることは、自分にはない着眼点の発見があると考えてます。そういう意味では、できるだけ自分と異なる経験をした人の話が好きで、海外で生まれ育った人が思う日本社会は、私にとって当たり前と思う視点を、当たり前ではないと伝えてくれることが多く、大変参考にさせてもらってます。
この本は、アメリカ生まれで人生の半分を日本で過ごした著者が日本社会のダメなところを、指摘した一冊です。指摘内容は著者の専門である地震研究からはじまり、研究不正、受動喫煙、英語教育と多岐にわたります。最後には日本ではあまり知られてない(?)アメリカのダメなところへの言及もあります。
地震予知について、日本政府は周期説(何十年周期で地震が起こる)をベースに地震予知の研究をしている(らしい)。しかし、アメリカでは周期説について20世紀の終わりに正しくないと結論付けられていると著者は言います。この結論が正しいかどうかは一旦おいておきます。ただ、地球の活動というスパンにおいて、何十年なんていうのは誤差程度の時間というのはなんとく腑に落ちます。
この周期説を元に地震予知を支持する日本の研究者達を御用学者だと著者は言い切っています。ただ、政府の意見を代弁するような御用学者はアメリカにも存在するとも言っています。
この本の中で私がアメリカの制度がいいなと感じたのは、アメリカの委員会内には、あくまでも少数意見が存在し(つまり政府の意見と別の見解を示す委員が必ず存在し)、委員会の結論とは別にマイノリティーリポートという形で別意見を残すことができるというところです。数十年たったのちに、どんな意見が存在し、どういう状況でどういう判断をしたのかが分かるというのは素晴らしい。人間は判断ミスをするものだ。
全編に渡って、著者の個人的嗜好を元にした(と私が感じる)主張が書かれていますが、日本がダメだとか、日本がイイとか極端な意見ではなく、客観的事実や「こうしたらもっと日本社会が良くなる」という思いが伝わってきました。
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購入金額
1,728円
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購入日
2018年11月26日
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購入場所
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