レビューメディア「ジグソー」

独特のライブ感

中野サンプラザで開催された「ヘッドフォン祭り 2018 秋」。

 

割合早朝から出向いたにもかかわらず特売品はほぼ買えなかったのですが、気になっていた製品を色々試したりすることは出来て、なかなか有意義でした。

 

そんな中、会場に行くまでは全く買うつもりがなかったものの、直前に急にピンと来て買ったイヤフォンリケーブルがこちら、WAGNUS. Chocolat Lily(読みは「ショコラ・リリィ」)です。端子形状は2.5mm4極バランス - CIEM 2pinというものです。

 

基本的には受注生産品なのですが、即売コーナーにこの形状のものは完成品が限定1本だけ用意されていたのです。WAGNUS.製のリケーブルとしてはローエンド品なのですが、それでも17,800円なのですから決して安い品でもありませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真撮影時には、取り敢えず64AUDIO U3と組み合わせてみました。試聴は主にJH AUDIO MichelleとNoble Audio Savant Universalで行っています。

 

 

 

 

 

 

実は興味が無くてよく見ていなかったのですが、カスタム版のNoble製IEMはWAGNUS.が国内代理店だったのですね。Nobleの新シリーズとなるセミカスタムモデルは、内部配線と添付ケーブルでWAGNUS.とコラボレーションしていることも発表されています。ちなみにユニバーサルモデルの方はエミライが代理店です。

 

Chocolat LilyはWAGNUS.のローエンドシリーズ、Lilyシリーズの数量限定モデルで、メーカーブログに以下のように掲載されています。レギュラーモデルではないため製品紹介が用意されていませんので、ここに引用しておきましょう。

 

 

秋のヘッドフォン祭2018、続いての目玉となるスペシャルケーブルがこちら!Lilyシリーズの限定モデル「Chocolat Lily(ショコラ・リリィ)」です!
 
Lilyシリーズ共通のスペック線材で、甘くて美味しそうなチョコレート・ブラウンをしたニューカラーが可愛らしいスイートなビジュアルをしています*
 
もちろんサウンドメイクも一から構想を練って半田選定にもこだわり抜いた結果、既存のLilyシリーズとの差別化がしっかりできていて、且つ一切の引けを取らない新感覚サウンドを得ることに成功しました。この半田選定ですが、実はかなりすごい半田を使っています。詳細は企業秘密なので言えないのですが、もう二度と手に入らない米国の1940年代の軍需産業で使われていた知る人ぞ知る半田を使っています。その中でもとびきりレアなもの。この音がサウンドメイクの決め手になっており、他のLilyシリーズとは異なる音を奏でてくれます(本当に心地いいサウンド)。
そのため、その半田で製造できる本数も限られてしまうので、現在のところは正式リリースを予定できない、という事情があります。

 

 

(以上、https://wagnus.exblog.jp/27614498/ より引用)

 

 

後は実際に音を聴いてみることにしましょう。

更新: 2018/12/02
音質

Michelleに新たな魅力

率直に言って、現在の私にとってのメイン機となる、64AUDIO U4との相性はさほど良くありません。これはU4がかなり独特のローブーストモデルであり、これと相性の良いケーブルは限られてしまいますので仕方ありません。

 

他に試した64AUDIO U3、JH AUDIO Michelle、Noble Audio Savant Universalでは、いずれも共通する傾向が見られましたので、今回は主にMichelleでの試聴結果を中心に書くことにします。

 

 

 

 

 

 

なお、DAPは写真の通りAstell&Kern KANNを組み合わせています。

 

 

 

 

 

 

Michelleの標準添付ケーブルとの比較では、まず低域の量はさほど変わらないものの、解像度が上がりベースラインやバスドラムのキックの明瞭度が出てきます。そして高域もより上の方までストレス無く伸びているという印象であり、ハイハットの質感も向上しています。

 

しかしそれよりも遙かに特徴的なのは中域で、ヴォーカルがバックの演奏に埋もれなくなり、響きや空気感といった要素が大幅に増してきます。

 

例えば「California Dreamin' / Diana Krall」では、今までが響きのない無響室で歌っていたような音だとすれば、Chocolat Lilyとの組み合わせでは響きの良い小さなスタジオで歌ったものを収録したという印象に変わるのです。原音忠実度という意味ではひょっとすると後退したのかも知れませんし、あるいは今まで表現できていなかった音が表れただけなのかも知れませんが、この変化は聴いていてとても気持ちの良いものです。

 

 

 

 

概ね殆どのソースで感じられるのは、音場の広さが変わったわけでは無いものの、その空間の中の描写が緻密になっている一方で、胴鳴りや響きといった間接音が今までより明らかに増しているということです。「Infinite Synthesis / fripSide」のような人工的な音のソースでもそれは変わらないので、ちょっと不思議な音に感じられることがないわけではありませんが…。

 

この間接音がはっきりと表現されるという特徴はSavantでもU3でも共通してみられた傾向ですので、これがこのケーブル独特の持ち味なのだと思います。U4でも勿論その方向性は感じられたのですが、低域のパンチが強くなって低音番長ぶりが強調されてしまい、バランスを欠いてしまう傾向があったのです。

 

また、響きが強くなったことの副産物なのかも知れませんが、「Dangerous / David Garrett」で高い音の時に気になっていたヴァイオリンの音の神経質さがかなり和らいでくれて聴きやすくなりました。決してヴァイオリンの音自体が豊かになったと言うわけではありませんので、恐らく倍音成分が目立った事によるものでしょう。

 

 

 

また、「Home Of The Brave / TOTO」などは、この傾向が楽曲にライブ感を与えてくれて、今までに無くゴキゲンな鳴り方です。

 

 

 

 

帯域バランスは整っていますし、緻密さもある音なのですが、オーディオ的な正確さよりは音楽を鳴らしたときの快適性に優れる音というべきものでしょう。Savant、Michelleに関してはこのケーブルとの組み合わせでとても魅力的な音になります。

 

特にMichelleについては、はっきり言ってしまうとU3購入後に出番がかなり減っていたのですが、このケーブルとの組み合わせで新たな魅力が生まれたといえます。とにかく聴いていて音楽が気持ち良く鳴ってくれますので、色々な曲を聴くのが楽しみになってくるのです。

 

試聴無しで今まで使ったことのないブランドのケーブルを買ったので不安もあったのですが、買って良かったと素直に感じられるケーブルでした。予算がありませんので当分ケーブルにこの金額は払えないと思いますが、他のWAGNUS.製品も使ってみたくなる完成度です。

  • 購入金額

    17,800円

  • 購入日

    2018年10月27日

  • 購入場所

    ヘッドフォン祭り 2018 秋 物販会場

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