レビューメディア「ジグソー」

GRACEという名前に恥じない 優美なユニバーサルトーンアーム

レコード盤がオーディオの主役だった頃は、レコードプレーヤーを自作する楽しみもありました。

 

好みのターンテーブルとトーンアームを決めた後は、それに見合ったケースを考えます。

好みと予算に応じてトーンアームを2本、3本(右側・手前・奥側)に並べることもありました。

 

私はマイクロ精機のベルトドライブターンテーブルを、同社推奨のケースに収めて、

中古で譲り受けたこのトーンアームを取り付けていました。

 

年上のオーディオ仲間で裕福な方から譲っていただいたアームですが、彼はこの840の後釜として

同じ品川無線GRACE社の700番系のストレートアームに買い替えたと伺いました。

 

この840番シリーズは簡単にヘッドシェルを交換できるS字型ユニバーサルアームですが、そのストレートアーム700番系はそのような構造を持たないので、これと決めたフォノカートリッジだけを聞くことになります。

しかし、音質的には有利だと伺いました。

 

私はストレートアームが持つ音質面の優位性をぼんやり考えつつも、優美なS字を描くこのトーンアームをとても気に入っておりました。

ペンタックスの一眼レフのような黒色塗装も格好良いと、今でも思ってます。

 

数年後、喫茶店の開店に伴ってオート機能を持たないレコードプレーヤーは使いづらいと考えて

TechnicsのSL-10を導入しました。

ほどなくマイクロのターンテーブルも不調を来したので修理せず廃棄しております。

請われて、複数所有していたカートリッジやヘッドシェルも譲ってしまいましたが、この素敵なトーンアームだけは手元に残しております。

いつの日か、いや、そう遠くない未来に、新しいレコードプレーヤーを見つけたいと思ってます。

できればこのアームを横付けしてダブルアームを構築したいのです。

更新: 2017/02/01
外観

標準的なサイズですが、細身であることと黒色塗装が特別感を醸し出していると感じてます

撮影する前に、溜まった埃を取り除くためにもと思い、各パーツをバラして洗浄しました。

多様なターンテーブル・キャビネット・シェルに対応するために調整代が多く存在します。

左端から

カウンターウエイト・本体(上)・上下調整代を持たせるためのスリーブ(下)

アームリフターとインサイドフォースキャンセラーを収めるデッキ

3本の角を持つリングは、アームをキャビネットに固定するためのナットに相当します

4つのリングの内銀色のものとその斜め右上のものは、アルミ製ベース

キャビネットの色に合わせて、どちらか好みのリングを上に、片方をキャビネットの下に配します。

小さな半透明のリングはシリコン製でアルミリングのワッシャーとして利用します。

他の2枚のリングはゴム製のインシュレーター。 

着脱式のフォノケーブルは捜索中です。 因みにGRACEのアームやカートリッジ・ヘッドシェルは一般的な製品と端子の並びが異なります。 色合わせを行うことで普通に使えますが、取説のない状態で中古を入手した場合は要注意ポイントとして覚えておく必要があります。

 

アームの心臓部であるジンバルサポート基部

水平方向と垂直方向を受け持つリング状のサポートが2重構造で、それぞれ最適化されています

 

 

 

 

 

アーム後端に取り付けるカウンターウエイト 

内側にネジが切られており、回転させることで前後に移動します。

0.5と数字が刻まれてるリング部分は空回りする仕組み。

最初にカウンターウエイトを前後移動させながら、選んだカートリッジとの重量バランスを取ります。 そして水平がでたら、ゼロ数字をアーム側に刻まれた白い線に合わせます。

次はリングに触らずカウンターウエイト自体を回しながら、希望の針圧値と基準点を合わせます。

これでほぼ確実な針圧調整が行える仕組みです。 動きは良い機械式カメラのピントリングのように滑らかです。

これはアームリフターとインサイドフォースキャンセラーを搭載しているデッキ部分

アームリフターの底部にはGRACEと誇らしげに刻印がありますね

細部の汚れが気になりますが、組み上がった様子です。

銀色のやじろべえのような部品と本体が、両端に赤いテープを巻いているテグスでつながれています。 やじろべえの長い方には刻みがあり、自分が選んだ針圧に対して0.5gつづ移動させて重みを調整する仕組みです。

インサイドフォースキャンセラーとして機能させる部品です。

(レコード盤の上に乗るカートリッジは、レコード盤の回転と共に盤の内側に引っ張られます。

引っ張られる力は針圧に比例するので、このような仕組みで適正値で逆側に力をかけるのです)

残念ながらインサイドフォースキャンセラー用の小さな重りは捜索中です

友人宅で休眠中のTechnicsSP-20とSAECのダブルナイフエッジトーンアーム308のシステムがあるので、密かに狙ってるんです。

いつかそのシステムに組合せて、このトーンアームにも音楽を流してやりたいと思ってます。

  • 購入金額

    5,000円

  • 購入日

    1987年頃

  • 購入場所

    個人売買

15人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • タコシーさん

    2017/02/01

    品川無線は「初歩のラジオ」に広告が載っていたような記憶が有ります
    子供時代から知っていた名前ですが今でも製品に縁がありません
    池田さんは品川無線---FRと会社を退社したり興されたりした方ですね
    その後池田方式のカートリッジを作られていますね これも縁がありません...orz
    この間、現在の池田さんは何処に住んでおられるのかと思って調べたら埼玉、大宮の
    見沼公園近くに住んでおられるようです 其処は私たちが昔住んでいたところの近くですね
    奇遇で驚きました...当時は仕事が忙しくてオーディオどころでは無かったのですが...
  • フェレンギさん

    2017/02/01

    私の最初のレコードプレーヤーは、ビクターのベルトドライブ製品で、付属のフォノカートリッジはCD-4対応のMMM型でした。

    その次にこのトーンアームを入手したので、カートリッジはGRACEのF-8を選択してます。
    F-8は交換針にバリエーションがあり、音調がはっきりと変化しました。

    ターンテーブルもシートをパイオニアのブチルゴム製JP-501に交換しましたし、他にはラックスマン製のゴムに金属粒子を練り込んだものも使いました。

    とにかくアナログプレーヤーは、何をしても音が変わるのが面白かったです。
    思えばカセットテープも、デッキ側、テープ側で全く音が変わりましたよね。
    でもデジタルのMDは、それほど大きな違いが感じられなくなりました。

    安くても良い音 という形のQOLは良くなりましたが、趣味性は失われたと言うことでしょうか。

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