「社会記号」とは「加齢臭」や「女子力」などのように、世の中に突如現れ、一般的に普通に使われるようになる言葉、「流行語」とも言えます。単なる流行語と違うのは、社会記号が生まれる前には、そのことについて考えたり、悩んだり、欲したりするようなことがないという特徴があると本書では言っています。
この本の特徴はは、実務家の視点と研究者の視点で書かれていることです。実務家の視点では、マーケティング活動を行う場合にいかにこの社会記号を広告会社が作り出し、利用し、そして社会に浸透させ、人の購買行動(欲望)に繋げるのか。研究者の視点では、社会記号の機能や種類、そして人がなぜそのような記号を必要とするかの分析が書かれています。
本書で「雑誌」の編集者たちがそのような社会記号を作るのがうまい、という説明がありました。なぜなら、社会記号はその雑誌を購入してまでその雑誌を読む「クラスター」の人向けに特化した言葉として生み出されるものであるかだと。
陰謀論的に社会記号は広告代理店が作り出してるのかと思っていました。しかし、クラスターのないマス向けのメディアでは、いきなり新しい言葉を作り出して、何の説明もなく、老若男女に伝えることは難しい。むしろ、クラスター向け言葉がだんだんそのクラスターを飛び出し始めた頃に、マス向けに発信していくことで社会記号は一般化されていく。
Webが当たり前になり、雑誌の役目は終わったのかと思っていましたが、こんなところに社会的な意義が残されていたんですかね。たまには雑誌を読もうかと思いました。
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購入金額
799円
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購入日
2018年01月16日
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購入場所
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