レビューメディア「ジグソー」

表題曲1曲のリミックス集。これをやって飽きさせないのは相当の技量が必要。わかってんの?

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。Maxiシングル。通常のCDアルバムと同じ径の12cmCDを使ったシングルをこう呼びます。今でこそ展示のしやすさやジャケットのアピール性の問題から、ほとんどのシングルがこの形式ですが、特に8cmCDシングルと共存していた時期は、「12cmCDならでは感(?)」を出すため、カラオケやショートヴァージョンなど派生作品をてんこ盛りに突っ込んでいた時期もありました。そんな時期にリリースされた音源をご紹介します。

 

Kenny G。その貴公子然としたルックスと、当時あまりメジャーでなかったソプラノサックス(ストレートタイプ)を軽やかに扱うプレイスタイル、覚えやすい楽曲で、インスト畑ながら広くファンを獲得したアーティスト(今でも現役)。

 

この作品はKennyの7thアルバム“The Moment”に収められた「Havana」のリミックス集。アルバム自体も、「あの」ウルトラヒット“Breathless”の後を受けたもので、Babyfaceの起用など話題を振りまいたが、この作品ではシングルカットにあたって、元々スローテンポで哀愁があるメロウな曲をディスコティックにアレンジしてきた。

 

あたまから3曲のリミキサーはTony Moran。Michael JacksonやExposé、Cyndi Lauper、Mariah Careyなどのリミックスを手がけるカリブ出身のリミキサー。そんな彼らしく?ティンバレスをフィーチャーし、大きめ音量でハンドクラップが入ったラテンな感じのビートが効いたミックス。ただし...1~3曲目があまり違わない。特に1曲目と2曲目は演奏分数も数秒しか変わらず、ミックスダウンのバランス調整だけ、という感じ。それら2曲は、元曲のようにビート感が希薄なバラード調イントロから途中でパーカッションが大々的に入ってラテン調にチェンジするが、3曲目の「Havana (Tony Moran Club Mix)」だけが、イントロからアフリカンな?掛け声が入ったダンスチューンとなっていて多少違うけれど...曲の構成自体が大差ないので、3曲続いて聴くと満腹感が...

 

Havana (Todd Terry Freeze Mix)」は一転ループ系のリズムとベースラインの上で、Kennyのアドリブ部分を頭に持ってきたCOOLなミックス。曲のテーマ部分は明解でなく、まさにサンプルループという感じの繰り返しフレーズの所々に、Kennyのソプラノサックスが軽やかにしかもジャジィに乗るという構成。これは元曲識っててもなんの曲か当てられないかも。全部で6分超にエクステンドされているが、後半半分は64小節にも渡るベース+リズムループでKennyのプレイは一切なし。ダンスに使うときにはここでソリストのキメダンスでも入るのかなぁ。その後8小節刻みで徐々に楽器がオフって行き、唐突に終わる構成。

 

最後が「元曲」とも言える「Havana (Album Version)」。コンガとクラーベ系のリズムを刻むクラベスによってラテンな薫りはするけれど、スローで落ち着いた大人の雰囲気の楽曲。元々「泣き」のメロディラインでもあり、日本人の感性にはとても合う。

 

バラード調...というかゆったりとした社交ダンス系?元曲をダンサブルにしたミックス、Toddのミックスは元曲を大胆に変えていて、以前

の冗長さがなかったし、Tonyの情熱的なラテンミックスも悪くなかったけれど、同じTonyのミックスを頭に三連荘で持ってきたため、水増し感が...同じ曲が6曲入った上記のMaxiでは、今回良かったToddのミックスが半分を占めていてやはり水増し感があった。これは一人の頭で考えることはどうしても幅が狭い、ということなのかも知れないけれど、この作品も1~3曲目の楽曲を一つに絞ったら、このMaxiがもっと「締まった」と思う。

ヨーロッパ絵画的?なジャケット
ヨーロッパ絵画的?なジャケット

 

そう考えるとたくさんの曲が詰め込まれていることが、必ずしもシアワセにつながらない難しさを感じた作品でもありました。

 

【収録曲】

1. Havana (Rhythm Mix)
2. Havana (Remix)
3. Havana (Tony Moran Club Mix)
4. Havana (Todd Terry Freeze Mix)
5. Havana (Album Version)

 

「Havana (Tony Moran Club Mix)」

更新: 2018/06/11
必聴度

たくさん曲は入っているけれど...うーん...変わり映えしない...

元曲は、男女が身体を寄せ合い緩やかに揺れるような、哀愁漂うスローなダンスナンバーだが、Tonyはラテンで情熱的なハードな曲、ToddはCOOLなループ系楽曲で最後はソロダンスの魅せ場となりそうな形に仕上げたており、3方向の味が楽しめるが、最初にそのラテン系楽曲を3つ立て続けに聴かせられるので、飽きが...1~3曲目をどれか1曲に絞るか、せめて順序をもう少し考えれば良かったのに。

  • 購入金額

    1,233円

  • 購入日

    1998年頃

  • 購入場所

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