レビューメディア「ジグソー」

手の届く範囲ではベストバイ

以前はプリメインアンプやプリアンプ内蔵のフォノイコライザーばかり使っていたのですが、KENWOOD KP-9010+ZYX R50 Bloom+SANSUI AU-α707DRという組み合わせで「Wallflower / Diana Krall」のLPを聴いたときに、Technics試聴会のSL-1200Gで聴いた音とのあまりの落差に気付いてしまい、何とか改善しようと急遽ALPINE/LUXMAN LE-109というフォノイコライザーを調達しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

LE-109を導入したことで間違いなく音質は大幅に向上して、Wallflowerを聴いていてもCD以上と感じるものにはなってくれました。ただ、元々KP-9010は高域方向の透明度や繊細さには定評があるものの、低域の重量感や馬力があまり出ないプレイヤーです。そしてLE-109も音場の広さやしなやかさ、繊細さが持ち味であり低域方向は少々軽めの製品です。

 

こうなってしまうとドスンと来るような低域の表現は期待できず、もう少し力強く締まった音のフォノイコライザーの方が良いかと考え始めていました。

 

そして丁度その頃、Technics SL-1200GRが気になっているという話をオーディオ店でしていると、試聴環境を用意しておくので、機材持ち込みもOKなので一度じっくりと聴いてみてはという提案を受け、R50 BloomとLE-109、試聴用のレコードを持参してじっくりと聴いてみることにしたのです。

 

結果として、SL-1200GRについては以前から何度か触れている通り、購入は見送ることにしました。価格を考えれば最良ともいえる製品であることは間違いないのですが、どうしても上位のSL-1200Gとの音質差があまりに大きく感じられてしまい、どうせ買うならいつか金を貯めてSL-1200Gを手に入れようと思ってしまったのです。

 

そしてLE-109と、試聴室に元々置かれていたEA-200との比較では、音場が広くしなやかなLE-109に対して、音場の広さでは劣るものの濃密で力強いEA-200という印象でした。SL-1200GRとEA-200の組み合わせは、双方の持ち味が似通ってしまい、率直に言って相性は悪いと思います。ただ、EA-200とKP-9010であれば良い組み合わせになるのではないかと感じられたのです。

 

結局は試聴完了後、その場でEA-200の購入手続きをしてしまいました。ただ、メーカー直送となるということで、その場では持ち帰らず数日後に家に届いた時点から使い始めたのです。

 

更新: 2017/07/21
総評

10万円以下クラスとしては高い完成度

実は以前SL-1200Gを最初に試聴したときには、上位モデルとなるEA-300を使っていて、そのときにEA-300の完成度の高さにも感心していました。それと比べると、価格も約半額となるEA-200はそれなりにグレードダウンしている感はあります。とはいえ、実売価格7万円前後としては、非常に良くまとまった製品ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

少し気になったのは、電源ケーブルがあまり良くなさそうということでしょうか。そのうちもう少しマシなものに替えたいところですが、予算ができ次第というところで…。

 

 

 

 

設置スペースが狭いため、LE-109と比べても大幅にコンパクトという点はありがたいところです。

 

EA-200を含むPhasemationのフォノイコライザーは、一般的なフォノイコライザーとは異なり、無帰還増幅回路を採用しているそうです。この辺りはこのメーカーのこだわりらしいのですが、ユーザーとしては出てくる音さえ良ければ別にどの方式でも構わない訳です。

 

ただ、音の情報量の豊かさ、S/N感の良さなど、回路的なこだわりが音質に対して好結果を生んでいると感じられる要素は多くあります。

 

LE-109と比べると音場はやや狭く、硬質な音ではあるのですが、KP-9010の弱点を程良く補ってくれて全体としてバランスの良い音に仕上がっているように思います。同じDiana KrallのLPであれば、先述の「Wallflower」よりも、新作の「Turn Up The Quiet」の方がよりマッチしているという印象でしょうか。今まであまり厚みが感じられなかった「RYDEEN / YMO」などは一気に力強さが出てくるようになり、EA-200らしさが存分に感じられます。

 

 

 

 

カートリッジはR50 Bloomでも勿論悪くはないのですが、audio-technica AT33Rとの組み合わせでより幅広いソースをこなせるようになったと思います。一般的に比較的安価なフォノイコライザーではMCカートリッジの実力を上手く引き出せていないといわれますが、EA-200との組み合わせではそれぞれのカートリッジの良さが素直に感じ取れるようになった気がします。

 

 

 

フォノイコライザーに数十万の予算を使えるのであれば話は変わってきますが、庶民が背伸びをして買う価格帯の製品としては、最良の選択と言っても過言ではなさそうです。

  • 購入金額

    68,963円

  • 購入日

    2017年05月31日

  • 購入場所

    ノジマ オーディオスクエア

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