昨日11月18日は「イーイヤの日」でした。つまり、イヤフォン・ヘッドフォン専門店の「eイヤホン」の記念日というわけです。
この日には1日限定の特価セールなどが実施されるのですが、インターネット通販では前日17日夜からセールが実施されていました。そこで入手したのが、ジャンク寸前と評した方が早いコンディションの、Unique Melody製イヤフォンMAVERICKでした。
Unique Melodyは中国の高級イヤフォンメーカーであり、勿論世界各国で高い評価を得ているブランドではありますが、このMAVERICKは日本における代理店であるMixWaveが設計レベルから参加して作り上げた、日本市場専用の製品となります。
ドライバー構成はダイナミック×1基+BA×4基ですが、その振り分け方がなかなか珍しい形となっていて、低域用にダイナミック・BAを各1基割り当て、中域はBA1基、高域にBA2基という、3ウェイ5ドライバー構成となっているわけです。普通は違う種類のドライバーを同じ帯域に割り当てることはないのですが、この独特の構成がMAVERICKならではのサウンドを作り上げているということでしょう。
さて、今回購入したMAVERICKはジャンク寸前と書きましたが、どこがおかしいのかというと、左側のユニットのノズルが欠けている、というかほぼ崩れているのです。一応音を出すのに差し支えはないのですが、イヤーピースの着脱で破損が広がってしまうので、後で樹脂を盛って成形しておこうと思います。
付属品はケーブルとイヤーピース1ペアのみでした。
Unique Melodyの標準ケーブルはさほど良いものでは無いと思いますので、この後の試聴ではBriseAudio SHP-001を利用します。
小型2ウェイスピーカーを想起させる音
それでは試聴に移りましょう。
組み合わせるDAPは、Acoustic Research AR-M2です。ケーブルは前述の通りBriseAudio SHP-001、イヤーピースはAZLA SednaEarfit(初代)です。ただ、SednaEarfitは軸が結構硬く、また少し左のノズルが欠けましたので、あまりお薦めはできないかもしれません…。
まず、10万円クラスのイヤフォンとしてはなかなか珍しく、特定の帯域の強調感はあまり感じられません。低域も高域も、しっかりと出てはいるのですが存在感は控えめであり、フラットというよりは少しカマボコ型のバランスに感じられます。
特徴的なのは音場の構築と、ヴォーカルや楽器の独特の生々しさです。音場はかなり広めに構築され、BAらしいふわりとした広がりと、ダイナミックならではの実在感が見事に両立しています。アナログ盤から起こしたソースを中心に聴いているのですが、イヤフォンで聴いていてアナログならではの質感がここまで綺麗に出る製品はそう多くはありません。
同じUnique Melody製の高級イヤフォンにMASONシリーズがあるのですが、MASON系はハイスピードかつ硬質で、ロック系の楽曲を勢いよく鳴らすのが得意なタイプなのですが、MAVERICKは緻密で正確な音でありながらも音楽の雰囲気をジャンルにかかわらず上手く伝えてくるタイプです。真剣に聴けばかなり細かく正確な音ではあるのですが、それよりはリラックスしてリスニングに使う方が持ち味がきちんと出てくるのではないかと思います。
MAVERICKで聴いていると、古めの小型ブックシェルフスピーカーで音楽を聴いているような印象を受けます。最近の小型ブックシェルフスピーカーは、見た目よりも低域の量感があるものが多いのですが、昔の小型ブックシェルフスピーカーは低域の量感や力感が大型に劣るものの、中域を中心とした質感や音場の広さに持ち味があるものが多くありました。MAVERICKの音はまさにそのような音なのです。
私が普段使っている64AUDIO U4はいかにもイヤフォン的なバランスの高音質、MAVERICKはイヤフォンながらスピーカー的な音質と、近い価格帯のイヤフォンながらはっきりと持ち味が異なります。どちらも十分に魅力的な音ですが、長時間音楽をのんびりと聴くのであればMAVERICKの持ち味が活きてくるように思います。
あとは常用できるよう、きちんと修理しなければいけませんが…。
ケーブルを極めると…
先日eイヤホン秋葉原店で開催された、イヤフォンリケーブルの試聴会に参加してきたのですが、そこでMAVERICKの実力を見直す出来事がありました。
ACOUSTIC REVIVEのブースで「REC-absolute-FM」のCIEM 2Pin - 4.4mm5極版を試聴させていただきました。まあ、約16万円のイヤフォンケーブルなどとても買えるものではありませんが。
以前聴いたときにはUnique Melody Mini MESTを、今回もメインは64AUDIO U4(apexモジュールをm15に交換済み)で試聴させていただいたのですが、最後に軽い気持ちでそのケーブルをMAVERICKにも組み合わせてみました。
すると、今までのMAVERICKは何だったのかと思うほど、端正で緻密なHi-Fiサウンドを奏でてくれたのです。おそらく現行世代のMAVERICKではREC-absolute-FMを組み合わせると極端にHi-Fi寄りの音になってしまうと思うのですが、MAVERICK初代はこれが絶妙のバランスでした。
実は他社のケーブルではU4、MAVERICK、Mini MESTでそれぞれ聴いてみるとどうしても相性の良し悪しがあったのですが、REC-absolute-FMはどれを聴いても見事な音で、本当の意味で高性能なケーブルの凄みを見せつけられました。
取り回しも悪く値段も高いので、さすがに入手して聴くのは現実的ではありませんが、自分が使っているイヤフォンの限界を知るという意味では、このケーブルと組み合わせてみることがお勧めです。
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購入金額
25,000円
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購入日
2020年11月19日
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購入場所
eイヤホン
harmankardonさん
2020/11/19
実は私も持っています.音楽が楽しいイヤホンです.
NEPTUNEからのステップアップは,Maverickがいいと思っています.
harmankardonさん
2020/11/19
jive9821さん
2020/11/19
確か、以前BeatAudioのケーブルと一緒に写っていましたよね。
ヘッドフォンといえば、確かにATH-AD2000系などには通じる傾向かもしれませんね。
私の場合はオープンエアでもHD650やEL-8 Open Backが連想されてしまうので、
それよりは昔の小型スピーカーの印象なのですが、以前聴いたATH-AD2000Xとは
持ち味が近い気がします。