KENWOOD KP-9010では、最初こそ添付のターンテーブルシート(ごく普通のゴム製)を使っていたのですが、比較的早い段階で当時コストパフォーマンスの高さに定評があった、Pioneer JP-501に入れ替えて、そのまま20年以上使い続けてきました。ちなみにYAMAHA GT-2000は標準添付品のままです。
世間には革製、ステンレス製、和紙製、コルク製、ガラス製など、とにかく色々な種類のターンテーブルシートがありますが、一体どれが良いのか、せめて素材が柔らかい物が良いのか硬い物が良いのか、重い物が良いのか軽い物が良いのかなど、何らかの傾向が見て取れるのであれば良いのですが、実際には全く結論が出ていないテーマとなっています。
その中で製造メーカーが「これは絶対に良い」「他の素材とは異なり明確に音質が向上する」などと言い切っているものがあります。それは純マグネシウム製のシートです。
個人的にはこのような宣伝文句にはどうしても疑いの眼差しを向けてしまうのですが、比較的手ごろな価格であるということもあり、一度試してみようという気分になり購入してみることにしました。
表面加工らしきものは殆ど無く、強いていえば片側に塗装がされているという程度です。
こちらが表面となる方で、一応塗装があります。ただ、滑り止めなどはなく盤がスリップしないか心配な仕上げではあります…。
ちなみに、上位モデルでは厚みが増し、滑り止めもされているそうです。
こちらは裏面で、表面加工等はありません。一応ヘアラインのように見えなくもないのですが、細かな傷などもあり特に美しいものではありません。
意外な方向への変化
それでは早速試聴してみましょう。KENWOOD KP-9010+audio-technica AT33R+ALPINE/LUXMAN LE-109という組み合わせです。元のJP-501を外し、そのままSTS-1を装着しています。厚みが多少変わったのですが、許容範囲だろうということでアームの高さは再調整していません。
試聴したレコードは
・「Explosive / David Garrett」(現時点でレビュー無し)
・「Wallflower / Diana Krall」
・「TOTO XIV / TOTO」
・「Stranger to Stranger / Paul Simon」
などです。
マグネシウムを触った感触から、どちらかというと重心が高めの硬い音になるのではないかと想像していたのですが、全く違っていました。
はっきりと変化があったのは低域で、量感こそあまり変わらない物の、重心が下がり力感が向上します。「Dangerous / David Garrett」では序盤の低域の質が明確に変わり、GT-2000に迫るような低域の質へと向上するのです。
もう一つの大きな変化は中低域~中域にかけての付帯音が減るということで、「Insomniac's Lullaby / Paul Simon」のギターの明瞭度がぐっと増します。今までは音数が増えると色々な音色が固まって出て来てしまうイメージだったのですが、それがある程度分解するようになりました。
結果として「Wallflower / Diana Krall」もヴォーカルが伴奏に埋もれず、きっちりと存在感を持って表れるようになるなど、メーカーが自慢するだけのことはあるという変化です。
数万円クラスのターンテーブルシートなど使ったことがありませんので、他の製品との違いについては言及出来ません。ただ、JP-501との比較でほぼ欠点も無いまま向上が見られたということからも、この製品の価値は充分に感じられます。3~5千円程度のゴム製を検討されている方は、もう少し追金して買っても損は無いのではないでしょうか。
強いていえばゴムマットに比べればやはり盤が滑りやすいこと、ゴムと違って変形する訳ではないので、レコードを取り外しにくいと感じることがたまにあることが欠点といえるでしょうか。些末なことではありますが…。
出来れば上位のSTS-2を買いたいところですが、約3倍の価格差を考えればこちらで充分かなという気がしています。
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購入金額
5,500円
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購入日
2017年02月14日
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購入場所
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