オーディオインターフェースとしてMOTU 1296を導入して以降、電源ケーブルやAudioWireケーブル(FireWire 6Pinと物理的に互換)の違いによる音質差が思いのほか大きいということに気付き、特に近年はオーディオ向け高品位FireWireケーブルの入手が難しくなっていることから、市場に出回っているFireWireケーブルに注目していました。
現時点でMOTUの標準添付ケーブルの他に、audioquest FireWire FOREST、FURUTECH FireBird-66を試して、FireBird-66の音質が明らかに優れているため、これを常用しています。
FireBird-66はMOTU 1296の音質をオーディオ機器の水準まで引き上げてくれる、今となっては欠かせないアイテムです。しかし、弱点は高いこと。私が使っている1.2mで、通常は1万円近辺のケーブルなのです。私が買ったタイミングではたまたま値下がりしていたのですが…。
そこで現時点で流通在庫がそこそこあるものとして目を付けていたのが、オヤイデ製のd+FireWireでした。これは通常1mで4千円前後ということで、FireWire FORESTよりは高く、FireBird-66よりは安いという比較的手頃な価格帯なのです。さすがにFireBird-66と同列に比較できるというレベルを望むことは出来ませんが、FireWire FORESTと同等以上の音質を確保できるのであれば、入手性と手頃な長さに存在価値があると考えたのです。
そこで実売価格が安いショップを探していると、たまたま楽天のバナーが目に入り、何とこのケーブルが980円と書かれているのです。慌ててそのページを見てみると、楽天市場に出店しているRATOCの直販ショップ、ラトックプレミアで傷・汚れありの品として売られていることが分かりました。
どうせ音質を検証したいだけなので外装は気にする必要も無いということで、即注文を入れたわけです。在庫数2だったので、買い占めさせていただきました。
AudioWireにはお薦めしません
音質検証は、普段使っているFireBird-66を、そのままこのケーブルに差し替えるという形で行いました。普段MOTU 1296は主にレコードの音をPCで録音するために使っているオーディオインターフェースですが、今回はこれをそのまま再生に使って音質を比較しました。ちなみにMOTU 1296はRCA-PHONEケーブル+PHONE-XLR変換アダプターを使って、SANSUI AU-α707DRのTAPE 2端子に入出力接続しています。
ある程度厳密に比較試聴するつもりでいたのですが、最初に適当に鳴らした曲(「Head Over Heels / Tears for Fears」)のイントロだけで露骨な差が表れてしまい、その必要はありませんでした。一言で言って、FireBird-66の圧勝です。
このd+FireWireの音は、一言で言えば高域寄りの薄くて硬い音です。低域の密度が極端に減ってしまいますし、音場の密度が大幅に薄くなってしまいます。
他のMOTU製品での話ですが、AudioWire用にオヤイデのケーブルを使ったところ正常に動作しなかったという報告を見たことがあったものの、少なくともPCIe-424+1296の組み合わせにおいて動作自体に問題はありません。しかし、動くからといってこのケーブルに差し替える意味は見出せませんでした。
確かに高域方向の透明度や緻密さは標準ケーブルよりは上ですし、その1点においてはFireWire FORESTも上回っているでしょう。しかし、あまりに低域方向の質が下がりすぎます。音のバランスだけでいえば標準ケーブルの方がマシなほどでした。
今回はFireWire接続のオーディオインターフェースでは無く、あくまで別規格であるAudioWire用に使うというイレギュラーな用途ですから、これを以てこのケーブルの実力と判断するのは早計です。しかし、ここ最近のオヤイデのケーブルに多くなっている、薄くて硬い音という傾向がここでもはっきりと表れてしまったのは残念です。
少なくともAudioWireケーブルとして使う限りにおいては、入手できればFireWire FORESTを、予算があればFireBird-66を、それぞれお薦めしておきます。
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購入金額
980円
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購入日
2018年09月22日
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購入場所
ラトックプレミア 楽天市場店
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