レビューメディア「ジグソー」

高域改善がメインに取りざたされているイヤーチップながら、耳道への深い押し込みが可能なため、密着度上昇、低域改善の効果もあるイヤーチップ、SpinFit

先日ご紹介したハイコストパフォーマンス高音美麗イヤホン、OSTRY KC06。

購入店の試聴ですでに耳への収まりの悪さがわかっていたので、よりフィットすることを期待してcomplyのイヤーチップ

を購入したが、静寂感と低音の増加は良かったものの、高域が陰る傾向にあり「良いところを削らない」という意味では相性が悪かった。

その後カスタムIEMの手法で制作するカスタムイヤーチップ

を入手、中域の迫真さと減衰しない高音は素晴らしかったが、どちらかといえばイヤホンの生の音を減衰なく伝えるという性格。そのため高音が刺さるギリギリで低域が薄いというこのイヤホンの「積極的な音質改善」チューニングという意味では用をなさない。

ただそのリアルさは素晴らしく、永い間その状態で使っていたのだが、より「合う」イヤーチップが見つかった。

少し前に紹介した

ボンキュッボンの?くびれありイヤーチップ、「SpinFit」。これはイヤーチップの「キノコの軸」の部分、イヤホンのステム挿入部がおわったあたりに「くびれ」があって、そこでイヤーチップの傘の部分が首を振ることができるので、その穴を耳道の奥へ向けることにより高域減衰を防ぐという仕組みの今話題のイヤーチップ。

本来、穴の位置を鼓膜に正対させることにより「高域の減衰を防ぐ」というのがポイントのイヤーチップのため、「すわりが悪めで、低域>高域」のイヤホンというのが一番使用目的に合ってそうなイヤーチップであり、先のレビューでもそういったイヤホンを取り上げた。

KC06に関しては、高域>低域のイヤホンのため、合わないかな...と考え試していなかったのだけれど、
・首ふり機構で耳道の奥まで突っ込めるので密着性向上による低音の抜け防止の効果がある?
・材質的・構造的にKC06の一番の華である高域を減衰させずに届けてくれそう?
といったようなことも考えられ、試してみることに。ステムが太くて首ふりはキツそうだが、もし振れればイイカンジになる?

サイズはより先の雑誌付録より小さめのSサイズ(SPFT RD-01S)。
パッケージはこんな感じ(4個=2ペア入り)
パッケージはこんな感じ(4個=2ペア入り)
SpinFitにはステム径が太いタイプに適合するSPFT RD-01系とShureなど細いタイプに適合するSPFT RD-02系があるが、太いステムに対応したSPFT RD-01ですら公称適合ステム径は4.5~5.5mmなので6mmφのKC06にはどうかと思ったが、何とか入ったw
かなりムリヤリ感漂うステム接合部(赤い素材の所)(^^ゞ
かなりムリヤリ感漂うステム接合部(赤い素材の所)(^^ゞ
このステム径が太く、本体の大きさがさほどに大きくない、という点では、SpinFitの効果が明確でなかったPHILIPS SHE9000/98

と同じ条件だが、果たして...?

例によってKC06のデフォルトチップ×Shure掛けの音と、SpinFitのSサイズ×Shure掛けの音とを比較した。小編成で一つ一つの音がわかる「近い」録音の吉田賢一ピアノトリオの「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」はデフォルトチップのやや刺さり気味のシンバルとは音の傾向が異なりシンバルのアタックよりもシズル音がよく聴こえる。ソロ以外ではさほどに大きく録られていないベースも目立つというほどアガらないが量感が増し、下の安定度が増す。さすがに高域優勢の全体像は変わらないが、少し神経質さが取れた感じ。

リズムのキレが重要なファンキィなジャパニーズフュージョン、JINOこと日野賢二のベースと坂東クンのバスドラの技が聴きどころの、T-SQUAREの「RADIO STAR」は高音の伸びは充分にあるが低音が抜け気味で重心が高いデフォルトチップに比べると、グッと押し込んだ時のSpinfitは低域の量も質も増す。カスタムイヤーチップに比べて高域はさほど伸びたという感じがしないのは、鼓膜の近くまで伸びたカスタムに比べて短いのとかなり無理やり付けている事からの首振りの動きに制限が掛かってる?でもデフォルトチップに劣るというような事は全然ない。この曲においては低音の充実とそのキレを表現する中~高音が両立していて良さがでてる。

さすがにカスタムイヤーチップに比べると静寂性は低いし、高音域もさほどに伸びないが、その分写実的過ぎて疲れてしまうようなこともなく、手軽さも含めてunder10kのKC06にはちょうど良い感じ(カスタムイヤーチップはさすがに脱着にCIEMに近いくらいの時間がかかる⇒耳介部の収まりは考えなくて良いけれど、cybercatほど耳道が下向きに急カーブしていると、耳介部がなくて「回ってしまう」だけにベストポイントに収めるのにやっぱり時間がかかる)。高域の減衰を最小限にし、密着性で低音域をあげ、それなのにcomplyを遙かに凌ぐ耐久性...ということで「cybercatにとっての」「KC06の特徴を活かし」つつ「ひとつのイヤーチップで可能な限り幅広い音楽を愉しむ」には今のところファイナルアンサー。
やっと見つけた「cybercatにとっての」「KC06用チップの」ファイナルアンサー
やっと見つけた「cybercatにとっての」「KC06用チップの」ファイナルアンサー
耳道が曲がっているひとにはゼヒ試してもらいたいイヤーチップです。

販売元「茶楽音人(さらうんど)」商品紹介ページ
  • 購入金額

    840円

  • 購入日

    2016年05月01日

  • 購入場所

    e☆イヤホン名古屋大須店

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