所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。キャラソン。アニメやゲームなどで設定されたキャラクターをそのキャラクターとして表現する歌のことをこう呼びます。それを表現する声優と、その声によって描き出されるキャラクターと。どちらが前に出た方が「キャラソン」としては質が高いのでしょうか。そんなことを感じさせたあるゲームのキャラソン集をご紹介します。

「芋づる式洲崎綾 Part5」。Webラジオのキャラクターの面白さと天使の歌声のギャップ萌えですっかりファンになった洲崎綾（あやちゃん／ぺっちゃん／あやっぺ）関連。12月といえば恒例のイベント月ということで、それに向けてこの1年で増えてきた彼女の直接参加した作品や楽曲、ラジオCDなどから、参加作品の主題歌や演じたキャラクターのグッズ、イベントグッズなどの関連商品まで芋づる式にご紹介するシリーズレビューの5回目。

以前ご紹介したスマホソシャゲー「ガールフレンド（仮）」。

ゲームの方はなんとなくまだ続けているのだが、一時期は20人近くアクティヴだった「部活」と呼ばれるプレイヤーのグループも今は活動しているのは自分を入れて3人ほどで、一人はもともとほとんど発言がなく、以前は良く発言していたもう一人もバイトが忙しいらしく最近は発言が月イチくらいなので、「ソシャゲー＝ソーシャルネットワーキングサービスゲーム」というよりは単なる個人用スマホゲームとなってしまっている。ただ自分がソコソコのレベルにまでなってしまっているので、「勧誘グランプリ」と呼ばれる部活対抗のグループ戦以外はマァマァの順位までは行ける事もあって、ダラダラと習慣的に続けているカンジ。

なかなかやめる踏ん切りが付かない理由は、一つはQP:flapperの描くオンナノコの魅力。ツンデレもお姉様も、小動物系もお転婆なのもそれぞれの魅力を引き出し、行事が多い学校という設定上、コスプレ的イベントも多数でイラストがエr...ｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ...美しい。

．．．．みえ？© Cyber Agent, Inc.

あと一つが「声」。このゲーム、レアリティが「R（レア）」以上のカードには原則としてヴォイスが付く（そもそもゲームの謳い文句が「君の声が、僕を強くする」）。上坂すみれや佐倉綾音、小倉唯、内田真礼といった人気声優に、日笠陽子や田村ゆかりといったベテラン組まで100人以上の声優が声をあてていて、少しでも声優識っている人なら出演声優一覧見ただけで必ず数人はわかるひとがいるハズというような豪華キャストによるボイスも魅力。

そしてそのなかにあやちゃんもいる。

あやちゃんが演じるのは「江藤くるみ」という1年生。軽音部に入っていて担当はギター、速弾きが得意とか。そんな彼女が軽音部で組んでいるのが「にゅーろん★くりぃむそふと」というバンド。メンツはくるみちゃんの他には2年生の風町陽歌（ヴォーカル＆ギター）、黒川凪子（ベース）、蓬田菫（ドラムス）と同級生のキーボーディスト朝比奈桃子という設定。

軽音部バンドということで、姉妹ゲームのリズムゲー「ガールフレンド（♪）」でフィーチャリングされたり、その流れか「ガールフレンド（仮）」のアニメ化プロジェクトでも取り上げられたりして、あやちゃん演じるくるみちゃんのゲーム内登場回数が激増したのは僥倖。．．．というのもくるみちゃんの基礎カードはレアリティが一番低い「N」の中でも最弱カードで、素材カードの筆頭（いわゆる「墓地に送られる」方）。そのため永く「R」以上のカードに恵まれなかった＝つまり声が付かなかったから。それがリズムゲーで取り上げられたり、アニメになったりして「SR」という未進展カードで上から2番目のレアリティ（＝無課金で入手できる最上位カードともいえる）まで実装された。

手持ちの最終進展SSRくるみちゃん。左端の巫女装束のは強力カード。© Cyber Agent, Inc.

ま、そんなこんなでアニメ化された「ガールフレンド（仮）」のキャラソンCDにも彼女たち（にゅーろん★くりぃむそふと）フィーチャリングの盤がある。それがこの「Vol.03」。アニメ自体は低予算深夜モノらしく？一部で作画崩壊も見られ、あやちゃんも主役級キャラでもないので揃える優先順位は低いのだが、あやちゃんに歌から「入った」cybercatとしては楽曲CDから先に入手してみた。

ハイスピードな「HAJIけてシナプス☆シナモンロール」はメンバーが交互にソロで歌い、各パートの演奏的魅せ場も結構ある楽曲。ソロはギター担当奈良悠樹の速弾き⇒岸田勇気のピアノソロとつなげており疾走感あるし、ハイスピードな髭白健のドラミングと時々空きスペースにスラップをねじ込む工藤嶺のベースがリズムをグングン前に進めていて心地良い。歌唱もメインヴォーカリスト陽歌ちゃんを演じる早見沙織が目立ってはいるが、各声優のソロパートも比較的長くイイカンジ。あやちゃんがこのゲームで表現したくるみちゃんの声は、たまこ～マコ系の丸っぽく元気に抜ける声で、歌唱的に聴かせどころが多くなるデレマスのヴィーナ洲崎こと新田美波系の深い声ではないが、全体ノリノリの曲なのでこれはこれで。

「ペンタトニック・ラブ」はあやちゃんのソロ曲。くるみちゃんの声質は丸く鼻腔の奥の方にあてたような声であまり抑揚がないカンジの表現形なので、「HAJIけてシナプス☆シナモンロール」のような、グループ曲だと目先が変わっていいンだけれど、1曲通すとちょっと一本調子。あやちゃんの歌を「鑑賞する」には物足りないけれど、ギタリストでヴォーカリストでもないくるみちゃんのキャラ設定としてはコレで良いのかな。

ラストの「ハーモナイズ」は、ガールフレンド（仮）で演じているキャラ名つなげてユニット名としては「ゆずもも」ってなっているけれど、中の人は小倉唯と石原夏織なので「ゆいかおり」ですな、こりゃ。桃子ちゃん単独のキャラソン＝「響け！どれみ♪」の方は息多めの舌足らずっぽい声で、低身長の1年生キーボディスト（桃子ちゃん）を表現していた小倉だが、この組み合わせになるとちょっとホンキになってしまうのか、柚子ちゃんが石原の地声に近い表現形なのでそれに引っぱられたのか、若干息抑えめで「小倉唯」色が強い。「キャラソン」として見た場合、「響け！どれみ♪」の桃子ちゃんと違うぢゃん、となってしまうけれど、その分純粋な曲としては聴き応えがある。曲はボカロPとして名を馳せるKzなんでなおさら。

キャラソンって難しい。歌上手い声優でもキャラ設定次第ではそれを抑えて表現しなければならないので、単純に曲としての完成度をとるか、キャラクターの表現度／世界観の理解度の深さをとるか．．．そこがね。

ともあれ、結構いろいろなキャラソン満載で各声優がキャラクターをどのようにとらえて表現したかが解って興味深い。曲そのものも悪くないし。

Vol.03のジャケットはミニマム級？キーボーディスト桃子ちゃん

ただこのシリーズ、曲数も多いのもあって、1枚ソコソコの価格がするうえ、全7枚もあるので、いかな「コンプリーターcybercat」でもすべてそろえるとは思えないけれど、他の盤にもD.C.IIの音楽を手掛けた中西亮輔やボカロPとして有名な40mPや八王子Pが創った楽曲もあって質は高そうだなー．．．って思ったり。

．．．お、思っただけなんだからねっ！（唐突なツンデレ

【収録曲】
1. HAJIけてシナプス☆シナモンロール：にゅーろん★くりぃむそふと
　[朝比奈桃子（CV小倉唯）、江藤くるみ（CV洲崎綾）、風町陽歌（CV早見沙織）、
　黒川凪子（CV後藤沙緒里）、蓬田菫（CV五十嵐裕美）]
2. Nothing Funny at all：黒川凪子（CV後藤沙緒里）
3. ペンタトニック・ラブ：江藤くるみ（CV洲崎綾）
4. Precious note：風町陽歌（CV早見沙織）
5. 響け！どれみ♪：朝比奈桃子（CV小倉唯）
6. 楽しきトキメキ：にゅーろん★くりぃむそふと
7. STAND BY OK！：佐伯鞠香（CV伊藤かな恵）
8. Hey You！ 相棒：鈴河凜乃（CV加藤英美里）
9. 進化系girl：にゅーろん★くりぃむそふと
10. brand−new magic days：新垣雛菜（CV米澤円）
11. Seasons of Silence：篠宮りさ（CV日笠陽子）
12. ネジクルパーティクル：螺子川来夢（CV：豊崎愛生）
13. 手紙を書くの：八束由紀恵（CV今井麻美）
14. ハーモナイズ：ゆずもも［朝比奈桃子（CV小倉唯）、葉月柚子（CV石原夏織）］

「HAJIけてシナプス☆シナモンロール（短縮版のためギターソロはなし）」