乱暴すぎると思うが、この奏者、あるいはこのアルバムの魅力を一言で表すとすると「音色(ねいろ)」。
テナーの音域で紡がれ得るメッセージの伝え方としては、受け取る側の心の準備を要する部類に入ると思われます。
マイナーキーで構成された美しいメロディだけを追いかけてしまうと、カッコいいブルージーでスモーキー、そしてファンキーなジャズアルバムだと理解してしまいがち。
しかし、本当の魅力はこのティナ・ブルックスが奏でる、「音」そのもの。
彼の知性と、どこか、達観しているとも言えるほどのヌケ感、そして苦労の末のリーダーアルバム故か注意して聴くと、そこはかとなく感じられる苦悩感。
それらが相まると、人生を透徹な眼でとらえ、熱い魂で表現した時に生まれる独特の到達感が音に宿るのかもしれない。
そう感じさせるティナ・ブルックス独特の音。それがこのアルバムを唯一無二の存在にしていると言っても過言では無い。
オリジナル盤が常に最高だとは思えませんが、このアルバムだけは絶対にオリジナルで聴くべき1枚です。
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購入金額
0円
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購入日
2016年05月16日
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購入場所
squareさん
2016/05/16
お富さん
2016/05/16