6曲目の「犬を連れたルネとジョルジェット」それ以外はMTVで紹介されていないはず

これ以外はシングルカットされていないはずです。

アルバム「ひとりごと」より「君の床は僕の天井」から始まる選曲なのですが

特徴的なピアノで奏でられるイントロはそのままながら、どこかオリジナルとは異なる響き

サイモンとガーファンクル時代から　R&Bやロックンロール、イギリス民謡やフォークソングに留まらず、ボサノバや、フォルクローレ、教会音楽やゴスペルをポピュラー・ミュージックに咀嚼して

大衆娯楽用作品として落とし込む能力は　他に例を見ないポール・サイモン。

ソロ活動を始めてからは、レゲエ、ジャズ、ケイジャン、　より民族色の強い音にも

またブロードウェイ・ミュージカルにも挑戦してきました。

その課程で生まれた　例えば「時の流れに」や「グレイスランド」「追憶の夜」

「何かが上手く」や「ハーツアンドボーンズ」などのように　コンサートで皆がついシングアウトしてしまう名曲ではなく、時代の片隅に、引き出しの奥でじっとしていた　佳曲を

ポール自身が　見直し、時には歌詞を変えて　リアレンジして

世界の錚々たるミュージシャンと共演し、録音し　提供された　アルバム

それが　この　「In the blue light」　なんです

紙ジャケット内側のイラスト

私は　アルバム「時の流れに」に収録されていた「You are kind」の中の歌詞

I'm gonna leave you now
And here's the reason why
I like to sleep with the window open
And you keep the window closed　を　思い出しましたが、、。

8曲目　Darling Lorraine　

で描かれる　男と女の出会いと　愛と　どのカップルにも訪れる結末　

それを英語の自動翻訳で　味わうことは出来ません

ポール自身は　メロディファーストで　歌詞はそれに載せたものと言いますが

それにしても

音の響き　音の階層　それだけで　終わらせるには惜しい珠玉の歌詞

私はAmazonで英語歌詞カード付きの輸入盤を買い求めましたが、小さな字を目で追いながら

辞書を開いたり　他のどなたかに尋ねたりすることが面倒とお感じなら

迷わず日本版をお求めになることをおすすめします

スティーブ・ガッドとは何度も共演していた仲ですので　馴染みのリズムと響きです

そんな中　

9曲目の　「ある人の人生」でのジャック・デジョネットは　ライナーを見なくてもそれとわかります

また

ウィントン・マルサリスのミュートの効いたトランペットもそう

Y.music　という室内楽団の演奏も素晴らしい

これまでで最もクラシックの技法に寄り添ったアレンジも楽しめました。

音も良いです　コンプレッションの効いた低音のキレや押出しはありません

強調された高音の伸びや　不自然な音場の広がりもありません

ポールの歌が主役です　それを損なわず　それを活かす　世界有数のミュージシャンの名演が

とてもバランスよく配されます

1日に何度も聞いて楽しむことができます

ポール・サイモンのファンでなくても　きっと音楽ラバーなら　楽しんでもらえる

そう考えます

ぜひ　お手元に