レビューメディア「ジグソー」

オリジネーターが再び革命を起こした

現在広く普及しているペーパドリップ方式の源流はメリタにあります。

1908年に家庭の主婦であったメリタ・ベンツが思いついたアイデアが元になり、

世界中に広まりました。

 

メリタ製ドリッパーの特徴は「ひとつ穴」

 

日本製カリタ製ドリッパーは「みっつ穴」

 

日本製ハリオ製ドリッパーは、形状や考え方自体から違います。

 

私は業務用としてメリタのシステムを愛用してきました。

ここZIGSOWでも、従来型ドリッパーのレビューを書いたところです。

 

 

昨年ビリヤード店用に購入した東芝製の安価なコーヒーメーカーがあるのですが、

驚くほど美味しいコーヒーができます。

 

 

不思議に思ったので、内部構造を確かめました。

 

一般的な製品と大きく違うのは、ドリッパー下部に空き部屋があることです。

 

この空き部屋は、コーヒーの抽出速度を2段階に切り替えるための装置に割り当てられているのですが、東芝の開発者の狙いは「別のところにあったはず」だと踏んでおります。

 

私の妄想に過ぎませんが、美味しいコーヒーができるわけは

 

ドリッパー下部に存在する空き部屋が一杯になるまで、ポットに落ちない。

故にドリッパー内にあるコーヒーの蒸らしが過去のそれより上手くできるだろうと思われる。

 

抽出が終わる頃・最後に出てくるコーヒー液は「雑味・渋みを含んだ薄い液」です。

ドリッパー下部に空き部屋があるため、その不必要な部分がその部屋に残る。

 

上記の2点は、ハンドドリップを行う者が知っておくべき要点だと思います。

ハンドドリップなら、細口ポットを使って蒸らしを行うことができます。

ハンドドリップなら、最後の雑味成分が出る前に、ドリッパーをポットから外せます。

 

それが工夫できないコーヒーメーカーであるからこそ、空き部屋の存在が福音になるのだと

思うんです。

 

そう感じたので、東芝製コーヒーメーカーをオススメしました。

 

もっと美味しいコーヒーは、ウチに来て飲んで下されば良いと思っていました。

 

 

が、ひょっとすると東芝の開発者が「これをヒントにしたんじゃないか?」と思わせる

 

新機軸のドリッパーが見つかったんです。

 

それが このアロマフィルター。

 

アロマフィルターに含まれていたヒントとは?

更新: 2021/06/30
機能性

メリタはひとつ穴 アロマフィルターは、其の位置が変更されてます

 

 

御覧ください。 従来まで三角の頂点・底部の中心にひとつだけ開いていた穴がありません。

 

代わりに15ミリ程上からパイプが伸びているのがお分かりになると思います。

 

アロマフィルターは、このパイプから抽出液を落とす方式に変わりました。

 

ペーパーは従来のモノをそのまま使います。

この新しい抽出口より下に溜まるコーヒーは落ちずに溜まる構造です。  

           

これにより、コーヒードリップの最初の行程である「蒸らし」が簡単に行えるようになりました。

 

 

動画は倍速再生されています。 

 

かつてこの行程で注意すべきは、蒸らす分だけのお湯を注ぐことでした。

 

注ぐ量が多いと、ポットに落ちてしまいます。 もたもたしていると蒸らしが上手く出来ません。

 

しかし、新しいアロマポットは、サイドに移された抽出口のおかげで、技術が無くても上手く蒸らすことが可能になりました。

 

動画ではわかりづらかもしれませんが、この時点で下に落ちるコーヒーはほぼゼロです。

 

 

この動画も倍速再生です。

 

後は人数分のお湯を満たすだけでコーヒーが出来上がります。

 

従来のサーバーを使う場合は、全ての抽出液が落ちる前にポットから外すことで、最後に残る雑味成分をポットに落とさない工夫が必要でした。

 

しかし、前述の新しい抽出口のおかげで、雑味成分はアロマサーバーの下部に沈殿します。

 

慌ててポットから外す必要がほとんど無くなったと言えるでしょう。

 

 

抽出口より下、サーバーの下に残るのが雑味成分

実際は、ペーパーが吸収してしまうので、この写真のように残留成分が見えない事が多いです。

 

深く長くなったリブの理由は 

 

 

写真右側が新しいアロマフィルター 左は従来型フィルター

 

内側に刻まれたリブの深さや長さが大きく異なります。

 

HPは取説には書かれていませんが、私の考えた理由を書き留めます。

 

アロマフィルターは抽出口がサイドにありますので、作業前にペーパーをセットしお湯をかけて

馴染ませたり、温めたりすることが困難です。 下部にお湯が残ってしまいます。

 

過去の記事で「最初にお湯をかけて馴染ませてね」と書きましたが、それが出来なくなりました

 

しかし、最上部までリブが刻まれていれば、ペーパーが樹脂と表面張力でくっついてしまう事で、

抽出液となる前のお湯がペーパーの外側を流れてしまうという心配が減ると思われます。

 

其のために新設された深くて長いリブだと推測してます。

 

ただ、冬季はペーパーをセットする前に熱湯を流して、フィルターもポットも温めておく必要があると思います。

更新: 2021/06/30
美味しさ

好みは割れるかもしれませんが、確かに味が違う

同じ水 同じコーヒー豆 同じ量

異なるコーヒーメーカーで淹れたコーヒーは、万人が違いを感じるものになりました。

 

 

果たして、同じメリタの新旧フィルターからは 異なる味わいのコーヒーができるのか?

 

コーヒーメーカーの時の様な「誰でも判る」差はありません。

 

いちおう稼業としてコーヒーを淹れている店主が作業していますので、雑味成分の除去や蒸らし作業は旧型フィルターでも可能ですから。

 

しかし、やはり味わいには差が出るようです。

 

数人のコーヒーフリークと共にテイスティングしたところ一致するのは

 

旧型フィルターよりアロマフィルターの方が「雑味が少ない」「すっと喉を通る」こと。

苦味は旧型フィルターの方が多く感じる ということでした。

 

鮎の塩焼きやサザエの壺焼を楽しむ時に、「ワタ」を楽しむ方と、それを好まれない方に別れます。

 

それは嗜好の問題。 どちらが正しいという次元の問題ではありません。

 

その視点に立つと、両フィルターの甲乙は付かないという答えになります。

 

しかし作業する方のスキルを問わないという視点に立てば、アロマフィルターの圧勝だと思います。

 

細口のポットを繊細に使えなくても、蒸らしが簡単に行なえます。

お湯を入れた後放置していても、最後に出てしまう雑味をポットに落としてしまう心配が減ります。

 

広く万人にオススメしたいのはアロマフィルターです。

 

お店で使うフィルターは、全てアロマフィルターに切り替えました。

更新: 2021/06/30
使用感

コーヒー豆

 

 

コーヒースプーン 右の白いものがメリタの付属 左の赤いものはカリタの付属品です。

一見カリタの方が多く入るように見えますが、共にすりきりで12g 同じですよ。

 

 

 

コーヒーの挽きレベルは最も細かい「ファイン」を推奨します。

金属メッシュやネルフィルターをお使いの場合は中挽き〜粗挽きが合致しますが、粉漏れの心配が全く無いペーパドリップの場合は、イチバン細かく挽いてもらいコーヒーの全てを抽出しましょう。

 

家庭用のハンドミルでは、細かさに限界があるので、「挽きたての新鮮さ」と「細挽き」の美味しさを天秤にかけて お好みを選んでください。

 

 

 

フィルターの合わせ目は、横と底部を逆方向に折ります。

 

 

 

底部にマチを作ります。 

 

 

 

これでフィルターの面と面がジャストフィットし、所定の性能が期待できます。

 

 

浄水された新鮮な水 適量の豆 が用意できれば 後は取説に従うだけ。

 

美味しいコーヒーをお楽しみください。

  • 購入金額

    814円

  • 購入日

    2016年01月26日

  • 購入場所

    Amazon

25人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (13)

  • フェレンギさん

    2016/01/30

    1x1なら524円でした。 色も濃い目で渋が目立ちにくくなってます。
    今現在、最高のフィルターだと思います。
    買ってね。
  • ぴょんきちさん

    2016/01/30

    とても興味深い…。
    抽出口の位置を少し変えるだけという処に行きつくまでの道程はコーヒーの理解を深めないとたどり着けないんでしょうね。
    万人が手間なくある程度の水準でコーヒーを淹れられるというのは素晴らしいですな。
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