以前掲載したDIATONE DS-77Zと同時に、友人宅から引き取ってきたのがこのスピーカーでした。
こちらのSX-7は随分昔に私が薦めて中古で入手していた品であり、それが結果的に自分の手元に来てしまうというのも妙な気分です。
このSX-7はビクターの大ヒット作にして傑作と絶賛された2ウェイスピーカー、SX-3(1972年発売)の上位モデルとして開発され、1974年に発売された製品でした。基本的なデザインなど共通要素も多いのですが、こちらは30cmウーハーを搭載していて実際には一回り以上大型化されています。
さすがに40年前のスピーカーですから、ネットの傷みは結構あります。もっとも、破れなどは入手時点から既にありましたので、その後は結構大事に使われていたようです。
これがネットを外した状態です。ビクターの旧SXシリーズ(SX-10 Spiritを除く)は、この白木造りのエンクロージャーが美しいですね。どうしても経年変化による変色は目立ってしまいますが…。
ひたすら柔らかく美しい
この製品もSX-3までとはいかないものの、長く評価され続ける名作の一つに数えられるスピーカーです。
本来であればきちんとした環境を揃えて使うべきものではあるのですが、元々SANSUI SP-100iを軸に組み合わせたシステムが鎮座していた環境に、このスピーカーのためにさらに環境を用意するのはさすがに現実的ではありませんでした。
だからといって、この名機を使わずに放置しておくのも勿体ないということで、仕方なくTVの音声出力用として使っています。もっともTVといっても事実上BD/DVD鑑賞専用であり、アンプも一応オーディオ品質を保っているSONY TA-DA3600ESとしていますが。
一応その前にKENWOOD L-01Aの方に接続して、音質の方もチェックしてみました。
元々あったSP-100iが硬質で力強く、解像感の高い傾向の音質でしたが、このSX-7はそれとはむしろ対極に位置するものといえます。特にアコースティック系の音色でまとめられた楽曲での弦楽器の質感やヴォーカルの生々しさは今でも十分に魅力的です。例えば「Change The World / Eric Clapton」をLP盤の「Clapton Chronicles」で聴いたときのアコースティック・ギターの音色などは惚れ惚れとするものがあります。
その反面「The Seventh One / TOTO」のような力強さやキレが要求されるソースについては、全体的に大人しくエッジが丸まってしまい、演奏の魅力を引き出すことが出来ません。
元々のSP-100iは上記TOTOのアルバムなどで音質評価をして使っているものですから、やはりメイン環境としてはこちらを使うべきと判断しました。もっとも、私が好む音楽の傾向が違っていれば、SX-7の方が数段魅力的という結果になっていても不思議はありません。決して当初の音質を維持し切れているわけでもないのでしょうが、それでも今なお外観通りの美しさを感じさせる音質です。
現在ではBlu-rayやDVDでChicagoのライブを楽しむときなどに、このスピーカーが活躍してくれています。できればSP-100iとは並べて使いたくなる、明確な個性が魅力的な逸品です。
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購入金額
0円
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購入日
1990年頃
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購入場所
harmankardonさん
2015/11/01
確かにもったいないですが,使ってあげるのがスピーカーにとっては一番ですね.
jive9821さん
2015/11/01
真ん中に鎮座しているのが40インチのBRAVIAなので、TVの方が完全にグレード負けしてしまっていますが…。
一応音楽のライブ盤などがソースのメインですので、音楽観賞用ではあるのですが、普段から勿体ないなと思いつつ使っています。
ちなみにこの環境で多ch用のリアスピーカーとして使っているのが、DENON SC-A77XGだったりします…。
harmankardonさん
2015/11/01
贅沢な使い方です.
jive9821さん
2015/11/01
SX-7が来るまではTA-DA3600ESのフロントスピーカーだったのですが、SX-7の音と比べてしまうとやはりリアスピーカーとなってしまいます…。
フェレンギさん
2015/11/01
MJQのビブラフォン。 私が当時所有していたDIATONEのDS251Ⅱより数段表現力に優れていたこと、それを羨ましく思ったことを思い出しました。
クルトミューラーコーン紙 懐かしい響きです。 ぜひ大事に使ってあげてください。
jive9821さん
2015/11/01
旧SXシリーズは決して万能型ではないのですが、ソースとスピーカーの持ち味が上手くハマったときの音は本当に素晴らしいものがありますね。ある意味国産らしくない部分があります。もっとも、私が生まれる前の製品ですので、新品当時のクオリティーは体感できていないわけですが…。
出来ればこれを活用できるようにシステムを組みたいのですが、一般家庭で複数のリスニング環境を維持するのは困難で、泣く泣くAVシステムの一部という形で使っています。
一昔前のしっかりと作られたオーディオ機器は、やはりそれぞれに確固たる主張が込められていることが感じ取れますし、今でも使っていて感心させられることも多いです。