前回掲載したUSBメモリーと同様に、日本オーディオ協会から発売されている高音質盤です。こちらは45回転の12インチアナログ盤です。
5月に発売された井筒香奈江の新作アルバム「Laidback 2018」の収録曲から3曲を抜粋して、高音質アナログ盤として仕立てたという体裁なのですが、実はCDやハイレゾ配信版とは元音源のフォーマットが異なっているとのことです。
e-onkyoのハイレゾやCDについては、32bit(float)/192KHzのWAVで収録した音源を使っているそうなのですが、アナログ盤には同時収録していたDSD 11.2MHzの音源を使ったとのことです。この辺りの話は、OTOTEN 2018のオンキョー・パイオニアのブースで開催された、井筒さん本人とレコーディングを担当された高田英男さんが招かれていたトークショーで聞いてきた話ですので間違いないでしょう。
USBメモリーと同様に会場で買うと送料がかからない分安くなることに加え、元々ジャケットが用意されていないレコードである代わりにスリーブに井筒さんのサインが入るということで、こちらも購入してきました。
ブックレット代わりに、制作過程などが細かく記されたコピー用紙を閉じた冊子が添付されています。
こちらが収録内容とクレジットです。通常版のアルバムとは異なり、日本オーディオ協会の企画盤という位置付けとなっています。
音質チェックはTechnics SL-1200GとDENON DL-103の組み合わせで行ってゴーサインを出したという事が記されています。いい加減日本の制作現場もDL-103から脱却できないものかと思わなくもありません…。
A面が2曲、B面が1曲と、わずか3曲収録しているだけですので、LPサイズ(12インチ)ながら溝は外周側にしかありません。内周に入ることによる情報量の低下や歪みを嫌ったことによるものらしいですが…。
現代的高音質を体現した音質
それではいつも通り、KENWOOD KP-9010+audio-technica AT33R+Phasemation EA-200の組み合わせで試聴してみましょう。
開封直後から結構塵の付着が多く、ノイズ成分が多かったのは少々残念ではあるのですが、音質傾向はいかにも現代的なものです。MIXER'S LABなどでも数多くの高音質盤を手掛ける高田氏の録音らしく、ワイドレンジかつ深い低音が刻まれていることが実感できます。
実はオンキョー・パイオニアのブースでフロア型スピーカーを使って試聴した際には、低域のエネルギーが凄まじく部屋の周囲のボードがひどく共振し始めてしまったほどなのです。ここまで深い低音は、通常の音源ではいくらイコライザーで低音の量を増やしても決して再現できないでしょう。
ただ、いかにも日本の高音質盤らしいと思うのは、ヴォーカルの息づかいなど細かいところが妙に際立った音となっていることでしょうか。この辺りは何となくデジタル的な音に感じさせられる要因となるかも知れません。決して「古き良きアナログ」の音ではなく、現代的な「高音質サウンド」となっています。レコード愛好家からの評価はかなり分かれそうな気がします。
前述の通り、スリーブのサインが必要なければ同じものが日本オーディオ協会の公式サイト上から購入可能となっていますので、興味を引かれた方は是非ご購入いただいて聴いてみていただきたいと思います。レコードの再生環境が整わない方はe-onkyo配信のハイレゾ版がお薦めです。高田氏のお話では、24bit/192KHzのWAVで、自分がイメージした音はほぼ再現できているとのことですので、出来ればケチらずにこちらを聴いてみて欲しいとのことです。
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購入金額
2,000円
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購入日
2018年06月16日
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購入場所
OTOTEN 2018 会場
harmankardonさん
2018/06/18
jive9821さん
2018/06/18
DSDは周波数が低いとディザーノイズが避けられず、11.2MHzでは対応機器が少ないために意外と難しいという見解のようです。制作側の意図は24bit/192KHz WAVでほぼ表現できているので、それで十分と。32bit/192KHzであればもう一歩の繊細さも出てくるともコメントされていましたが、32bitはfloatなので実際のところどうなのかは謎です。
アナログ盤はディザーノイズの帯域はカットオフされるので、DSD音源→アナログが理にかなっているという話もありましたね。